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60分間の英語学習でレベルアップする勉強方法の一案(追記あり)

海外留学などを目指して英語の勉強をされている方は、TOEFLやSATの目標点数を目指して、あるいは留学後通じる英語力を身につけるため、日々頑張っていらっしゃると思います。もちろん、小中高校などで、学校の英語の勉強をしている方も。偉いです!

外国語の勉強って一朝一夕で結果が出るわけではないので、本当に辛抱がいりますよね。続けているだけで本当に素晴らしいことだと思います。

でも、せっかく勉強するなら、その時間できっちり実力を上げていきたいとも、思いますよね。

最近、英語を一生懸命勉強している人の勉強の仕方や勉強時間などを時々耳にするのですが、どうやら、単語帳なり問題集なりをひたすら解く、暗記する、という内容が多いようです。そして、勉強時間がとても長いような印象を受けます。長くなくてはいけない、というプレッシャーのようなものも感じるのです。「今日は2時間くらいしかできなかったけれど、、」とか。
1日2時間も英語の勉強をできたらすごく立派で、十分力がついていくと思うけれどなあ。と私は思うのです。

YouTubeや映画などで英語をたくさん聴くことも併せてしている、という話も聞きます。エンターテイメントとして、そしてお勉強として、とても良いと思います。
ただ、自分の学習中のレベルと、リスニングをしている動画のレベルがかけ離れていたら、あなたの英語力をグッと上げるのために効果的な学習には、なかなかなりにくいような気もします。自分の英語力を一歩ずつ確かに上げていくことに注力するためのリスニングも取り入れたらどうでしょう。


私はESLチューターとして、アメリカに来て現地校の授業に追いつくために頑張っているお子さんの英語学習のサポートをしていますが、生徒さんたちは数ヶ月で驚くほど英語力を上げています。(こちらに来てからはあくまでご依頼ベースなので数人ですが)

もちろんそれは、生徒さん自身が毎日の暮らしの中でつけている力ですから、私のヘルプはごく一部分です。でも、それまで「しばらく住んでいるけど英語がわからない、、」と苦手意識を持っていた子も、「来たばかりで全く何もかも知らない、、」という状態だった子も、あっという間にレベルアップしていることは事実で、レッスンも多少お役に立てているのでは・・?と思う部分もあります☺︎


週1回60分のレッスンでどんなことをしているか、ひとつの参考になるかと思い、noteに載せてみることにしました。


これからご紹介するのは、2020年秋、コロナ禍のアメリカにお父様の駐在帯同により引越してきて半年が過ぎた、中学1年生(12歳、9月から7th Grade)の最近のレッスンです。
レッスンを始めて5ヶ月。初めていらした時には、Hello, how're you? に答えることも難しい、英語はまったくわからない、とおっしゃるところからのスタートでした。

その上、引越してきて以来、学校は全てオンライン授業で、先生や他の生徒たちと顔を実際に合わせることもなく、、その生徒さんが学校校舎に足を踏み入れることができたのは、アメリカに来て半年ほど経った2021年4月でした😭
それまでは、学校の友達を作ることもほぼ不可能で、外で英語を話すチャンスは、実際、ほとんどありませんでした。。(Zoom授業ではそのような機会もなく、スポーツなどのアクティビティに参加しても、マスクとフィジカルディスタンシングで友達作りは無理な状況でした)

そんな中で、5ヶ月間、本当によく頑張って来た生徒さん。
最近は、リスニングも随分わかるようになったと実感していて、リーディングも絵本をスラスラ綺麗な発音で読むし、英語だけの会話で現地の友達とコミュニケーションも取れるようになったそうです😭👏👏


では、そんな生徒さんの、ある日の60分のレッスンをご紹介します。

【英語学習のポイント1 〜会話〜】
テンポよくたくさん話す機会をつくる、話し方のTipsを得る

レッスンを通してできるだけたくさん英語で「話してもらう」ことを心がけています。

この日の【会話(Communication / Make Sentences)】のレッスン部分では、マシンガントークのような一問一答をしました。
とにかくリズム良く反応!が大事なので、単語で答えるだけでももちろんOK。でもその後に時々 "Why?" と問いかけて、自分の思考をとにかく素早く英語にする訓練をします。
「夏と冬どっちが好き?」「山と海どっちが好き?」などという質問をとにかくどんどん浴びせて答えていきます。

