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まずは知るだけでいい展

香港。

正直、馴染みがなくてよく知らない国だった。
堀さんの現地取材の動画を見るまでは。

2019年12月17日から6日間、渋谷にあるギャラリー・ルデコで写真展が開催。写真家のキセキミチコさんとジャーナリストの堀潤さんが香港デモの現場で、最前線で撮られた写真や映像が展示されている。

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建物の1階から地下1階に降りる。エレベータの扉が開いてすぐ、写真展の案内と記帳ノートがあった。名前を書いて、会場内へ。たくさんの人で溢れかえっていた。

私は、キセキさんが撮影した写真、1枚1枚を目に焼き付けた。 

私と歳が変わらない若者たちが命懸けで香港の民主主義を訴える写真。
若者たちが不当に捕まり抑え込まれる写真。
怪我をした仲間を手当てし助け合う写真。
その脇では変わらない日常を送る人々の写真。              

たくさんの写真が展示されていた。                                   

日本では当たり前で放棄することだってできてしまう権利を獲得すべく戦っている人がいることを知って、私たちが持ってる権利の大切さを知った。

映像の展示。堀潤さんが現地でキセキさんと一緒に撮った映像。ニュースでは映し出されない最前線の現場。画面越しでも生々しく伝わってくる痛みは心を締め付けた。なかでも、若者たちが「香港に栄光あれ」を歌うシーンがある。この時、写真展の会場に来ていた香港の方は胸に手を当て、一緒に歌っていた。涙を流しながら。

エレベータの前においてあった記帳ノートには、来場した香港の方からのメッセージがたくさん書かれていた。「Thank you!」「日本や世界に香港の事実を伝えてくれてありがとう。」「香港加油!!」など。日本に住む香港の方の声。

少し、キセキさんとお話することができた。私は現地の様子について、疑問に思ったことをかまわず聞いてしまった。不覚だった。手当しきれていない傷に触れてしまったのがわかった。キセキさんは涙目で答えてくださった。自分の心の傷を癒すより、より多くの人に現場を知ってもらおうとしているキセキさんは優しくて暖かい素敵な方だった。私は必死で涙を堪えた。そして祈った。

どうか、キセキさんの心が壊れてしまいませんように、って。      
どうか、無事でまたどこかでお会いできますように、って。

命懸けで香港の今をカメラにおさめ、持ち帰り、発信してくださった写真展の感想は、私の持っている言葉では表現することができなかった。でも、言葉では表せない痛さ、苦しさ、怒り、悲しみや恐ろしさなど、全部混ざり合って心に居続けている。この気持ちは、大事にとっておこうと思う。香港の今のこと忘れないように。香港の若者の願いが叶うまで。

血を流しながら命懸けで民主主義の在り方を訴える香港人の若者。それを制圧しようと暴力や拘束をする香港人の警察。同じ国の仲間でなきゃいけないはずなのに、市民を守るための警察でないといけなのに、それぞれの「正義」と「正義」がぶつかり合って争い、分断が起きてしまっている。「正義」とはいったい何なのだろう。「犠牲」が生まれてしまう「正義」は「正義」なのであろうか。なんて考えながら家路についた。

最近、日本のメディアで香港の報道がされなくなった。選挙が終わった今が、彼らにとってのスタートであるはずなのに。だから、こうやって香港の今を最前線で追い、発信してくださることに感謝したい。

そして、残りの4日間、たくさんの人に写真展に足を運んでほしい。

これからの香港のことを思って。

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