私が守り続けるものは【#言葉を宿したモノたち】

私がこの家にやってきて何年になるだろう?もう覚えていない。

私が来た頃は夫婦2人だけだった。それがいつの間にか子供ができて“家族“という形になっているのだから、それなりの年月は経っているのだろう。

唯一覚えているのは、私が最初に守っていたのはこの夫婦の笑顔だったということ。

私の定位置は何年も変わらず、ずっとこの棚の上。横には可愛らしい置き物がちょこんと置かれている。

家族が集まるこの部屋は私の大のお気に入りで、この場所からはみんなの顔がよく見える。部屋中を見渡せるって、すごい特等席だと思わない?

私はずっとここから、この家族のことを見守ってきたの。

ふと目が合うと、みんなが私に微笑んでくれる。それを見ると、こっちまで幸せな気持ちになってくるの。たまに遊びにくる親戚や友人たちも、私を見ると一様に柔らかく笑いかけてくれる。

中には私を手に取ってじっと見つめてくる人もいるけど、それくらい私の守っているものに興味があるみたい。

私が守るものは、家族の成長とともに少しずつ変化するの。だから、残念だけど。私が最初に守っていたものは、もう私の中に残っていない。

代わりに、私の中には入れ替わり立ち替わりで新しい家族の思い出が嵌め込まれていく。

大切そうにそれを嵌め込む家族の顔を見ていると「私の守っているものは本当に大切なものなんだなぁ。」ってつくづく思う。

だから私は、これからも。

この家族の大切なものを、ずっと守っていくつもり。


さあ、私は一体誰でしょうか?


こちらの企画に参加させていただきました。

身近なモノの視点で文章を書くのは初めてだったけど、とても楽しかったです。

仲さん、素敵な企画をありがとうございました。


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