(以下は私がGoogle Sheetで作っているレッスンプランです。本来は横に長いシートを切り取っています↓)

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会話の練習、続いては、自分の経験したことをを表現する練習(背後には過去形を使うことに慣れる文法の練習)として、「先週行った旅行について」話してもらいました。

こういう時に、英語でのスピーチに慣れていない段階では、まず何を言ったらいいのかわからず、止まってしまうことが多いです。
その際には、「スピーチの型・言い出し」を学んでその通りに話すことを学びます。
"Last week, I went to NY with my family."
などと始めることを、シンプルで良いので覚えます。昨日ならYesterday,で始めれば良いし、去年の夏ならLast summer,でOK。

これらのスピーチを求める時も含めて、レッスン中は基本的に私は全て英語で話しています。ですから、「先週旅行に行ってたんだよね?それについて話してくれる?」という部分では、
"So, you were out of town last week, right?"
などと話していました。
そこですかさず生徒さん、「Outta... ってなんですか?」と質問。

こんな質問には日本語でパッと答えます。
「先週旅行に行ってたじゃない?旅行に行ってたって、I was on a trip. って言い方を日本ではよくするんだよね、trip に時間的に乗ってるから on ね(とホワイトボードに書きつつ)。でも、実際アメリカ人は、I was out of town. って言い方をよくするの。town の out、外に出てるってことで、旅行中ね。だから、来週旅行に行くって時はよく、I will be out of town next week. って言う人が多い。何か習い事を欠席する時に親が連絡してる時も「He will be absent next week because we will be out of town. 来週のレッスン休みます、旅行に行ってるから」とか言うことが多いよ。」

【英語学習のポイント2 〜リスニング〜】
聴き取りの動画マテリアルは、できるだけ文法学習などその日のレッスンで扱う内容とリンクさせる(実際にどのように使われるのかシーンごと印象付けるため)

次に、【聴き取り(Listening)】のレッスン部分です。
この日は、以前ご紹介した東京外国語大学の提供しているリスニングマテリアルを使って、比較級をポイントして取り上げました。

まずは一度、字幕なしで聴きます
生徒さん、少し前までは一度聴くだけではなかなか会話の内容を掴めなかったのですが、ここ数週間は、一度で数字など細かなところまで正確に把握できるようになりました👏👏

聴けていない部分がある場合はヒントを伝えて、もう一度耳だけで聴きます。内容がきちんと取れたら、次は英語字幕を見て、途中途中止めながら、単語や言い回しを全て理解できているかチェック。ここで知らなかった言い回しや単語を学びます。

その次は、英語字幕を見つつもう一度最初から聴きますが、どちらかの役になりきって、一緒に声に出してオーバーラップしします。
そして、最後に仕上げとして、動画の音声をミュートにして、字幕を見ながら、自分たちが声優としてタイミングを合わせてアテレコします。

ここまでが、リスニングのレッスンです。
今回使ったマテリアルはこちら。

【英語学習のポイント3  〜文法は出会った表現の理解のために〜】
文法の学習は、あくまで、会話やリーディングで出てきた内容の理解をするため、そしてその言い回しを自分でも使えるようにするために後添えで学ぶ

さて、レッスンの順序や内容は、実際生徒さんとの生きた会話の流れによって変わるのですが、今回はこのリスニングのすぐ後に、「比較の仕方」を【文法 (Grammar)】として学びました。

なんとなく聴いたら意味が取れるという程度の英語を、きちんとした文法の型を学んで確実な知識にし、自分の使える英語にすることは大切です。
帰国後、日本の学校に戻る予定の生徒さんですので、日本の文法用語も紹介し、日本特有の穴埋め問題などにもあたります。

