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2021年から自作キーボードを始めて、約1年で作って作って作りまくった記録(上半期)

はじめに

この記事は キーボード #3 Advent Calendar 2021 の2日目の記事です。

1日目の記事は、kushima8さんの ロータリーエンコーダやトラックボールなどのキースイッチ以外の入力部品について でした。

ロータリーエンコーダとかがついたキーボードはつい興味をひかれてしまうたちなので、楽しく読みました。
いろいろな部品がまとまったページは貴重なので、今後キーボード設計をするときにも役立てたいと思います。

この記事の概略

記事のタイトルですべて言い切っちゃってますが、2021年に組み立てた自作キーボードのまとめです。
本当は1年間全体の記録を残すつもりだったんですが、この調子でいくと、Advent Calendarの公開日に間に合わないなってなったので、この記事では1月~6月の上半期に絞ってまとめています。

一部組み立てていないものもありますが、キーボードの記録として残しております。

作ったものはだいたいTwitterに写真を上げているので、完成(とみなした)当時のツイートを載せています。
2021年12月2日現在とは違う見た目をしているものも多々あります。

Caravelle-BLE(完成品購入)

自作キーボードがほしいいいいい! となって、分割型でBluetooth接続のものがよかったので、Caravelle-BLEを選びました。

はんだ付けとファームウェア書き換えと40%キーボードへの移行が同時にできるとは思えなかったので、お財布の面も考慮してメルカリで完成品を購入。
ファームウェアのビルド環境構築にものすごい時間がかかったので、この判断は正解だったと思います。

ついていたキースイッチはCherry MX Red。
Cherry MX Blackでも軽いと思っていたので、Redは軽すぎて使いづらいと感じていました。
キースイッチの付け替えはまた別の項で書いています。

下のリンクは、Caravell-BLEの販売ページ。売り切れになっていますが、売り切れと在庫ありをゆっくり繰り返しているみたいなので、そのうち在庫が入るかなあという期待を持っています。
(青系のケースも気になってる)

TONE&NOTE

はんだ付けの道具をいただいたり買ったりして、環境が整ってしまったので、「マクロパッドを作ろう!」ということで、購入したTONE&NOTEのキット。

はんだ付けが難しくなさそうで、キーの数がそれなりにあって、ロータリー―エンコーダが面白そうだったので選びました。
(あと、作者のぺらねこさんがアナログゲーム界隈の方なので、TRPGプレイヤーの自分として、ちょっと親近感わいたというのもあります)

キースイッチはとにかく重いものを、と思って遊舎工房に在庫があったZealio V2 78gを選択。「ずっぎょん、ずっぎょん」って言うタクタイル感が面白いです。

このキーボードは旦那が使うというので、コピー&ペースト関連とかスクリーンショット関連のショートカットを割り当てて渡しました。
ロータリーエンコーダはChromeでの拡大縮小表示にしてます。

下のリンクは、TONE&NOTEの販売ページ。何気にロングセラーっぽいです。

SU120マクロパッド

もっとはんだ付けがしたい! となって、「なるべく安価にたくさんはんだ付けができるキーボードはどれだ」と探した結果が、SU120のマクロパッドセット。

最初、ロータリーエンコーダを裏表逆にはんだ付けしてしまい、抜けなくなったのはいい思い出(はんだ吸い取り線を旦那に買ってきてもらったり、SU120作者のe3w2qさんにアドバイスいただいたりしました…)。
その苦い記憶があるので、これ以降、ロータリーエンコーダの固定用の脚にははんだ付けしなくなりました。

このキーボードは、いろいろなキースイッチを付けてみたり、テープLEDを付けてみたり、Remapでのキーマップ変更をしてみたり、実験体になってもらっています。
確定申告のときはテンキーになったりしました。

今はトッププレートとボトムプレートがついて、いい感じにがっしりしています。

以下のリンクは、SU120 マクロパッドセットの販売ページ。
基板のみ購入すると500円だけど、50円プラスするとダイオードとタクトスイッチ、ゴム足が付いてくるのでお得。

