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イギリスの学校 スクール・ジャーニー1

1970年代初めの中等教育の女子校でのことです。修学旅行に相当する「スクール・ジャーニー」は毎月積み立て方式でした。しかも、行きたい人だけ。

1年目のスクール・ジャーニーはパリでした。2泊3日の両行に一緒に行ったのは10名程。その中に同じクラスの子はいませんでした。

イギリスからフランスへは、ドーバー海峡を渡るフェリーを利用します。乗っているうちに悪天候となり、大時化になりました。フェリーが横揺れになりましたが、食堂の机が固定されていたので、机を両手で必死で捕まえて「ここで死にたくない!」と思っていました。

無事にフランス側に到着したのは予定よりも遅い時間で、疲れ切ってバスで眠りこけていた時に突然起こされました。寝ぼけ眼のままバスを降り、とある建物の中に入っていくと、みんなに暖かい飲み物が提供されました。

でも、カップではなく、取っ手のないボウルに入っています。湯呑とは違って口径が10cm以上ありそうです。後にカフェオレボウルというものだと知りましたが、「なんだこれ?」と思いつつ、暖かいカフェオレで体を温めたのでした。

宿泊先のパリのユースホステルでは、2階建てベッドの部屋に分けられ、そのまますぐに寝てしまいました。

次の朝、朝食をとった後に、パリ見物です。

オランジュリー美術館では、モネの睡蓮だけが展示されている部屋でしばらく我を忘れて、佇んでいました。その後バトゥと呼ばれる水上バスでセーヌ川からパリ散歩。ノートルダム聖堂ではきれいなステンドグラスの窓に見惚れました。

最後にモンマルトルの丘で自由時間となり、似顔絵を描いている人を冷かしながら歩いていたら、一緒にいた仲間が「トイレに行きたい!」と言い出しました。

彼女はフランス語クラスなのに、「トイレはどこですか?」が言えず、フランス語を知らない私が「トワレ!」「トワレ!」と彼女の代わりに叫んで、二人でトイレを探しながら、モンマルトルの丘の階段を駆け下りたのが強烈な思い出となっています。

あっという間のスクール・ジャーニーでしたが、パリに魅せられた旅行でした。


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