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イギリスの学校 英語を理解する その5

50年ほど前に、英語もわからないのに、親の赴任に同行し、地元の小学校に転校したため、五感を最大限に活用して暮らしていくしかなかった11歳の子どもの話。

最初の半年だけで、しかも数回しかなかったような気がしますが、別な先生がやってきて、教室の片隅で、他の子どもたちとは別に英語の勉強をさせてもらいました。その時のことで、印象に残っていることが2点あります。

一点は冠詞の「a」と「the」です。

耳から学ぶ中で、ともかく、なんで聞こえてくるのかがわからないのが、この「a」と「the」でした。そのうち、どうやら、リンゴや鉛筆など物の名前の前にあるらしいということがわかってきます。でも、どういうときにどれが付いてくるのかが、わからない。なんだかいつも、どの言葉にも付いている気がする。

そんな時に、この英語の先生が日記を書くように言いました。そこで、私はすべての物の名前の前に「a」か「the」を付けた日記を書いてみました。もちろん日記といっても、1日1行何か書く、といったレベルです。

次にその先生にそのノートを見せると「a」か「the」を全部に付けるのは間違っているといわれましたが、それ以上の正しいやり方はわかりませんでした。というわけで、冠詞は未だ感覚的に対応しています。

そしてもう一点。その頃の私は、みんなの言葉をひたすら真似して覚えていましたから、彼らが言う通りの言い回しを使っていました。

ーThem books are mine.(あの本は、私の)

という言い方をしていたのです。すると、その先生は「あなたはそのような言い方をしてはいけません。Those books are mineといいなさい」と言ったのでした。「あの子たちはそういう言い方をするが、あなたはいけない」

言葉の乱れ、あるいは正しくない言葉の使い方は、外国人(英語の学習者)は覚えちゃいけないんだ、と子どもなりに理解したのでした。

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