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移りゆく


10歳の頃、誰にも言いたくない出来事が起きた。
それは10年以上経った今でも、誰にも話していないし、これから誰かに話そうとも思っていない。



当時は10歳にして、誰にもいえない事実を1人で抱え込んでいる自分が可哀想だと思った。
つらい、つらい、つらい


助けを求めればよかったけど、なぜかそれはできなかった。



その出来事は、10代のわたしの人格を形成するのにとても影響した。そんなふうに1人で秘密を抱えてたせいか、わたしは人よりつらい体験をしてるから長けた人間だと心のどこかで思っていた気がする。


しかし21歳にもなると、もう自分が人より長けていると思うことは無くなってきた。
それどころか、多くの経験をして、早くもっと大人にならなければ!と焦燥感すら感じる。



なぜだろうと考えたが、答えは簡単だった。
きっと周りのみんなだって、歳を重ねる中で人には言いたくない辛い出来事や、うちに秘める想いをなにかしら持っていると感じだからだ。
形は違えど、わたしと同じように。



だからもう、わたしはわたしを可哀想とは思わないし、例え10歳の頃に抱えた秘密のように、わたしを傷つける出来事があったとしても、今のわたしは誰かに助けを求められると思う。


こんなふうに思えるようになってよかった。
わたしは幸せだ。




でもやっぱりこうも思う。



21歳のわたしの目の前に、10歳だったわたしが立っているなら何も言わずに抱き締めたい、と。

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