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ティッシュとの闘い!

脳みそがフリーズすることがあった。
仕事から帰って習い事に行く娘を送り出し、いつものように洗濯機を回してからご飯作りを始めた。ハッシュドビーフが完成したので、止まっていた洗濯機の蓋を開けた。
「パリッ!」えっ!?
洋服ではない手触りに一瞬にしてよぎった嫌な予感。考えたくないけど、考えないといけない…。正体は分かっているけど、そっと取り出してみた。
洗濯物と一緒に出てきたのは、クッチャクチャになったポケットティッシュの袋!中身はどこ…。
「まじか…」とつぶやいて、臭いを嗅いで見た。
ビニールもいい臭いになるんやなぁとアホな感想が浮かび、そっとエプロンのポケットにしまった。このまま無かったことにしたいけど、そうはいかない。
まずは洋服を全部かごに救出した。すると、足元にパラパラと何かが当たった。確認するのも怖いけど、そっとかがんで触ってみると、バラバラになったティッシュの残骸が散らばっていた。かごいっぱいに入った三人分の洋服やタオルをそっと取り出してみると、全体にまぶされている粉。ではなくてティッシュ。
「どうしたらいいのこれ…」
手に持っていたタオルをかごに戻すと、また足元にバラバラと落ちるティッシュ。続いて恐る恐る洗濯槽に手を入れると、内側にも予想通りティッシュ。洗濯かごの底にも確実に落ちてるであろうティッシュ。
床は掃除機をかけるとして、洋服からティッシュを取り除いて、最後に洗濯槽をきれいにしないといけない。
考えることが多すぎて、何から始めたらいいのか分からず、リビングに戻ってスマホで「ティッシュ 洗濯」で検索したところで、娘と夫が帰ってきた。
楽しそうに
「ローソンでゼリー買ってきたよ。ママは杏仁豆腐ね」
と教えてくれた。デザートは嬉しいけど、この状況を早く何とかしなければ。
二人が手を洗い終わったところでエプロンのポケットからティッシュの袋を出し、

「ちょっ!これ、頼むわ…」
お手上げ、という感じで娘に見せると
「あー!ほんとごめん!」

そうとうあわてていた。娘もすぐにスマホで調べ始めた。
私と同じサイトを見ながら、三人で対策を話し合った。
サイトによると、まずはティッシュの付いた洋服を入れて、乾燥をかけるといいらしい。乾いた状態の方がティッシュの残骸がはがれやすいそうだ。
その後、お酢か柔軟剤を入れてすすぐと落ちるとのこと。

「お酢入れてみたらええんちゃう?」
という夫に
「えー!無難な方にしとく。柔軟剤でやるわ」
と私。
「8時からNiziUのライブ配信があるから、それ見たいんだよね」
と娘が言うので、私はさっさと洗濯機のところへ向かった。

さて、電源を入れたものの、ボタンには元々点字は入っているが、コース名を音声で知らせてくれる機能はない。ボタンを押すごとに音程が変わっていく機能はある。

たとえば、お風呂の残り湯を使うとき、一度押すと「ピピッ」と音がして、ボタンを押す度に「ド・レ・ミ」という感じに高くなっていく。
一番音が低くなったときは、なんのメニューも選択されていない状態になる。
音程の変化でお風呂の残り湯モードは使っていた。
でも、たくさんメニューのある洗濯のコースや、普段使わない乾燥は憶えきれずヘルパーさんが来てくれたときに見てもらっていた。娘に頼もうかと思ったけど、始まったライブ配信に大喜びしていたこと、早くやりたかったこともあり、音程を聞きながら乾燥ボタンを押してスタート。
「頼んだ」と願いながらその場を離れた。

しばらくして様子を見に行くと、乾燥してるはずの洗濯機から水の音がする。まずい、やはり適当にコースを選ぶんじゃなかった。
押し間違えたと思い、娘に見てもらうと

「ママ、150分になってるよ」
と教えてくれた。いつ終わるねん。
乾燥はあきらめて、電源を入れなおし通常モードで洋服を洗濯した。無事にティッシュの残骸は落ちてくれた。そのままもう一度洗濯槽を洗って、最後にごみを捨てて何とかティッシュとの戦いに勝利した。

普段洗濯機は、電源を入れてスタートを押すだけなので読み上げがなくてもさほど困らない。でもこういう突発的なことがあると、コースが選べないと困ってしまう。
しゃべってくれる洗濯機があればいいのに。コースの読み上げだけでなく、洗濯もの以外の物を入れてしまったときに知らせてほしい。

「ちょっ!これティッシュですやんか。はよ出して。こんなの洗濯したらえらいことでっせ!」

と注意を促してもらいたい。
洗濯機に感謝の気持ちを持てるかもしれない。
天気を感知して、仕上がった洋服を取り出している間に
「今日めっちゃいい天気ですよ。これ干したらちょっと散歩でも行って着たらどうですか?」
と声かけしてくれたら、80代で一人暮らしの祖母も楽しいんじゃないだろうか。AI家電が進むとこんな日も来るのかもしれない。
娘には、くれぐれも洋服のポケットにティッシュが入ってないか確認してから洗濯機に入れてほしいと、何度も伝えたのは言うまでもない。

タイトル画像サポート

今回は、友人と会った時に一緒にみんなのフォトから選んでもらいました。

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