ぼくが かんがえた さいきょうの め(ICL手術のはなし)

こんにちは、中納言あずきです。
前回からものすごく空いてしまった。方向性はいまだ定まらないけど、きっと備忘と雑記帳になるのでしょう。

今回はICL手術について書いてみる。最近はわからないけど、自分が手術した時にはICLに関する情報というか実体験レポが少なくて色々戸惑ったので、どこかの誰かの検索に引っ掛かって役に立てば良いと思う。情報が古かったり、主観的だったり、自分語りを挟んだり、長かったりなので、ふーんって適宜飛ばしながら軽く読んでもらえると嬉しい。


前半戦(手術までのこと) ※読み飛ばし推奨

ICLとは

ものすごくシンプルに言うと、眼球に直接ソフトコンタクトレンズを入れる手術だと思っている。レーシックは不可逆。ICLは可逆。正確な情報はググってください(雑)。

自分のこと

まずは手術を受けた頃(2021年4月)のステータス。

・28歳(社会人7年目)
・裸眼0.03くらい、小学3年生から眼鏡、中学3年生からコンタクト
・基本ハードコンタクト、旅行とかアウトドアの時だけ1dayのソフト
・居住地勤務地ともに都内
・ゴリゴリのデスクワーカー
・収入は人並みだけど守銭奴なので貯金はそれなり

ICLを決めた経緯

長い自分語りになるので、ICLを受けることは既に決めている方、他人の過去に興味が無い方はどうぞ、次の項目へ。

最初はいたってシンプルに、コンタクトがめんどくさくなった。大抵の人は裸眼が一番でしょう。
で、軽い気持ちで適当なクリニックに相談に行ったら、なんと、断られた。目の形が悪いのでレンズを入れられないとのこと。レーシックも視力が悪すぎてやめた方が良いと。
まさかの眼球ディスに拍子抜けしたものの、正直ほっとしていた。いや、怖いじゃん手術。野球好きだったから井端がレーシック失敗したのトラウマだったんだ。というわけで、コンタクトを続行。

状況が変わったのはその1年後、2020年冬くらい。
ある日まばたきをしたら、視界が突然真っ白になった。よくあるタンパク汚れだとは思うけど、レンズを洗ってつけ直してもまばたき1発でまた真っ白。新しいレンズと交換してもまた真っ白。
ソフトコンタクトなら汚れは付かなかったけど、PC作業と相性が悪くて仕事中は目が痛くなるのでつけられなかった。

というわけで残る選択肢は眼鏡なのだけど、なんというか、当時ちょっと狂っていたので、猛烈に拒絶した。

まず、容姿コンプレックス。
自分は少し、昔のいじめられ方がアレすぎて、たぶん普通の人より眼鏡への抵抗がかなり大きかった。
まぁ今思えばデブと出っ歯のせいでもあったから、そこまで眼鏡だけ拒絶する必要は無かった気はする。というか痩せろ。

加えて、眼鏡をかけても近くの人の顔がわからなくなるほど視力が下がってしまっていた。
度数上げても改善されなかったし、職場の人の顔だけわからない状態だったので、これも今思えば視力というより一時的なメンタルの問題だった気がする。。

とにかく当時は、仕事キツい上に眼鏡に戻るのがすごく嫌だった。終電で帰ったり日曜出勤したりして、どんどん残業代が貯まっていく通帳残高が虚しくて。でも手術は適性が無くて。

それでもなんとかしたいと思い、ダメ元で以前とは別のクリニックに相談に行ったら、「はぁ。特に問題なく手術できますけど。」

というわけで即契約。セカンドオピニオン、大事。悩んだ時間返せバカヤロー。

病院について

手術を受ける決心はついたとして、どのクリニックで受けるのか。費用や安全を考えて、複数候補をしっかり比較検討するべき。なのだよ。本来は。

自分は自暴自棄になっていたので、ネットでいくつか検索して、インスピで決めてしまった。
結果、特に問題も不満も無かったけど、もしかしたらもっと費用やアフターケアが優れているクリニックはあったのかもしれない。けど、損した気分になるから調べない。人生はいつだってシュレディンガーだ。観測したら試合終了だよ。

まぁ、インスピとは言いつつ、一応の決め手は立地。手術前後にちょいちょい検診があるので、当時の職場から徒歩で行ける場所にあったのはありがたかった。
で、実際に行って説明を聞いたら、
・費用は予算内(両目乱視ありで7なので相場よりたぶん高め…桁は調べて…)
・術後3年以内は無料、以降は半額で再手術可
・手術前後の検診は無料
・検診予約はLINEも可
ということで個人的に納得したので即決。
内装というか設備が素人目にハイテクっぽかったし、説明してくれたお姉さん優しかったし。