Nomu30

遊舎工房の通販ページを見ていて、ISO Enterキーが付いたミニマルなレイアウトがかわいいなあ、と思っていたNomu30。
メルカリで、未組立のキットが少しお安く出ていたので勢いで購入。

左上の2キーが何度やっても「キースイッチをはんだ付けすると入力されない」状況になって、ビルドガイド通りスイッチの脚を切り落としてもだめで、気が付いたら朝になってて、半泣きになりながらTwitterに書き込みをして寝て、目が覚めたら「テープで絶縁しましょう」と助言が…。

m.kiさん、その節はお世話になりました。カプトンテープ買いました。

Pro MicroのUSBコネクタがもげる、いわゆる「モゲマイクロ」を経験したのもこのキーボード。これもはんだ付けして無事直しました。

キースイッチはKailh Speed スイッチのDark Yellow(左側3つだけGateron Black)。
重いには重いけど、ちょっと物足りないかも? と思っています。

今はISO Enterキーが付いた白いキーキャップと、テープLEDを付けています。
31キーでレイヤー切り替えを頻繁に使用するため、レイヤーごとにLEDの色が変わるような設定をしています。

以下のリンクは、Nomu30の販売ページ。ほんといいよねこのたたずまい。

PistachioMacroPad(没基板で作成)

2月頭に、作者のらてさんが「試作基板欲しい人いますか?」とTwitterで言っていたのを見て、問い合わせた後、Boothで購入したもの。

必要な部品や作り方について、らてさんにめちゃくちゃ質問しました。その節はありがとうございました。
抵抗やらコンデンサやらは今でも「さっぱりわからん」なのですが、秋月電子で通販したり、マルツ(実店舗)で買い物したりして、なんとなく電子部品の買い物には抵抗がなくなったかなと思います。

スイッチはKailh Polia。完全に見た目で選びました。青みがかった薄紫色がとてもきれい。
自分の中ではタクタイル感強めで打ってて楽しいです。

現在はBLE Micro Proを取り付けてBluetoothテンキーにグレードアップ。
ステンレスのトッププレート(没バージョン)とアイスブルーのキーキャップも取り付けて、自分の中では完成形を迎えました。

テンキーのキーマップで、2Uの「0」キーにレイヤー切り替えを割り当てて、他の数字キーと同時押しでカーソルキーとHome/End/PageUp/PageDown、Tabにするのが好きです。

以下のリンクは、PistachioMacroPad製品版、没基板の販売ページ。
私は没基板を購入しましたが、抵抗やコンデンサ、LED等を別途揃える必要があります。製品版は追加購入品が少なく、材料は楽に揃えられます。

FLite40 P_Prototype(作ってないけど記録)

日本語配列の40%キーボード「FLite40」のモニターを募集されていたので手を上げました。
自分で組み立てたりキーマップをいじったりはしていないのですが、4月下旬から6月下旬の2か月間、メインのキーボードとして使わせていただきました。

ツイートでも書きましたが、キーの刻印がすべて書いてあるというのは本当にありがたいです…。
接続状態、入力モードを表示できるLEDが便利(入力モードによって色が変わる)。

記号が3キー同時押しになってしまう(Fnキー+Shiftキー+α)のはちょっと複雑ですが、「普通のキーボード」を使っている方へのわかりやすさを考えるとこうするのが自然だと思います。

モニター利用していた2か月間、メインのキーボードとして安定して使うことができました。これはいいものだ。

「FLite40」は現在も開発中。「FLite40 P_Prototype」のWebページには、自作キーボードになじみがない方でも使いこなせるよう、詳しく使い方が書かれています。

Caravelle-BLE(キースイッチ付け替え)

はんだ付けにも慣れたし、キースイッチも届いた。メインで使っているキーボードは別にある(FLite40)。ゴールデンウイーク、特に目立った予定もない。

いろいろ条件がそろった5月上旬、Caravelle-BLEのキースイッチを全部取り外して付け替えることにしました。

キースイッチはCherry MX Linear Grayをメインに、Cherry MX Tactile Gray、Gateron Black、Kailh Box Brownを取り付け。
「重いリニアがいいな! でも小指だけはちょっと軽いのにして、モディファイヤはタクタイルにしよ」という基準で選びました。

