ExoMars終了後、ロシアがISSの欧州ロボットアームを脅かす(spacenews翻訳7/13-1)
ExoMarsのローバー「Rosalind Franklin」
ワシントン - 欧州宇宙機関(ESA)は、ExoMarsミッションに関するロシアとの協力を正式に終了し、国際宇宙ステーションにおける欧州のロボットアームの使用を停止するというロシアの脅迫を引き起こしました。
ESAのヨゼフ・アシュバッハ事務局長は7月12日、ESA理事会が、ロシアが欧州の探査機「ロザリンド・フランクリン」を火星に打ち上げる予定だったExoMarsに関する協力を打ち切ることを正式に決定したことを発表しました。
この協力は、3月以来保留されています。
ESAはこれまで、協力の中断にとどまっていたが、ロシアとの協力が再開される可能性は極めて低いと考えています。
アッシュバッハ氏は、「ウクライナ戦争とそれに伴う制裁という、ロスコスモスとの協力停止に至った状況が続いている 」ため、今回の決定に至ったと述べています。
ESAは、「ExoMars」のロシアとの協力中断を決定して以来、ロシアの貢献に代わる方法を検討してきました。
その中には探査機のプロトン打ち上げだけでなく、カザチョク着陸装置、探査機の一部の機器や放射性同位元素加熱装置も含まれています。選択肢としては、NASAとの協力のほか、完全にヨーロッパの代替案もあるのです。
アッシュバッハ氏は、ESAは7月20日のメディアブリーフィングで「他のパートナーとの協力の進め方に関する新しい洞察」を提供すると述べ、詳細は追って発表するとしました。
7月13日のESAのメディア向けアドバイザリーでは、来るファーンボロ国際航空ショーへの参加について、7月20日にロンドンでESA、NASA、英国宇宙庁が参加して「火星探査の将来について」ブリーフィングが行われると述べています。
ESAがExoMarsに関するロシアとの協力を正式に打ち切ったことは驚くことではありませんが、ロスコスモスのドミトリー・ローゴージン代表は鋭い反応を示しました。
ESAの発表直後、ロゴジン氏はソーシャルメディアネットワーク「Telegram」への投稿で、アシュバッハ氏が共同ミッション「ExoMars」を「妨害」していると非難したのです。
彼はESAがミッションの協力を中断した時に打ち上げ準備のためにヨーロッパにあったカザチョクプラットフォームの返還を求めると述べました。
ロゴジン氏はまた、ISSにいるロシアの宇宙飛行士に対し、ヨーロッパのロボットアームを使用しないように命じたと述べています。このアームは、1年前に打ち上げられたナウカモジュールの一部であり、現在も試運転中です。
この指令が実行されるかどうか、実行された場合、ISSの運用にどのような影響を及ぼすかは、すぐには明らかになりませんでした。また、7月21日に予定されている、ロスコスモスの宇宙飛行士オレグ・アルテミエフとESAの宇宙飛行士サマンサ・クリストフォレティによるISSのロシア区画からの船外活動が延期されるかどうかも不明でした。この船外活動の主な目的は、ロボットアームの改良です。
ロシアと西側パートナーとの間のISS関係は、特に、ロシア軍に占領されたウクライナの2つの地域の旗を持つロシアの宇宙飛行士の写真を7月4日に公開した後、ますます緊張が高まっています。
NASAは7月7日の声明で、この写真撮影についてロシアを強く批判し、ESAのアッシュバッハ氏も同じ思いを抱いていました。
NASAのビル・ネルソン長官は、7月12日にゴダード宇宙飛行センターで行われたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測成果発表会の後、「国際宇宙ステーションに政治の場はない」と記者団に語ります。
しかし、ISSの乗組員同士や、ヒューストンとモスクワの管制センターとの間では「非常にプロフェッショナルな関係」が続いており、ロシアを含むすべてのパートナーが10年後まで関わり続けると信じていることを改めて強調しました。これは、国際的な科学技術・研究の試みであり、今後も継続されるでしょう。
ネルソン氏は、NASAとロスコスモスの間で、アメリカの宇宙飛行士がソユーズ宇宙船で飛行する代わりに、ロシアの宇宙飛行士が商用クルービークルで飛行することを認める座席バーター協定の交渉が続いていると付け加えました。NASAのISS管理者は春に、9月に打ち上げられるミッションの乗組員の入れ替えを可能にするために、6月までに契約を締結する必要があると述べています。
彼は「ドロップデッド・デートは過ぎていない」と言いましたが、取引がいつ締結される必要があるかは示しませんでした。
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