とまぁ、あまり参考にならない情報をつらつら書いたものの、万が一の場合の責任は取れないので、どのクリニックかは明言しないでおきます。「都内 ICL」で調べれば普通に出てくるくらいには有名とだけ。
あ、でも最初に断ってきた○川近視クリニックはふざけんなコノヤロー。

後半戦(手術〜現在のこと)

前日の過ごし方

前日は大きな制約は無かったはず。酒飲むな。さっさと寝ろ。以上。

手術当日(帰宅まで)

さて、迎えた当日。自分は日曜の朝イチ10時だった記憶。
事前説明を聞いて完全にナメていたので、ぽかぽかの春の陽気に包まれて、お散歩気分で病院に向かった。
その事前説明はと言うと、ざっくり以下の通り。
・施術は5〜10分程度
・レンズの挿入口として小さな切れ込みを入れるが、レーザーで行い、出血は無い
・麻酔をかけるので痛みは無い(圧迫感は少しある)
・一番痛いのは目を固定するテープを剥がす時

つまり、「あっという間にほぼ痛みもなく治る」と捉えた。頭お花畑か?

では実際どうだったのか、1つずつ見ていこう。

・施術は5〜10分程度
→「執刀」は5〜10分だが、その前に30分以上かけて目薬(麻酔)を複数回点眼する。これが地味に痛いというか沁みる。

・レンズの挿入口として小さな切れ込みを入れるが、レーザーで行い、出血は無い
→これは本当。術後もどこを切ったのか全くわからない。入れたレンズも見えない。

・麻酔をかけるので痛みは無い
→その麻酔が少々沁みるが、確かに切開そのものの痛みは無い。
・(圧迫感は少しある)
→ダウト。まず、ここで言う圧迫感とはレンズを押し込まれる感覚を指すのだが、そもそも長い人生で黒目を直接押される機会自体が稀有なため、何をもって「少し」と定義するのか、小一時間議論しても結論を出すのは難しい。しかし、これは「少し」で片付けて良いレベルではないことは断言しよう。
その上、「押されても負けずに押し返して」という執刀医の謎のリクエストに応えなくてはならず、パニックの中で眼球おしくらまんじゅうを会得する必要がある。

・一番痛いのは目を固定するテープを剥がす時
→本当でもあり嘘でもあり。手術中に目を閉じないように貼るテープ(自分では見えないけど、たぶん強力なガムテープみたいな)の剥がし方が豪快なので、瞬間最大風速的には間違いなく一番痛い。けど、個人的に本当に痛かったのはこの後…


というわけで、なんとか死闘を制して生還したものの、なんと、術後10分で帰される。
いや、あの、目開かないんですけど。

痛くはないけど、眩しいという感覚に近かったと思う。とにかく目が開けられなくて、なんとかちょっとだけ開けてもまだ視界はぼやけていた。
東京駅なんて目開けてても迷うのに、目潰し状態で壁伝いに地下鉄のホームまで行くのは大変だったし、端的に不審者だった。最寄り駅から自宅までの徒歩10分の間も、不審者ムーヴで周りの人に(たぶん)引かれるし、車にも轢かれそうになるし。
写輪眼移植後すぐに目開いてたカカシとサスケまじですげーよ。

手術当日(帰宅後)

帰宅後は一日安静。お風呂もシャワーもNG。目が開かないからスマホも見られなくてなかなか暇。こまめな点眼が必要だから昼寝も△。
まぁたまにはそんな過ごし方も良いよねって、昔好きだった三宅裕司のラジオなんて聴いて、最初はご機嫌だった。

ちなみに今ってサンデーヒットパラダイスって言うんだね。内容ほぼ一緒なのに、ザ・ベスト30スゲェ!からめっちゃ名前変わってるじゃん。田上ィ。


さて、ゴロゴロするのも飽きてきた頃。術後4〜5時間くらい。麻酔が切れて鈍痛が出てきた。
これはかなり焦った。
だって、経験者のブログとか病院のHPとか見てもみんな、「痛みはほとんどありません^^」としか書いてなかったし、事前説明も無かったじゃん。「ころころする感じ」ってそんな猫ちゃんが転がってるような状況ちゃうねん。

ネチコヤン

目は開けられないまま、どんどん痛みは増して、手術が失敗したかもしれない恐怖も大きくなっていくのに、数時間おきの点眼があるから夜中まで眠ることもできなくて。なんで自分だけ、ってすごく怖かった。
せめてあの時、「いや、めっちゃ痛かったっす!」って記事が1本でもあれば、と今でも思う。
だから、遅くなったけど、この記事を書こうと思ったんだ。

「いや、めっちゃ痛かったっす!」

翌日以降

眠れぬ夜を過ごして、それでも朝はやって来て。
少し重たい瞼を開けば、その視界は———

すっげぇ、微妙。

いや、見えるよ、見えるけどさぁ、なんか、もっとこう、世界がキラキラしてるとか、安直にわかりやすい感動を期待してたのに、現実はまだぼやけてるし、ちょっと痛いし。コンタクトつけっぱなしで寝落ちして起きた朝よりコンディション悪かった。

まぁ、なんとか日常生活を送れる程度には回復したので、また検診のために病院行って(翌日は出勤NG)、セルフお祝いとしてカレーバイキング行って帰った。
ちなみに1週間くらい飲酒とかアイメイクは禁止なので、約束はちゃんと守ろうな!仕事の付き合いだからって、翌々日から帰れなくなるまで飲んじゃダメだかんね!

