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1日で離婚して結婚しようとした

痴情のもつれとかではない、決して。

自分の生まれてからの苗字が、姓が好きだ。もちろん父がつけてくれた名前は意味含めて好きだが、家庭の外である会社や友人と関わる時は苗字で呼ばれることが大半を占めていたし、それが好きだった。姓の読み方はなんてことないのだが、漢字が特殊で同じ苗字の人に親族以外に直接出会った事はなかった※1

だがそんな苗字を手放さなければいけない時が来た。

結婚だ

私が結婚した当時は選択的夫婦別姓を推進する話が盛んで「あ、このままいけば生きているうちに元の苗字に戻れるかもな」と考えていた。夫は、姓に執着はないようで私の姓でも良いとは言っていてくれてはいた。しかし夫は長男で、義両親の人柄や考えもまだ見えなかったこともあり、円満に婚姻を結ぶにあたって夫の姓となる事を選択した。

新しい姓は嫌々ながらも転居先の職場で馴染み、生活の中で新しい姓で呼ばれることの方が圧倒的に多くなった。しかし一年過ぎても二年過ぎても違和感を拭えないままだった。選択的夫婦別姓案の雲行きも怪しくなり、これは私の生きているうちに夫婦別姓は実現が難しそうだなと思った※2

その他様々なタイミングや思い至る要因はあったのだ※3、夫婦揃って私の姓にしてみようという事になった。夫に話を持ちかけたときは婚姻前と変わらず「好きにしていいよ」と言ってくれた。ありがたい。

婚姻の際、義両親に姓へのこだわりがあることを相談していないのが心残りだった。結婚して2年が過ぎ義両親の人となりもわかり、込み入った話を相談し腹を割って話しても良いと思えた。

言うだけ言ってみよう、そう思い改姓に向けて動くことにした。義両親や私の両親に説明して誰か1人でも懸念を示すのであれば、現状のままでいっても良いとは思っていた。其々の価値観と希望の下で話を進めることを大切にして夫、義両親、そして自分の両親に説明し、そしてみんな了承してくれた。感謝しかない。

改姓しよう!準備編

婚姻後夫の姓から妻の姓に変えるにはいくつか方法がある、

家庭裁判所に申し立てる
婿養子になる

正規ルートはこの2つだ。
1に関しては「婚姻時に不当に夫の姓になった」「日常的に社会上旧姓を使用している」等を証明し申立てを行うものである。しかし今回に至ってはただただ私の希望である事を踏まえると難しそうだった。2に関しても今回の趣旨には添わない。もう一つルートがある。

離婚して再婚する

メリットとしては手続きが速いことだ。一般的に離婚から100日経過しないと再婚は出来ないとされている(他諸条件あり)。しかし同じ相手であれば再婚までに日数を空ける必要がない。デメリットとしては戸籍に×がつく事だ。これに関しては夫婦共々特別気にならないという事で問題とならなかった。よし、一日で離婚して再婚するぞ!と決心する。

方法は決まったのでとりあえず役所に相談に行った。一家庭の決断により、やや煩わしい戸籍手続きをお願いする手前、手順を事前に確認しておきたかった。結果としては、同日のうちに離婚して結婚する事はおそらく出来なくはないが辞めておいた方が良いとされた。というのもその日のうちにどちらかが死んでしまったら婚姻状態にあるのかがあやふやとなり相続問題が発生するからだそうだ。確かに、その日に死なない保証はない。そして復縁の意思があるのに離婚届を出すのもまた褒められた行為ではないようで、離婚届を出す際はその旨は言わない方が良いとの助言もいただけた。「離婚届を出すその瞬間は離縁するぞという体で行く事」とメモしておいた。
というわけで離婚届は前日以前に提出することになった、これはどのくらい間隔を空けた方が良いかは曜日とか月周りとかそれぞれの役所によるので事前に相談されるのが良いと思われる。

改姓してみて

そして離婚して結婚した。予め書類の不備がないか確認していたこともあり、手続き自体は恙無く終える事が出来た。婚姻届けを出した後の数々の苗字変更手続きも2人揃って回った。この煩わしさだけは人生2回目でも変わらなかった。婚姻届を出すだけでマイナンバーカードと免許証の名義変更くらいまでは勝手に変わってくれないかなと思う。諸々の手続きの際に記す名前が従来の苗字となった事はただただ嬉しかった。

平成28年度の統計では女性側の苗字の名乗る夫婦の割合は4%らしい。参考:厚生労働省:平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況

統計を見る限り年々増えているようだから今はもう少し割合が大きいとは思うが。

私の世帯は夫と両親達の理解があっ※4今回のような選択になった。一番最初に相談しておけばよかったと言われるとその通りなのだが、最初からでも言い出し易いような世の中を私は望んでいる。


※1 実際全国に100人もいなかった。

※2 選択的夫婦別姓に関して私は賛成だが、今では反対側の言い分もわかるものがありそれならそれで仕方ないのかもしれないと思っている。この論点に関してこの場では争わないで頂きたい、そういう話ではない。

※3 夫婦の間に子どもがいない事とか、2人で組んでるローンや保険がない事とか年齢とか職場での立場とかそういう事である。

※4    なんかいろいろと社会に思うところがあれど嫁の挑戦については頑張って貰えば良いのではないのかそんな気で眺めているby夫

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