まあ、その「ちょっと軽い」キースイッチにGateron Blackを選んでしまうあたり、軽いキースイッチには満足できない身体になっているようです。

現在は部分的にKailh Polia、Gateron Pro Yellowを混ぜ込んで、6種類のキースイッチが入ったキーボードになっています。
現在もメインで使っているのはこのキーボード。Bluetooth接続が不安定なのか、接続先の端末が突然切り替わることがあるのだけが不満点。

メインで使っているだけあって、キーマップはいじりまくっています。
他の30%~40%キーボードでも、これに近くなるように設定することが多いです。

Lキーの右に「-」を置いているのと、中央の4キーで「」と()を打てるようにしているのがお気に入り。

PistachioProto

こちらも2月頭に購入した、らてさんのキーボード「Pistachio」の没基板で作ったキーボード。

PistachioMacroPad同様、パーツを買い集めて作りました。
今回は、アクリルプレートを遊舎工房へ発注。LEDが透けて見えるようにしたかったので、乳白色のアクリルにしました。
Pistachioのトッププレートはステンレスなので、アクリルを採用したことでオリジナル感が増しました。

表面実装ダイオードのはんだ付けに苦心したり、プレートの取り付けにミスってスイッチを全付け替えした結果、基板のパッドがはがれてポリウレタン銅線で配線したり、と組み立ての苦労で印象に残るキーボードです。

スイッチはGateron Black。手に入りやすさと価格で、自分の中では標準になりつつあります。個人的にはCherry MX Linear Grayの方が好みだけど、お値段考えるとGateronに軍配が上がる。
AliExpressで大量買いすることを覚えました。

今はFILCOの日本語キーキャップ(ブルー)を取り付けて、いい感じに愛でています。
(長らくメーカー在庫がなかったので、めちゃくちゃ待ったし、買えるようになった時はめちゃくちゃヒャッホイした)

PistachioProtoは販売終了っぽいので、以下のリンクはPistachio Ver.2没基板の販売ページ。
PistachioProtoはFILCOの日本語キーキャップと大きさが合わないキーがありますが、Pistachio Ver.2没基板はキー配列に不備はないため、お試しで分割キーボードを作るには向いているかもしれません。もちろん、基板以外の部品は自分で調達する必要があります。

Froggy(左手Helix)

片手だけでフルキーボードと同じ分だけのキー入力が可能な設定をしたHelix、その名もFroggy。
カエルを意匠にしたかわいいキーキャップが欲しくて、パーツを揃えました。

Froggyの部品が揃った組み立てキットもあるのですが、私がキーキャップ買ったときは在庫がなくて(…なかったはず。なかったと言ってくれ)、キーキャップ、基板、プレート、スペーサー等別々に購入しました。

パーツを買い始めた頃に、YouTuberの瀬戸弘司さんがバックライトLED(SK6812MINI)のはんだ付けを配信していました。

その配信を見てバックライトLEDを付けてみたくなり、追加で購入しました。
FroggyはバックライトLEDの光り方がとてもきれいなので、付けてよかったです。

キースイッチは安いからという理由で、Kailhロープロファイル(Choc V1)White。タイプするごとに心地いい音が鳴るので、クリッキーもいいなと思うようになりました。

お絵描きしながらの左手デバイスとして、とても便利に使えています。最近あんまりお絵描きもしないけども…。

以下のリンクはFroggyのキーキャップ、スイッチ等がまとまったキットの販売ページ。
付属しているLEDはアンダーグロウ用のテープLEDなので、バックライトLEDにしたい場合は別途SK6812MINIの購入が必要です。

FILCO Majestouch(キースイッチ付け替え)

VTuberデビューした旦那、「キースイッチを叩きつけるようにキーボードを打つ」癖があります。
で、この打鍵音がめちゃくちゃマイクに入る。ちょっとそれはまずいよねー、ってことで静音のキーボードが欲しくなりました。

