爆発侍 尾之壱・爆発刀 三六

 当然の事だとばかりに言われ、右門は呆気にとられながら、
「た、確かにそうだった……そうだな。もう奴が戻ってくる事はあるまい。ゆっくりしてくるといい」

「はい。そうさせていただきます……ところで、右門様はどうなされるのですか。お風呂、まだですわよね?」

「俺の事は気にしなくてもいい。共同の浴場に行ってもいいし。おこんさんは心行くまで楽しんでくれて構わんよ」

「なんなら……ご一緒でも構いませんよ。おをお流しいたしましょう」

「む、無用だ」

 慌てて頭を振る右門。

「そう仰ると思いましたわ、うふふ……では、一人で行ってまいります」

 おこんは襖を開け、軽い足取りで廊下に飛び出していった。

「本当に風呂が好きなのだな……人間の風習を愛する大妖怪か。なんとも面妖なものだ」

 お風呂、お風呂、と、歌うような声が廊下を遠ざかっていくのを聞きながら、右門は思わず苦笑してしまった。

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