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HollowKnight-考察-神を求む者

Hollow Knight(ホロウナイト)DLC第4弾GodmasterのNPC「神を求む者」

ただでさえ謎だらけな本作でもトップクラスに設定情報が少なく、想像材料は節々の思わせぶりなセリフの数々とED映像くらいしかありません。
とはいえ、そういうのをアレコレ考えることこそ楽しいものです。

人・物・事の理解における第一歩はスタートとゴールの把握からですが、出自に関しては資料がなさすぎて難しいので彼女達は何をしたいのか(ゴール)から推測してみましょう。


概要

でも、基礎知識から始めるとらちあかないので
台詞やモノローグ、基本情報については過去記事とかwiki参照ということで



外観・容姿

さて、まずは見た目から。ガラクタ穴にいる神を求む者は一個体だけですが神の家には玉座に座る彼女のほかにも数多くの同族らしき姿が見受けられ、現実世界と神の家では彼女の姿も大きく異なります。

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ガラクタ穴:プレイヤーより遙かに巨大、手足は細いがある
神の家内部:プレイヤーより少し大きい、手足はあるのか不明
冬眠中かも:蛹や棺のようにも見える外殻+鎖と錠前で戸締り

デブい……もとい御立派様な体格は手足とのバランスが歪ですが、これは巨大ムシ種族だとかではなく眠っている間に肥大したものとのこと。何者かによっての封印なのか、あるいは生存環境の苛酷さからの冬眠など経緯は不明ですが眠りそれ自体は望んだものではなく強いられたもののようです。

●神殿2つ制覇後(調律器を所持後)
我らの形状は膨れ上がっている?肥大している? いや、巨大化している。荘厳。我らに強いられた長い眠り。しかしその殻は強い… とても強い!

ただ、錠前は単純な鍵で解除できることから封印されていたというのは考えにくいです。なので自発的な冬眠で、防犯で施錠していただけなのかも?



能力

続いて出来ること、能力
これはどうやら神の家の維持管理にほぼ全力を注いでいる様子。

ゲーム中で撃破したボスキャラ達の石像が建立されていく「神々の間」
「練達者・芸術者・賢者の神殿」&強化ボス中心となる「騎士の神殿」
騎士の神殿をも突破すると挑戦権が与えられる「ハロウネストの神殿」

神々の間はプレイヤーがボスキャラを撃破するたびに石像が増えていきますが、神の調律器を保有していなくても像が追加されていくことから調律器は収集のための道具≒捕獲機ではなくセンサーのようなもので、神々が目覚めているならば調律器の所持や距離に関係なく収容できるみたいですね。

●ガラクタ穴にて、神殿3つ制覇後
この王国の中枢において、我らは彼らの声を聴く。しかしいくつかの神はいまだ離れた場所におり、それを目覚めさせる必要がある。
神の調律器を持ち、神々を探し当てよ! 求めよ!彼らはその道を見出し、精神と、家と同期する。

夢見の釘を当てることすらできない完全に死亡したムシの像がある一方でホーネットやフンコロ騎士など存命のムシの像もあることから、夢釘のようにエッセンスを収集してエミュレートした偽物でない偽物なのか、あるいは生者は夢を死者は残留思念を招き入れているのかもしれません。

少なくとも、神殿で初めて戦うことが出来る釘師達や純粋なる器もいるので神殿へ招き入れるのに撃破は必須ではなく遭遇するだけでいいはずです(メタ的には神殿限定の追加ボスだからなのですが……)。


スクショ18_縛り8個制覇

このほか縛りクリアで解放される生命の血が封印された部屋があります。

解放すると神殿中にツタを這わせて繁殖(もはや侵食?)。
アビスにある生命の血の部屋にも話がつながるのですが、雑魚敵すら神々の間に祀られているのにこれだけ特別扱いで封印されているのは注目すべき。


……いささか脱線しましたがしかし、やはり一個体の精神世界としては広大過ぎます。おまけに前述の通り本人以外のモブ住人が多数いるとなれば、もはや異常と言っていい精神構造です。なに考えているのかとか人類にはちょっと想像できないレベルの差があるかもしれません。



人格

そんな彼女の発言はプレイヤーを下賤な存在として見下すような古風で尊大な言い回しが多いです。発言の節々から彼女の中では[神々>自分達>他のムシ]の序列であり、それぞれに越えられない壁でもあるかのような印象。

●練達者の神殿、初挑戦時
哀れな! そなたは自らの破滅の道を確定させた!
神聖なる戦いを通し、我等はこの王国で最も偉大な者たちと同期する。この門をくぐることで、そなたは王国の神々と相対することとなるだろう!
そなたは自らを、この神殿に祀られし者たちと同格と信ずるか? 愚者の中の愚者よ、ならばその釘を抜き、その傲慢さの報いを受けるがよい!

