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あかりをあげましょうか

たのしい夕餉のあと。川の飛び石渡ってみようか、と友達とぷらぷらと歩いて川縁に近づく。夜はきちんと暗く、川面は薄ぼんやりとしてちょっと心許ない。「明かりがないからなぁ」と言った私に、間髪入れず「あかりをあげましょうか」という少年の声がした。ペンライトでも貸してくれるのかと思って「え、なに?」という私に差し出されたのは蛍だった。暗くて少年の顔も見えないけれど、そして私は虫が苦手なのだけど、嬉しくて腕を差し出した。蛍が少年の手から私の手首にうつってきて、一瞬光ってすぐに飛び立った。「あ〜!」と悲しい声をあげた私、彼は淡々と「あ〜」といってまた蛍を探しにいったみたい。

私はあかりをもらった。

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