元々旦那はFILCO Majestouchの黒軸を使っていたので、静音黒軸スイッチが入ったメカニカルキーボードにしたい。
しかしながら、この当時、静音黒軸を採用したFILCOのキーボードは、白い筐体、白いキーキャップのHAKUAしかなかったのです。

白い筐体ではなく、黒い筐体のほうがいい。
となれば、キースイッチを換装するしかないっすね。

というわけで、中古のFILCO Majestouchと、Gateron Silent Blackスイッチを購入し、スイッチ108個を全交換するに至りました。

購入した中古のFILCO Majestouchは、たぶん20年くらい前のもの。基板の配線が弱っていたのか、スイッチを外す際にいくつかパッドがはがれてしまいました。
でもポリウレタン銅線で手配線して、ちゃんと動くように。だいぶキーボードに慣れた気がします。

スイッチを付け替えたキーボードは、旦那が普通に毎日使っています。特に打鍵に違和感もなさそう。

以下のリンクは、FILCO Majestouch、静音黒軸フルキーボードの販売ページ。
…黒い筐体の静音黒軸、キースイッチ換装から数日で販売が発表されました。この作業、しなくてもよかったのでは???

CC Proto(はじめての基板設計)

だいたい作りたいキーボードも作った。
だがはんだ付けがしたい。
…なるべくお安く組み立てて、欲しがりそうな知人に送り付ければいいのでは?

という動機でキーボードの設計に手を出しました。

KiCadでの基板作成手順を教えていただける機会があり、その勢いのまま自作キーボード設計入門(電子版)を購入、そのあとも何日かかけて基板データを作りました。

ちょうどその頃、ALLPCBでテスト基板作成の完全無料(送料まで無料!)キャンペーンが始まりました。渡りに船とばかりに発注して、できた基板がこれです。

スイッチテスター的なものを作りたかったので、なるべくたくさんのキースイッチが取り付けられて、左右どちらでも使えるようにリバーシブル、余ったSK6812MINIをレイヤーインジケーター代わりに取り付け、とけっこう盛り盛りな感じにしました。

上のツイートでは、ファームウェアを2種類作らなきゃいけないかなと考えていたのですが、キーマップ設定ツール「Remap」のレイアウト変更機能で見た目を左右反転することができたので、ファームウェアは1種類で大丈夫でした。

自作キーボードを知らない人に対して、「キーマップは好きに設定できるから使ってみない?」と言えたのもRemapでのキーマップ変更がめちゃくちゃ簡単なおかげ。
Remap開発陣には足を向けて寝られません。これからもお世話になります。

この「CC Proto」は、ALLPCBの無料キャンペーンで試作を重ね、6人くらいの方に組み立ててお渡ししました。自分から詳しく聞いたりはしないですが、使ってもらえてるといいなあ。

「CC Proto」は、自分のイニシャルのC.C.と、はじめての試作基板という意味を込めて名付けました。
MITライセンスで、基板データなど公開しています。

Cherry MX互換/Kailh Choc V1/Kailh Choc V2/Kailh Mid-Height/ALPS系スイッチに対応した、リバーシブルのフットプリントだけでも見ていってください。

基板データをDRCにかけると、ものすごい数のエラーが出ますが、基板は製造してもらえました。

もうちょっとだけ続くんじゃ

7月以降に組み立てたキーボードのまとめ記事は、12月11日に公開予定です。
書いたらリンクを貼りますので、よかったらそちらも見ていってください。

追記

キーボード #3 Advent Calendar 2021のページに、「よろしければ記事の最後に、記事を書くのに使用したキーボードについて簡単に説明を入れてください」と書いてあったのをすっかり忘れて記事を締めてしまったので、改めて書きます。

この記事はCaravelle-BLEで書きました。
キースイッチの構成はこんな感じです。今は「A」のキーだけGateron Pro Yellowにしています。
手の入れようは他のキーボードと比較にならないですね…。

キーボード #3 Advent Calendar 2021 の3日目の記事は、自分で書いた、 ポエム:私の自作キーボードはここから です。

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