なぜテレビの情報番組やバラエティは時事ネタに手を出すと致命的ミスをするのか

どうも、あずきです。

先日都知事選の当日に放送されたTBSの番組内で都知事選の身分確認の方法などについてアナウンサーが「明らかな誤情報」を言ってしまうという事案が発生し、今でも燻っています。

これに関して一つ言えることとしては「東海テレビのぴーかんテレビで起こした事案(通称セシウムさん事件)」と同じ通底が流れていると思います。

今日の結論はこちら

「元々時事ネタを扱うつもりで作ってなかった番組をネタ切れの穴埋めとして時事ネタを織り交ぜた形で使い。それが不幸にも当たってしまうといずれ番組の寿命を縮めかねない一大事に発展する。」

というものです。

制作する部局が違うので、どうしてもチェックが甘くなる

アッコにおまかせ!に関しては完全にバラエティ番組を作る部局が制作している生放送番組であり、時事ネタを扱うようになったのも番組の中期以降になっています。

しかも、アッコにおまかせの時事ネタに関しては導入当初はアッコさんの毒舌、ご意見番的な立ち位置を活かした芸能ゴシップネタ中心でした。しかし、コロナ以降社会的に関心の高いニュースなどを扱うことが増えていったように思えます。どんどん報道でも「取り扱い注意」なネタを扱うようになっていく中で今回は起こった事案とも言えます。

当然、ある程度のチェックや取材等できちんと連携はとっていると思いますがスタジオは普段レギュラーの情報番組を放送しているスタジオがあるフロア(2F 朝のTIME,やラヴィット!、ひるおび、サンジャポのスタジオがあるフロア)とは別のフロアにあるスタジオ(4F Aスタジオ)です。で、情報バラエティと謳っている以上、いちいち全てを報道局の人がチェックしているとは到底思えません。(報道局の人たちは人たちで仕事がある)

製作陣が「信頼」を扱っているとは思ってない

そんな中で発生してしまった今回の事案も即座に訂正は行われず少しした後に訂正謝罪したとのことですので、おそらく「見ていた局内の誰かが気づき、駆け込んで訂正させた」か「(SNSで即座に炎上したので)スタッフが確認したら不味いことに気がついた」の2択だと思います。

ただ、選挙の基本のキレベルのこと(「身分証があれば入場券がなければ投票できる」「投票用紙の書き方は判別できればひらがなで書いても良い」など)を出演していたタレントさんたちはまだしもその場にいたDやPが訂正できないのは「彼らの社会常識」を疑わざるを得ませんが・・・・

おそらくこれが報道番組であれば仮に出演していたアナウンサーが独断で言っても、即座にフロアDなどが訂正を入れるように指示が出ると思います。報道番組は常に信頼を問われているので明らかな誤情報などにはおそらくかなり厳しいと思います。

「あくまでバラエティ番組だから」という免罪符でそこらへんのチェックが甘かったのではないかと言われてもしょうがないと思います。

情報を取り扱うというのは本当に危険なことで一歩間違えれば自分たちの信頼を損ねてしまうという自覚が足りなさすぎたのが今回の事案の原因なのではないかと思います。

時事ネタは鮮度が命だが・・・

でも、アッコにおまかせは長年ワイドショーとして君臨してきたわけでなんでこんな大ごとになったかと言えば扱う話題が段々と社会的ネタによってきたことが大きな原因だと思います。

元々アッコにおまかせの情報のソースは週刊誌や東スポにあるゴシップ記事をメインに扱う形態だったので、情報の1次ソースの責任は週刊誌や東スポにあります。つまり「その情報がデマだったとしても番組にその責任の火の粉が降りかかってくる可能性」というのは限りなく低かったわけです。ただ、垂れ流しも良くないので「おまかせ独自取材」と称して「全然関係ない小ネタを取材し、さも自分たちのオリジナルネタ」かのように扱ってきたわけです。

ただ、コロナ禍で段々と社会的テーマを大きく扱うようになって報道局からネタをもらったり自分たちで専門家を呼ぶようになってくる中でスタッフのが「(ゴシップばかり扱ってきた)今までと違って自分たちが責任のある情報発信者である」という認識に変えることができなかったのではないかと思います。その驕りが今回の件に繋がったのではないかと思います。

ここで一つの文を読んでほしい

「長寿番組ゆえの”なれ””たるみ”があった。日々のルーティンワークによる生放送に対する緊張感の欠落。長年の中で生まれた気の緩み。大人数であるがゆえの誰かが見ているだろうという無意識に近い責任転嫁。長寿番組の一つの欠点。毎日のルーティンワークで緊張感が薄れたのではないか」

「ぴーかんテレビ」検証報告書 2011年8月30日。太字は筆者による。

これが、13年前名古屋のテレビ局に陰を落とした一大不祥事の報告書の引用です。正直、今回の件もこれに近いことが起こっていたと思います。

かつてのぴーかんテレビの不祥事も「元々は地域情報をメインに扱う情報番組としてスタートした番組(今の同枠スイッチに近い)がデイリーの時事ネタを扱うようになり業務量が一気に増えパンクした結果、不適切テロップに対して誰もチェックできなかったし、発見後の対応も遅くなった」と言われています。

これ以降、東海テレビは自社制作番組で「情報番組において時事ネタは生活関連の情報(物価高対策やコロナ対策など生活者が必要とするもの)以外は極力扱わない」という縛りを設けています。

全ての番組制作者へ「その時事ネタ本当に今、あなたの番組で取り上げる必要ありますか?」

これを問い直してほしいかなと思います。

時事ネタって日々わいてくるのでネタには困らないわけですが、TBSにはネタ切れを叫びながらも毎日1時間の生放送ネタと1時間のVTRネタを毎日回している番組もあるわけで・・・・

世の中って時事ネタだけじゃないたくさんいい話題だってあると思うんですよ。

ただ、それだってネットの海を探すというわけではなくて地道に足で稼いでほしいなと思います。

最近だとネットにもテレビにも嫌悪感を持っていてメディア露出をしないという人も増えてきていると思います。

そんな中にある原石みたいなものをきちんとスポットを当てて広めてほしいなぁと思うし、それがマスメディアの役目では?と思います。

日々流れる安直な時事ネタやネットのコタツ記事みたいなものを取り上げて語るだけならこんな泡沫アカウントどころかそこらへんの小学生、中学生にもできます。(実際TikTokで飯食いながら時事ネタに物申す系のアカウントが一定の支持を得ています。)テレビがテレビたるためにもっと時間をかけてネタを調べてほしいかなと思います。


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