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観たもの、聴いたもの、読んだもの(2024.06)



01.活字本

01.むらさきのスカートの女

Kindle Unlimited無料。
今村夏子作品は無料対象作品が多いので嬉しい。
むらさきのスカートの女を監視する黄色いカーディガンの女。
異常者を監視する異常者という関係性がなんとも言えない感情にさせる。
監視対象に異様に詳しい理由は最後まで説明されないので、少しモヤモヤ感が残った。

02.あひる

短編×3。
表題作の『あひる』がホラーのようなコントのような作品。
病院に預けたアヒルが違うアヒルになって帰って来る話。
宗教に傾倒している母親と、主体性のない父親、医療系の試験勉強をしている主人公。
ディティールを描かないことで不穏な感じが常時漂っている。
ホラーというわけではないが、ちょっと怖い作品。

03.独白するユニバーサル横メルカトル

平山夢明の短編集。
知らぬ間にKindle版が出ていたので購入。
エログロ描写の多い作家なので、電子版で買えることに感謝。
ファンだけど、大声でファンと言いにくい作家。
相変わらず残酷描写と汚物描写に気合が入っているが、角川ホラーで耐性を付けたせいか、以前ほどの嫌悪感は湧かなかった。
『ダイナー』と同じ様に奇人変人のオンパレーなのは楽しい。
SF要素の入った短編が入っているのは意外だった。
個人的にはゾウ並みの肥満が出てくる『Ωの聖餐』がオススメ。

04.箱男

安部公房2作目。
ファンが多い作品なので読んでみた。
感想としては、描写が細かすぎて読みにくい印象が強かった。
特に途中で登場する医師や看護師の関係性が頭の中でまとまらなかった。
『砂の女』よりも話の方向性を掴みにくかったので、読むのに時間がかかってしまった。
多分、全体の流れを理解してから再読したほうが価値が分かる作品だと思う。
サラッと読んで楽しむ人には向いていない。

05.白い部屋で月の歌を

SNSで紹介されていたホラー作品。
ジャンルはホラーだが、恐怖体験で読ませる内容ではなかった。
Amazonのレビューにも書いてあるが、表題作よりも『鉄柱』という短編の方が面白い。
鉄柱という1本の存在が、人生の意味を問いかけてくるとは思わなかった。
ホラー専属の作家ではないということなので、他の作品も気になるところ。
(あとで調べたら直木賞作家だった)

02.マンガ

01.ごみをひろう

町田洋先生の新作。
ファンとしては久しぶりに新作が読めてよかった。
鬱で断筆状態が続いていた影響か、絵は大分ラフになっている。
話はゴミに関する内容に終始しており、理解が難しかった。
初期作品が完成され過ぎていて、自分の中のハードルが上がり過ぎているのがマズイ。
昔のようにSF要素の入った作品を読みたいのが本音。

02.千年の花道

不老不死のアイドルと不老不死のオタクの話。
伴名練の『全てのアイドルが老いない世界』に似ていて好きな設定だった。
この作品の見所はネット上のライブのシーン。
古い曲を歌うことで、互いの関係性をネット越しに気づく展開が上手い。
安直に結ばれるわけではなく、アイドルとファンの関係性が続くのも良い。
SNSで話題にならなったのが不思議。

03.バンビーノ

マンガアプリで読み始めてハマってしまった。
イタリアンの料理人を目指す話。
久しぶりに実直に頑張る主人公を見て胸が熱くなった。
ひねた作品ばかりを見たあとに、直球ストレートは心に響く。
現在、続編の『バンビ~ノ!セコンド』を7巻まで読んでいるが、胸糞展開が多いのがちょっと不満。
土屋という同僚がひたすら不快で主人公を妨害する。
あと、ネットで指摘する人が少ないが、佐藤秀峰先生の絵に似ていいる。
アシスタントかと思ったが、無関係らしい。

04.ドランクバレット

帰ってきた高口楊先生。
『腹腹先生』から2年近く期間を空けての復活。待った甲斐があった。
舞台はまさかの禁酒時代のアメリカ。
大正~昭和の日本以外を書くとは思わなかった。
感想としては、序盤から任侠み溢れるキャラと、1枚絵の上手さが光っている。
主人公の酒解説も面白い。
日曜日のジャンプラで看板を取れる作品だと思う。

05.腕KAINA~駿河城御前試合~

『シグルイ』を再読し、がま剣法のオチが知りたかったので購入。
原作通りの展開らしいが、思った以上にアッサリと頑之助が倒されてしまった。
『シグルイ』の山口貴由先生のアレンジ力が凄すぎたせいか、本作は肩透かし感が強かった。
がま剣法を破る方法に、もう少し説明があれば納得できたと思う。
無茶な願いと知りつつも、駿河城御前試合は全試合、山口先生に書いて欲しい。

06.寿エンパイア

『バンビ~ノ』の作者の寿司マンガ。
寿司マンガにバトル要素が追加されており、演出過多で面白い。
児島さんが相手を罵りながら技術指導するシーンが有名。

テンポがとにかく良く、葛藤シーンも数話で終わる。
『バンビ~ノ』のように嫌なキャラでズルズル引きずらないのは良いと思う。
現在連載中の寿司マンガとしては間違いなくトップクラスなのでオススメ。

