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HollowKnight-考察-ウィルム

ハロウネストの辺境、王国のはずれ
そこに住まう巨大な老芋虫バードーンは語ります。
この灰に埋もれた地はウィルムの墓。この舞い落ちる灰は脱皮の証だと。

●ウィルムとは一体?

ここに登場する固有名詞「ウィルム」他のセリフから推測するに王のことを指しているものでしょう。しかし、王の名前かというと疑問が残ります。
バードーンの他のセリフに以下のようなものがあるからです。

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●バードーン
誤解するな。我はウィルムではない…オーム…我はウィルムとしては小さすぎ、多すぎる四肢をもつ。我はあの古の者のような洞察を持たない。

どう読んだとしても種族名か総称・呼称のたぐいっぽいです。
彼の発言を信じるならばウィルムとは以下の3条件を持つようですが……

・バードーンよりも少ない四肢
・バードーンよりも巨大な体躯
・特徴といえるレベルの強い洞察力

いったいどんな存在がウィルムたりえるのでしょうか?
順番に見ていきましょう。

まず四肢の数ですが
王の印を求めて潜入する際にわかるようにウィルムの抜け殻は細長く、ミミズのように脚が全くないor少ないと推測されます。
続いて比較対象のバードーンについて、下のスクショ右側に注目。

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ちらっと見える体側部には密着した脚が3つあることが確認できます。
彼の身体は手みたいな頭部横の脚+腹脚or尾脚構造、芋虫型
大概のムシは四肢が少ないことになりそうです。


続いて大きさ
バードーンが既に3画面分以上の超巨体ですが、これでも小さすぎるとなれば闘技場になっている別の巨大ムシも小さいので(!)ウィルムには区分されないことになるものと思われます。

ばーどーん図解

ウィルムの抜け殻は本来どれほど大きかったのでしょう?
エリア全体に灰が降り注ぐことから考えても王の印があった部分が尻ということはなさそうです。脱皮した殻が崩れて洞窟のようになっているとすればプレイヤーが通ってきた通路全てがボディだったとも考えられそうです。

だとすればバードーンの10倍は大きそう。
これほどのサイズ差ならば自身が「小さすぎる」という表現も納得です。


3っつめ、洞察力ですが
王には未来を予見すると評される程の力があったようです。
胞子の森、女王の駅から右へ行った突き当りの部屋にはスポアシュルーム装備時だけ閲覧できる石碑(?)があるんですが、そこには……

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我らは注意深くウィルムの意思を受け入れる。
その先見は我らの盾となり、
我らは運命と未来をからみ合わせる。

…という記述があります。このウィルムは王のことで間違いなさそうです。
胞子の森に住んでいたキノキン族は王国へと帰属するにあたって、王の力を利用して不都合な未来・運命に備えようとしていたのかもしれません。

「盾となり」という表現から、予見した悪い未来を避けたり備えることができたはず。未来予知の能力にありがちな予測可能回避不可能な未来視タイプではなく、情報を積み重ねて可能性の高い未来を予見するといった高次の予測だったのではないでしょうか。

こういったタイプの予測は正確な情報が多いほど予測精度が上がります。
誤った情報に基づいて導かれた予測の精度など知れたもの。
事象を正確に把握して物事の本質を見抜く力といったものが大切です。
そう考えるならば、王(≒ウィルム)には深い洞察力があったでしょう。


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●王以外にもいるのか?

さて、ここまでを踏まえてウィルムの該当条件を見返すと

・四肢の数が芋虫型のムシよりもはるかに少ないかゼロ
・バードーンの10倍くらいでかい
・巨体に見合わぬ深い知恵を持つ

条件ガバガバです。すごい幅広い範囲の存在が該当しそうですね
っていうか他にも該当する個体がいないとおかしいレベルです。
思い起こせばオグリムの台詞にこういったのもありました。

●狩猟者の書・純白の騎士
王者の呼び声、コブの林、黒いウィルムの戦い…わたしはすべて覚えている。再び会うそのときまで、わたしはこうした栄光とともに生きるだろう。
- 五英雄の一員、オグリム

黒いウィルム……王国のはずれにある個体は、どう見ても白いですから
やはり他にもウィルムに該当する個体がいたと考えるのが自然ですね。
少なくとも最初に述べた王の名前≠ウィルムは正しそうです。

では、他に例えば白いレディやウヌもウィルムに該当するのでしょうか?

白いレディは王国一帯に張り巡らされた根をボディの一部と考えるならば巨大さは十分と言えます。台詞の節々から深い知性も感じられます。
ただ、未来を予見するほどの洞察力とまで言えるかというと台詞や作中の描写からでは判断が難しいと言わざるを得ません。

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ウヌはナメクジっぽいので四肢の数は問題なさそうですがボディサイズの全体像が見えないので判断に悩みます。洞察力に至っては台詞ゼロなので……どっちもあんまりピンとこない感じですね。。。

ちょっと見方を変えてみましょう。

ウィルムは大概の事柄には巨体=強さで対応できる存在です。脳筋で知性がなくていいとまでは言いませんが未来を予見するほどと評されるまでの洞察力は過剰で無駄な能力とも考えられます。無駄、効率が悪い……適者生存を基本とする自然界では不自然な存在と言えるのではないでしょうか?

巨体・深い知恵を併せ持つ不自然な存在といえば
ファンタジーの定番「ドラゴン」
      ↓
ウィルム
はHollowKnight世界におけるドラゴン(役割)

なるほど、そう考えれば多種多様なウィルムがいたとしても納得です。
ドラゴンだって千差万別、翼竜・地竜・海竜・古龍のほかにもアレコレいる上に竜と龍は区分すべきだなんて話まであってこんな本出てるくらいですし種族名というには物凄いおおざっぱな総称ですよね「ドラゴン」って。

王は地面もぐってくタイプのウィルムだったみたいですが、ひょっとしたら羽を持って空翔るウィルムもいるのかもしれません。こうなれば白いレディやウヌもムシによってはウィルムだって言う個体がいてもよさそうです。



というわけで、以上
・王の名前はウィルムではない
ウィルムは王以外にも複数いるはず  ……っていう話でした。




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●ちょっとメタい話

実は原語版のウィルムの表記wyrmは確か古英語的でドラゴンを表す語として使われていた単語だったはずで、なじみのある日本語表記に直すとワーム

連想するイメージが人それぞれだと思うんで補足しておくと、おおざっぱには翼はあっても四肢がないドラゴンを指します(注:Wormじゃないヨ)。

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こういうやつです。まんまですね。
でも、姿形のネタ的にはモンゴリアンデスワームとかのがっぽいです。文化圏によっては、あんまり賢い存在としては描かれない傾向があるので深い知恵持つウィルムをメタ思考する向きとしてはズレているかもしれません。


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