28時の空

明け方の窓が好きだった。
無為で不毛な夜更かしの後、寝床に就く前にちらりと窓の外を確認する。寝る前に窓の外を見るのはずっと前からの習慣だ。

ある空は星が煌めき、ある空は月だけがぼんやりと浮かんでいる。
しかしこの、夜と朝の境界が曖昧になる頃の空は違う。
基本的に普段はヒトが起きていないであろう時間の空は特別だ。
ある季節は夜空と同じように星が煌めき月が浮かぶ。
ある季節は藍色の空が明るみ、昇り始める前の太陽に照らされた、ぼんやりとした橙が溶け合い混じり合う。
そんなささやかな変化が楽しみで、明け方の窓が好きだった。

今は春。
窓の外には満月から欠けて歪な月が浮かんでいる。
綺麗だな。
あの柔らかい雲の波に沈みたい。
ゆっくりと眠れそうな気がする。

28時の空は、特別だ。

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