神々を探せ、と言っておきながら神殿にお邪魔すると凄いブーイングを浴びるんですが……考えてみれば「神々を探し当てよ」と下僕に命じているだけで、神殿に入って崇めてよいなどとは一度も発言していないんですよね。

下僕が不遜にも昇殿しようとしているので無礼者!と叱っているのかも

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前述したモブ住人には特段セリフなどはないため、その内面をうかがい知ることはできないです。夢見の釘を当てられるのだけれど、どれに当てても

…我らの心は海を…
…橋を…
力を…求めよ…
神々を求める者よ…
…同期せよ…

……といった断片的なつぶやきを目にすることが出来るのみで個性といったものがあまり感じられません。



考察

ただ、彼女達の思想は恐らくはシンプルに信仰という1点に集約されます。賢者の神殿(クリア前)に聞けるセリフに以下のようなものがあり

●偉大なる釘の聖者スライ戦前
そなたは我らの目的を誤解している。戦いの儀式を通し、我らは神々の声と同期する。彼らは我らをかつてない高みへといざなう! 高く、高く、さらに高く! そしてその神聖なる集中によって、我らは王国の中枢に眠る偉大なる力との交わりを果たすのだ……

いささか抽象的ですが自分達の目的が下記3つだと言っています。
・神々の声と同期すること
・神々に高みへいざなってもらう
・中枢に眠る偉大なる力と交信したい

神々の声と同期する。わかるようでわからない表現ですね。
で、ここからは私のイメージなんですが音叉に例えられるものでは?と

①神々=でっかい音叉
②神を求む者=ミニ音叉

こう考えたとします。
闘いを儀式として神々はその神威を声=音として神殿中に鳴り響かせます。
そして、神を求む者たちは自分で音を出すことはできませんが(神威を持たない)神々の声に共鳴することはできます。
この神々の声に共鳴することこそが彼女たちの信仰・祈りの形なのです。

より神々の声に共鳴しやすくなるようにと精神修養を重ねる(音叉としての質を上げる)ことこそあれど神々と同じ大きさの音叉になろうとか一体化しようといったこと……つまり、神になりたいなどとは考えてすらいません。

あくまでも彼女達は神を求む者なのです。

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また、素晴らしい存在を神々として崇める一方で、今祈りを捧げている神々よりも更に偉大な神々がいるであろう可能性も否定していません。これは一見すると神々に対して不遜な態度にも見えますが、そうではありません。

●ゴッドシーカーモード開始時
もっとも神聖で、もっとも気高い、神の中の神! そなたは我らの精神が同期する、卑しき神々に挑むために戻る。
その栄光の前に無力なムシとして、我らは頭を下げ、足をこする。我らは我らのすべてをささげ、再びそなたの力の目撃者となる!

このようにゴッドシーカーモード開始時には神の中の神!と掌を返してプレイヤーを称賛して他を卑しき神々なんて表現するんですが、だからといって神々の間の石像文に変化はなく「~の神」と崇める対象のままです。

これはつまり彼女達が今までよりも偉大な神を見つけたとしても、従来よりも高みへと導いてくれる存在を発見しただけであり……既存の神のトップが入れ替わるのではなく今までより更に上座が増えるだけということ。
底が抜けて既存の神の序列が下々の一般ムシにまで下がってくるのではなく天井(だと思っていたもの)がさらに上がるだけなのです。

彼女達と神々の間には決して越えられない隔たりがあり、どれほど偉大な神が新たに見つかっても従来の神が自分達のランクへ落ちてくることはありません。より高次の神を崇めたいという欲求があり、神同士を比べて言葉を飾ることはあれども、神々はあくまでも神々であり崇拝対象のままなのです。





……というわけで神を求む者のキャラクター理解は信仰(多神教)を軸として行動する巡礼者って感じなのでは?という話でした。


彼女達にとっての苦しみは神の声を聞けないこと。自分達を沈黙の心から救う存在、神を求め続けています。もしもラディアンスに出会えたら、その声が聞ける限りずっとハロウネストで祈りの日々を続けたのかもしれません。

ED_20200822_神の家06

しかし神が去ってしまったならば、新たな神を求めて旅をするのでしょう。

神へ祈れども、神を留めることはできず、永劫に神を求め続ける
それが彼女たちなのです。



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