願望は声に出せ。 漫画家中原アヤ編

私は中学生の時に「ラブ☆コン」という少女マンガにハマった。
当時、私は女子校に通っていたこともあり友人たちとマンガの貸し借りを頻繁にしていた。

ラブ☆コンというマンガは大阪を舞台にしたラブコメディで、私が中学生の時に流行っていた他の少女マンガより、圧倒的に面白要素が多かった。
甘々な少女マンガと違っていたところが良かったのかもしれない。
作者は中原アヤという方で、四年前に深田恭子さん主演でTBSドラマ化された「ダメな私に恋してください。」の作者でもあり、実際にラブ☆コンもアニメ化やゲーム化、小池徹平さん主演で映画化もされていて、とても人気な漫画家さんである。

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中学生の時の私はラブ☆コンにドハマりし、家に帰れば自室でもリビングでもお風呂でも隙あらば何度も読み返していた。

一巻一巻読み終えるたびに「あーほんまええわー最高」と独り言をつぶやいていた。そんな私を見た母は「何回読むの。そのうち、ちぎれるんとちゃう。」といつも言ってきた。
ある日母に「またマンガおいてる!早く片付けて!」と怒られた時、私はいかにこのマンガが面白いかを母に力説した。
「もうホンマにおもしろいねん!甘々じゃないこのキュンキュンな感じがいいねん!!!一回読んでみて!!お願い!!一回でいいから!!!!!!」

滅多にマンガなど読まない母は興味がなさそうに「はいはい。わかりましたー。」と適当な返事をしていた。

それからしばらくしたある日

いつも通り学校から帰宅すると早々に母が
「ちょっとおいで」
と私に声をかけてきた。

母に「ちょっとおいで」と呼ばれた後に良い話をされたことはこの時まで一度もなかった。その時もビクビクしながらリビングへの階段を上ったのを覚えている。

リビングにつくと母は顔をニヤつかせながら
「それ、見てみ」とダイニングテーブルを指さしていた。

テーブルの上には大きめの袋が置かれており、中からマンガ二冊と色紙が出てきた。

なんと、中原アヤ先生の直筆サイン色紙だった。(しかも私の名前入り)

私は叫んだ。そして泣き崩れた。
母は笑っていた。

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(不特定多数の方が閲覧されるので、苗字は伏せてあります。)

でもなぜ母がサイン色紙をゲットできたのか。

当時、母は自営業でカレー屋を経営していて、常連さんの一人にお話好きのマダムがいた。

何の話から続いたのか今では忘れてしまったが、マダムから「ラブ☆コンっていうマンガ知ってる?」と質問され、母は「私の娘が好きでずっと読んでます!お風呂にまで持ち込んでます。この前なんてお風呂で読んでて落としてびしょびしょにして焦ってましたよ(笑)」と答えた。

なんとマダムは中原アヤ先生のお母様と大変親しいという。

「そんなに娘さん好きならサイン貰ってきてあげる。」と軽く一言母に伝えてその日は帰られた。

その日からしばらくも経たずにマダムはお店にやってきた。

「はい!これね!サインと来月発売の新刊!もらってきたよ!」と袋を母に渡した。

母も相当驚いたようで、その場でマダムが中原先生のお母様と電話を繋いでくださり、母も電話越しではあったが、お礼を言えたそう。

そして場面は私が泣き叫んでいるところに戻る。

こんなに奇妙で素敵なご縁も世の中にあるのかといまでも不思議に思う。

もしあの日、マンガが好きではない母に私が力説しなければこんな奇跡は起こらなかったのかもしれない。

自分が好きなものを「これ好きなんですー!」と周りに言うことが何かに繋がると初めて知った15歳の私だった。

それから私は自分が好きなもの、したいことはとにかく色んな人に話すようになった。

しかし、このお話はまだまだ序章に過ぎない。
これから私は不思議な人との縁にたくさん遭遇することになる。

そのお話をこれからまとめていきます。是非読んでいただけたらいいな。

P.S. 私が貸したラブ☆コン全巻を持っている中高の友人へ、まだ持ってたら返してね☆笑
私は二回も全巻大人買いしたよ☆笑
(↑ 誰に貸したかを覚えてない自分が悪い。笑 )

Azumi

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