現在(術後2年半)

現状どうなのさって、これがなかなか。痛みや日常生活に支障をきたす後遺症は無いものの、万事良好とは言えないところ。

・視力
なんやかんや書いたけど、ちゃんと1週間ほどで痛みが引いて、両目とも1.2〜1.5見えるようになり、1年半はキープ。でも、2年経った今年春の視力検査では急に右目だけ0.6まで落ちてしまった(左目は良好)。
覚悟はしていたけど、思ったよりかなり早かったというのが正直な感想。

・ハローグレア現象
暗いところで光を見ると、ぼやけたり、周りに光の輪が見える現象。致命的な欠点ではないけど、光の強さによっては少し危ない。

涙目で光を見た時の見え方に近い

・夜盲症(鳥目)
暗いところが見えづらくなったので、ハローグレアと併せて夜道が危ない。これは事前説明に無かったと思うので、個人差があるのかもしれない。

※視力低下は少し異常な気もするので、保証期間の3年が経過する前に、検診と、可能であれば再手術したいと思っています。進展があれば追記します。

個人的な見解(ICLって結局どうよ?)

すごく長くなってしまったけど、結局どうなのか?
これは聞かれ方によって答えが変わる。

ICLをやって良かったか?

良かった。声を大にして言える。
見えないコンタクトや苦手な眼鏡での生活を続けるのは無理だった。手術の後、仕事がもっとキツくなって退職まで至ったから、目にコンプレックスを抱えたままだったらもっと精神的にやられていたと思う。痛みとか後遺症とか高額な費用とか、全部引っくるめてもやって良かった。

ICLはやるべきか?

自分は良かったけど、他人には勧められない。眼鏡やコンタクトで間に合っているならやるべきではないと思う。

まず金銭的負担
将来のコンタクト代等を鑑みてもペイできない。自分の場合、ハードコンタクトは両目4万円で4年使えたので、1万円/年と考えると…言葉通り、死んでも得にはならないどころか大負け。
使う暇すら無い残業代があったのでヤケクソで契約してしまったけど、大抵の人にとっては割の良い用途ではないでしょう。

次に身体的負担
長い人生で見れば一瞬だけど、痛くて怖いことは少ない方が良いと思う。失敗のリスクもあるわけだし。
実際、自分も実家の両親に危険だと猛反対されたので、黙って手術して、容態が安定するまで半年ほど音信不通にしたら、後でどちゃくそ怒られた。
流石にアラサーにもなって親の意見に左右されるのはアレだけど、まぁ健康な体にメス入れないに越したことはないというのは正しいと思う。

ちなみに一人暮らしでも手術当日は誰かに付き添ってもらいましょう。自分みたいに単身で乗り込んで駅の壁ぺたぺたしないように、周りの理解は得てから契約するのがおすすめ。

最後に精神的負担
高いお金をかけて痛いのを乗り越えても一生は状態を保てなくて、いつ終わりが来るかわからないのはとても怖い。将来だめになった時、また手術する財力と度胸があるか、あるいは一度覚えた手軽さを手放す覚悟があるか。大袈裟だけど、自分は結構この点を意識した。
あと、今はだいぶ慣れたけど、夜道が見えなくなったのも最初はショックだった。自分は車の運転をしないのでまだ良かったけど、運転が好きな人とかならなおさらよく考えるべき。

これまた余談だけど、手術後は「裸眼」扱いになるので、免許証の「眼鏡等」の記載を消す手続きをしないまま運転するとしょっぴかれるらしい。

まとめ

色々と脅したけど、恐らく自分は失敗例寄りなので、普通はそこまで構えなくても良いのかもしれない。でも、誰でも失敗例になる可能性はあるので、十分に考えて決断してもらいたい。
過度な期待はせずに、「今よりちょっと良くなればいいなー」「だめだったらレンズ取り出せばいいやー」くらいに考えられて、お金が余っているならやっても良いと思う。手術した後の楽さは保証する。

というわけで、ICLって良いことばかりじゃないんだぜってお話でした。何か質問や反響があったり、今度の検診で進展があれば追記します。
ではでは、また次回があることを信じて。















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