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【新・中医臨床カンファレンス】に参加して #4

こんにちは。鍼灸専門 一齊堂の東豪です。

本日、東方医療振興財団主催の「医師・鍼灸師・薬剤師が連携してよりよい医療を患者様へ提供できる仕組みづくり」の一環。

新・中医臨床カンファレンスに参加し、症例報告させて頂きました。

▼新・中医臨床カンファレンスとは

【目的と概要】
症例をもとに中医診断、弁証、治法、処方、服薬、また食事や養生を含めた生活習慣への指導等について、日々の診療に中医学を取り入れている経験豊かな講師を中心に、意見を交わす交流会です。

【開催日時】
第4 月曜日
20時〜 (60分程度)

10月の主訴 

「ポリオ後遺症による全身の痛みと強い冷え症状」

最近ではなかなかみることが少ないポリオという細菌感染症の後遺症です。

今回の症例では、まずは西洋医学的な病態をしっかり把握することを前提に、東洋医学的にみて最も顕著に表れている『腎陽虚+水滞』による強烈な痛みと冷え症状に対する鍼灸治療を報告させて頂きました。

詳しいことは割愛しますが、現役の医師と臨床20年以上のベテラン鍼灸師の先生から、今日も実践的かつより良い治療に向けたアドバイスを頂けました。

今回、非常に興味深かったポイントは、症状をみれは誰もが『腎陽虚(じんようきょ)+水滞(すいたい)』が主要因と認識していました。

しかし、時系列的な生活の変化を見ていくと、実は発症のキーとなっていたのは日常生活の不調和(ストレス)が起因しているのではないか、という結論に帰着したことです。

つまり、どういうことか

少し専門的になりますが、気が動きたくても動けない。『気滞(きたい)』と呼ばれる状態が、治りたくても治れない状態を作っていたということです。

この症例では、はじめは通院されていたのですが、ご家庭の状況を鑑みて往診に切り替えた方が良いとの判断をしました。

私が往診することで、同伴での通院のために遠方よりいらっしゃるご家族様の身体的な負担や、患者様の状態を継続的に報告することで心理的な安心感を生めないか、と考えたからです。

当時の治療院には往診事業部はなかったのですが、許可を頂けたことは治療院にも感謝ですね。

患者さんやご家族様の安心感によって、日々の生活の緊張感やストレスから徐々に解放され、『気滞』の状態から『気がめぐる』状態へと進み、結果としてかなり大きな効果と改善ができたと思われた症例でした。

鍼灸も効いたものと思われます。

ただ、正確な診察・診断・治療というスキルと同じくらいか、あるいはそれ以上に大事なこととして『鍼灸が効く環境をいかに作れるか』、ということが重要だったと思います。


次回は、
11月28日(月)20:00~21:00 @zoomです。

現在、東方医学会 新・中医臨床カンファレンスでは医師の参加を募っています。

漢方薬を使っている医師で、レベルアップしたいと感じている方。具体的な症例を通じて、明日から使える中医学の弁証思考・処方例を、中医学を修めた現役の医師から学ぶことができます。

漢方薬局を開業している薬剤師や、東洋医学に興味のある医療従事者の方もご参加いただけます。

まずは、聴講できますので、一度ご参加してみてください。

▼申し込みはこちら


東洋医学の医師の『思考の型(しこうのかた)』を学べる、良いカンファレンスだと思います。

では、今日はこの辺で。


今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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