03.アニメ

01.ダンジョン飯

何も文句のないアニメ化。
原作絵と違うという意見もあるようだが、TRIGGERのコミカルな絵柄でキャラクターが活き活き動いているので魅力がアップしている。
2期決定で、とても嬉しい。

02.無職転生

継続して見ているが、昔ほど惹き込まれないのを悲しく思う。
自然と1期と比較してしまうが、やっぱりエリスとルイジェルドの存在が大きかったのだと思う。
能力を過信している主人公が、周りの影響で精神的に成長していく所も良かった。
とりあえず、久しぶりにロキシーが見れたところだけはGood。

04.映画

01.恋はデジャ・ブ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FB83TRW/ref=atv_dp_share_cu_r

アマプラ100円で視聴。
古典ループSFモノ。
邦題とパッケージでかなり損をしていると思う。
ループ理由と脱出方法の説明がないのは不満だが、閉じ込められた1日の中で希望を見出していく主人公の姿が良い。
ニーチェの永劫回帰からヒントを得た作品らしいが、シンプルに人生を勇気付けるメッセージを感じた。
タイトルで恋愛映画と誤解されそうだが『天使のくれた時間』のような人生を考えさせるヒューマンドラマだと思う。

02.MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B6T41D4D/ref=atv_dp_share_cu_r

ループモノ2作目。
社畜×ループ。
タイトル通り、ループを抜け出すために上司を説得する話。
中盤までの展開はテンポが良くて面白かったが、終盤からの展開は独自性が薄れた感じ。
PowerPointで上司にループ現象を説明する作品は、日本以外からは現れないと思う。
日本の会社組織の歪さを上手いこと落とし込んでるがのがGJ。
ストーリー上で『恋はデジャ・ブ』が上がっていて笑った。

03.ハッピー・デス・デイ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B081S4Z4QM/ref=atv_dp_share_cu_r

ループモノ3作目。
殺人鬼×ループ。
殺されて同じ日を繰り返すのは『ひぐらしのなく頃に』を思い出した。
主人公が段々と覚悟がキマって行くのはアメリカらしい。
犯人は誰かというサスペンス要素も上手いこと活かされている。
この映画でも『恋はデジャ・ブ』が上げられていた。
正直、ループSFとしてのフォーマットが優秀すぎるから仕方ない。

04.愛がなんだ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07Y8WBRJL/ref=atv_dp_share_cu_r

Z世代の社員に勧められて視聴。
派手な展開はないが、飽きずに観ることができた。
東京に住む男女の日常系。
ダメな人間同士がダラダラとつるむ感じの不快さが上手い。
この作品を観れば、東京の出生率が1を切るのも理解ができる。
原作を書いている角田光代さんの作品は読んだことがないが、厭世的な感じはハマりそう。
人気の女流作家は内面の描き方が上手すぎる。

05.女神の継承

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B6PKY6LD/ref=atv_dp_share_cu_r

タイが舞台の韓流ホラー。
怖いのだが、2時間超でドキュメンタリー風の展開はダルかった。
要は『エクソシスト』的な悪魔憑きの話。
アジアが舞台で新鮮な感じはするが、終盤の唐突なゾンビ映画展開は少し萎えた。
除霊中に開けてはいけない部屋を開ける展開は「ダチョウ倶楽部かよ」とツッコミを入れたくなる。
ただ、最新のホラー作品の表現方法をふんだんに取り入れているのは面白いと思う。
海外輸出を視野に入れた韓国映画の本気を感じた。

06.エスター

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FIWN2UA/ref=atv_dp_share_cu_r

職場の新人の子に勧められて視聴。
養子にもらった子がサイコパス系ホラー。
『オーメン』で確立されたジャンルなのだが、家庭内で起きる事件にハラハラした。
特に終盤で化粧をしたエスターが父親を誘惑するシーン。
化粧が不気味なのと歯が汚いのがリアルで震えた。
歯で年齢が分かるのは知らなかったので勉強になった。

07.ターミナル

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B018WCID4M/ref=atv_dp_share_cu_r

ニューヨークやってきたトム・ハンクスが、入国も出国もできずに空港で生活する話。
スピルバーグ×トム・ハンクスという掛け合わせで極上の作品に仕上がっている。
特に序盤でハンバーガーを食べるために四苦八苦する姿が良い。
ジャンルとしては『キャスト・アウェイ』のような漂流モノ。
目の前にモノはあってもお金がなければ無人島と同じ。
スキルと人柄が身を助けるのは、万国共通の価値観だと感じた。
終盤の恋愛要素は賛否が分かれそうだが、待つというテーマに沿っているので必要だと思う。

06.ドラマ

01.ザ・ボーイズ シーズン4

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CN6QQN92/ref=atv_dp_share_cu_r

アマプラ・オリジナルドラマ。
非道なヒーローたちの所業が丁寧に描かれた作品。
このドラマの一番の魅力は、メンタルが不安定なホームランダー。
スーパーマンと同じ能力でありながら、平気で一般人に手をかけるところが良い。
シーズン4になると流石に展開がダレて来るが、ホームランダーのパートは制作陣も気合が入っているので飽きない。
人にはオススメし辛いが、普通のマーベル作品に飽きた人にはオススメ。

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