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例えば、この日はこちら(↓)の日本の中学英語学習サイトの比較級の問題をいくつか使って、「日本では、これを比較級と呼んでいて、こんな感じで習うよ」と説明しました。

比較する時には、形容詞に-er をつけて、than 「〜よりも」を添えて比べて話す。シンプルです。一番〜だ、と言うときは最上級と呼んで、-est がつく。例えばこんなふうに、、、といくつか例を挙げて、まずはなんとなく型を理解します。最上級の時には一つに決まるからtheがつくこともわかりやすく説明。

日本の教科英語の問題は少し不自然な英語も多いので(汗)、微妙な英文はスキップして、普通にアメリカでも使える文章のみ、問題を飛び飛びで見ていきます。口頭で答えてもらったり、場合によってはプリントしたものに書き込んでもらったり。

最後に、アメリカのワークシートで実際に活用できるように練習。例えばこのようなプリントを使います。レッスン中に全てやると時間がなくなってしまうので、各問題の最初の1,2問を一緒に取り組んで、あとは復習として、家で自分でやってみてね。と渡します。

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【英語学習のポイント4   〜リーディングはそれぞれ意図を持つ〜】
リーディングはできるだけたくさん。声に出して。
●口語表現を学ぶ内容
●アカデミック英語を学ぶ内容
●英語のリズムに慣れて発音練習になる内容
の3つの種類のリーディングをできるだけ毎レッスン行う

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(レッスンプラン表再び↑)

次にリーディングです。
リーディングは、「口語表現」「アカデミック英語」の2種類の英語を学べるように、それぞれ別のマテリアルを用意します。

例えば、この日「口語表現」を学ぶためのリーディングで読んだのは、"What Should Danny Do? School Day" です。以前も紹介したこの本は、年齢幅広く人気です☺︎ (レッスンでは紙の本を使います)
幼稚園から小学生、中学生でも使うような表現がたくさん出てくる、日本の教科書英語とはまったく違ったリーディングです。

生徒さんはスラスラ意味をとりながら読めるようになっています。
時々、知らなそうな単語や表現のところで止めて、説明を加えます。時間がかかりそうな時は私と交代でパラグラフ読みで。


この日、アカデミックリーディングに使ったのは、子供用百科事典、Encyclopediaです。ここ数回、Animalsについて読んでいたのですが、この日は Mammalsについて。Mammals, Reptiles, Amphibians... それぞれ日本語でも確認しますよ。日本の国語(言葉)や理科社会の知識も同時につけていくこともレッスンでは意識しています。哺乳類、爬虫類、両生類、、日本語でも知らないこと、いっぱいありますよね。


アカデミックな英語力をつけていくことは、現地校に通う生徒さんには必須です。現地校の各教科の授業についていけるようになるには、そして、学校の授業をきちんと理解して良い成績を取れるくらいになると、英検などもクリアする力が自然とついていきます。
帰国前後に必要になってくる日本の英語資格についても、常に意識してレッスンをしています。(英検受験前には、英検対策もレッスンの一部に組み込んでいます)

さて、リーディングの最後に、時間がある時のみですが、口を回し英語のリズムと発音をよくするための読書も。この日は、一番定番の、Dr. SeussのFox in Socksを最初の数ページだけですが、声に出して読みました。

この本のほか、One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish (↓)など、他にもたくさんあります。強く読むところにリズムを合わせる感覚がわかってくると、英語らしく話せるようになっていきます。

例えば、このOne Fish...の最初の方に出てくる、
 Here are some
 who like to run.
 They run for fun
 in the hot, hot sun.
というところ。太字部分を二拍子のリズムに合わせて読むのですが、最後の in the というところが、どうしても余って遅くなってしまいがちです。リズムの一拍目にHotを合わせるには、一拍目の前に小さく早く in the を入れなくてはなりません。
まあゆっくり読んでも、リズムに乗っていなくても良いのですが。。英語らしく読めると聞き取りも楽になるので、時々、5回でも6回でも、同じフレーズを何度も立ち止まって練習したりもします。

