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「失恋すると心臓が壊れる?!」34歳崖っぷち失恋で人生の美しさを感じた話。

34歳で、当時5年間お付き合いしていた彼と別れた。
最後の1年は海をまたぐ遠距離恋愛になってしまっていて、もうダメだと分かっていたけど、ズルズルと執着してしまい、最後には彼から別れを告げられた。

好きなのに、別れなくちゃいけない。
これって、こんなに辛かったんだ!
ある意味、人生ではじめて「フラれた」私は、それはもう、めちゃくちゃ、落ち込んだ。

「フラれた」日は、まだ事実が受け入れられなくて、泣きもせず、そのまま布団に入り込んで泥のように眠った。

翌朝、どうしても、仕事に行かなくてはいけなかった。
こんなに「大事件」が起こって、こんなに「目の前」も「お先」も真っ暗なのに、学生の頃のように1日中ふて寝しているわけには行かない。
やっぱり、大人になるって、辛いことばかりだ。そんな気持ちだった。

もう、一生会えない人。

彼は海の向こうに住んでいるので、道ですれ違うことは絶対ない。
車を運転しながら、ふと、
「ああ、もう、あの人とは一生会えないんだな」と思った。
そして、楽しかった思い出や、優しい笑顔がワァーーーっと、走馬灯のように目の前を駆け巡った。

次の瞬間、急に、心臓がバクバクした。
本当に、文字通り、「バクバクバク!!!」と音が聞こえて、体から飛び出すんじゃないかというくらい、心臓が暴れたのだ。

「ヤ、ヤバイ!心臓が壊れるっ~!!!」

そう思って、心臓を抑えた次の瞬間、どうでもいい「AHA moment(アハ体験)」が起こった。

「Ahh そうか、だから”失恋した”って、”heartbroken-心臓が壊れる”って、いうのか!!!」

うわぁああ~と、感動して、なぜか車の中に光がさした。

「そうか、失恋すると、本当に、本当に、心臓が壊れるのか!
ただの比喩じゃなくて、
本当に「フィジカル」に、心臓が壊れそうになるのか!
ハートがブロークンするのか〜〜〜!!!すごい!」

今考えたら、バカバカしい話だけど、なぜか、真剣にものすごく感動した。

だから、人生は美しくて、可笑しい。

美術大学を出た私は、20代の頃は、現代アートの勉強をしたりして、駄作ながらアート作品を発表したりしていた。

「私は、失恋の意味も痛みも知らず。
ハートブロークンの意味も分からず。
アートだ、自己表現がどうだって、作品を作って人様に見せようとしていたなんて。
本当に世間知らずの小娘が、チャンチャラおかしかったんだ!
そんなものが、人の心に響くわけがなかったんだ!」

当時「AHA moment(AH体験)」という言葉が、マイブームだったこともあり、
「アハ!アハ!アハ〜〜!」と、アハが何度も頭の中で鳴り響いた。(色々、当時は相当キテいたな〜と、今になると思います。。。)

パーっと目の前が晴れ渡って、
「ああ、人生って、美しいなぁ」と思った。

歳をとることは、新しいことを知ること

歳を重ねて、経験を重ねると、今まで「辞書の中のものだった言葉」が、はじめてひとつひとつ自分のものになる。

それは、喜びだけじゃなくて、悲しみの言葉の場合も多い。
でも、体験と、知識としての言葉がつながった瞬間は、なんとも言えない喜びがある。

それだったら、失恋も悪くないじゃないか。
歳をとるのも、楽しみじゃないか。

そう思ったら、笑いながら、運転している自分がいた。
涙が溢れて、前が見えなくてどうしようもなくて、無意識にワイパーをギュンと作動させて、我に返る。

「あ、ワイパーで涙は拭えないか・・・」

そんな自分のバカさ加減も愛おしくなって、
「まあ、小娘なりに頑張ったじゃやないの。よく頑張った」と自分に声をかけた。

その後、なんだかんだ完全に立ち直るまでには2年ほど要してしまったけど、あの日の「人生って、美しいなぁ」と思った感動と青い空は忘れられない。

人生は、いつでも顔を上げれば、どこかに光と笑いが見えるものだ。


▼この後、ある本当の出会いをきっかけに立ち直っていった話はコチラ


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