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【鍼の物語 - 鑱鍼 ZANSHIN -】今日、ついに鑱鍼が出来た。 #1/1

こんにちは。東豪です。

2022年8月18日(木)は、一つの記念日になりました。

計画から約3年。江戸時代から伝わる鍼具師さんの鍼具を復刻するために、これまでの失敗の歴史を共有したり、どうやったら再現できるか模索してきました。

この鑱鍼(ざんしん)復刻の計画に携わって下いました皆さまに感謝です。まずは、心より御礼申し上げます。

これからこの鑱鍼を、実際の臨床に使用できるところまで持っていくには、手作業で磨き上げる必要があります。この工程は私の担当です。この磨きの工程も含めて【鍼の物語】として、記録が残るようにできたら良いなと思います。

この気持ちの熱い内に、思い出の記録として【鍼の物語 - 鑱鍼篇 -】の第一弾を書き綴りたいと思います。

では、行きましょう!


おそらく今に至るまでの過程を含めると、2022年8月18日(木)の『ついに鑱鍼ができた』お話は、スターウォーズのエピソード4あたり

一朝一夕ではできませんでした。私の気持ち一つで企画が始まりました。私には制作できる方を探すことができる人脈はありませんでした。もちろん、制作するための技術もありませんでした。

私の気持ち一つを、真剣に受け止めて、その意思を伝えて、それを実際に質量のある物(カタチ)にして下さりました。

『無(気持ち)を有(質量のある物)』してくれたと思うと、これはとんでもないことですよね。あらゆる世界に無を有にする職人さんがおられるかと思います。本当に尊敬しております。

これまでの道中を過去回想したり、一方で、磨きの工程や実際に使うところなどの現在進行形の過程を記録したり、2022年8月18日(木)の今日を起点に過去と未来に行ったり来たりする【鍼の物語 - 鑱鍼篇 -】が描かれるのではないかなぁと思います。


ちょっとだけ過去回想

この【江戸時代から伝わる鍼具師の鍼具の復刻プロジェクト 鑱鍼篇】に、最も尽力して下さった方がおります。

以前の職場で同僚の、現役の歯科医師で臨床にあたりながら、東洋医学の鍼灸を学んでご活躍されている水口瑞穂先生です。現在では、医鍼連携を推進するための会でもご研鑽を積まれ、本当の意味で現代医学と東洋医学の生体観を合わせた独自の立脚点を見出そうとされています。

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約3年前に、まずはスモールステップということで、私の手元にあった一般的な鑱鍼を用いてプロトタイプを作成して頂きました。出来上がったものを見て『これはいける』と踏んでからの道のりは長かった。


難航した交渉

水口先生は鑱鍼制作のご依頼先を、なんと数10社以上の企業や個人の技工士さんに当たって下さったと言います。でもダメなんですね。製造方法が新しくなりすぎていること。また、本業とは異なる『鍼具』というものを作成してもらう異常さ(笑)。本当に、交渉は大変だったとおっしゃられておりました。肌身で感じてこられたのではないかと思います。

詳しい説明は後日にしますが(しなかもしれませんが)、今我々は、一般に販売されている鑱鍼の製造過程とは異なる方法で制作してみようと考えているわけです。この製造方法は、これまで鑱鍼に応用されてこなかった製法です。

つまり、【江戸時代から伝わる鍼具師の鍼具の復刻する】という趣旨の上に、一般の製造方法とは異なる方法で、伝統と革新を抱き合わせて、これまでになかった鑱鍼を制作しようとしています。

この希望を叶えるには、今や、銀の取り扱いができる職人さんがいないというお話しなんですね。

今の時代は、クラシックスタイルの鋳造はしていないそうです(できないか、もうできる技術を持っている人がいない)。すべて、新製法・新素材が主流となっているとのこと。銀も高騰していることも、影響しているようです。

しかしながらその人材的にも、材料的にも困難な状況でありながら交渉に交渉を重ねて、なんと銀の取り扱いができる職人さんと出会う事が出来ました。

そこから1年以上の時を経て、今日の【江戸時代から伝わる鍼具師の鍼具の復刻プロジェクト 鑱鍼篇】に至りました。

水口先生、平素からお心遣いを賜りいつもありがとうございます。また、鑱鍼を制作して下さった職人さん、私の夢にも近い『気持ちをカタチ』にして下さり、本当にありがとうございます。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。


鍼の写真はまた今度。今は神棚で、少しお休みしてもらっています。では。


今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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