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【英語学習のポイント4 〜ライティングも意図を持って〜】 
スペルや文法を正確に書くためのライティング、自分の言葉で文章を紡いで書く練習としてのライティング、そして、エッセイ等体裁まで理解したアカデミックライティング、それぞれをきちんと学んでいく

最後に、ライティングです。
時間がかかるので毎回レッスンで扱えるわけではないのですが、できるだけ、毎回「書くこと」も大事にしています。書く訓練もいろいろな方法で、いろいろな能力を上げるために取り入れることができます。

例えば、リスニング動画のセリフを、アテレコの代わりにディクテーションとして聴き取って正確に書くのは、難易度が高いですが、かなり力が付く学習法です。スペリングの練習をすることもできますし、そこからフォニックスの確認もできます。また、聞き取れていない早い前置詞などもしっかりと確認できるので、文法チェックにもなります。

この日のライティングは、Encyclopediaで読んで学んだMammalsについて、「今日初めて知ったことを自分の言葉で書く」というものでした。
たった一文で良いのですが、力になります。
生徒さんは「哺乳類のうち、卵を産むのはカモノハシだけである」という事実を書くことにしました。
"The Platypuses are the only mammals that lay eggs."
と多分、書いたと思います。あれ?
"The only mammals that can lay eggs are platypuses."
だったかな?😁 いずれにせよ、そのような文章を多少のヘルプをもらいつつ、自分で書きます。


ある生徒さんの最近の60分間の英語レッスンは、以上のような内容でした。

こちらの生徒さんは宿題を希望しているので(生徒さんによるので、宿題なし希望の場合はなしです)、復習になる内容をいくつか渡して、レッスン内容のシートに記入しています。(基本的にほとんどをこなして来てくれる生徒さんです、偉い!)

さらに、レッスン後、私はレッスンプランを書いているGoogleの共有シートに、親御さんへの報告として「今日のレッスンのフィードバック」を文章で書き込みます。会話などの動画や音声を録ってLINEでお送りすることもあります。そして、共同編集者にしている生徒さんの親御さんが、コメントがあればその隣のコメント欄に書き入れてくれますので、さらに私がコメントバックとして返答します。
これで、一回のレッスンが終了します。


60分間の英語の学習、4技能すべてをたくさん使って、確実に英語のレベルが上がっていくことを想像していただけるかと思います。

単語帳にひとり黙って数時間取り組むことも、試験対策としてはもちろん有効だと思います。でも、このように、誰か伴走してくれる人と一緒に、あるいは学習仲間がいるならぜひその人たちと、英語を実際に声に出して、運用しつつ勉強ができたら、さらにスピーディな英語力向上に結びつくのではないかな、と思います。

英語の勉強をたくさん頑張っているのに、レベルアップしているのか不安、辛い、、という声を聞くことがあったので😢  少しでも勉強の仕方に参考になればと、私の提供する英語レッスンをシェアしてみました。

どなたかの参考になれば、幸いです😌


【追記】
比較のレッスンの翌週。こんなやりとりがありました。
宿題としてやってきてくれたプリントを確認していたときに、「自由の女神が思ったより小さかったっていうのもこれで言えますか?」と生徒さんから質問。
「もちろん!いいね!なんて言う?」
"It was...."
「うん、it だけどitって何だっけ?名前出すと?The Statue of Libertyね!」
"The Statue of Liberty was.... smaller.. than?"
"Yes!" 「smaller than 何?」
「 僕が思ったより」
「そうそう!僕が思った、だから? smaller than?」
" I think?"
「おしい!小さかった、思った、って過去だから、過去で。I thouhgt」
"The Statue of Liberty... was smaller than ...I thought."
"Perfect!!" 「じゃあ、新しい友達は思ってたよりも面白い子だった、は?」
"My... new friend.. was funny? funnier ... than I thought."
"Great job!!"
きちんと自分の英語表現方法に加えられていて、嬉しく思ったのでした☺︎

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