【書籍紹介】失われたアートの謎を解く~青い日記帳監修

まいど、あづまっくすです

展覧会のご紹介以外に、書籍の紹介も時折行います。今回ご紹介するのは、人気アートブログ青い日記帳さんが監修された【失われたアートの謎を解く】(筑摩書房:2019)です。

https://www.chikumashobo.co.jp/special/mysteryof_lostart/

 【失われたアート】と聞いて、何を思い浮かべられるでしょうか。フェルメールをはじめとして、戦争・火事・廃棄、そして盗難により我々がみることが叶わなくなった絵画や彫刻などの美術作品たち。その裏側には、人間の欲望や確執・政治問題が垣間見えます。本書では、膨大な資料に基づき研究者や人気アートブロガーによる、近現代史に翻弄される美術作品たちが丁寧に紹介されています。

 日本は、世界の美術館から美術作品がやってくることが多い国だと個人的に思います。当時門外不出だったルーブル美術館のミロのビーナスが日本に来た裏にはフランスの作家出身である政治家マルローの尽力があった、とか、ナチスにより集められた美術作品のその後の運命など、われわれが今日見ることができる美術作品のたどった歴史に、これからどうしていくべきかという課題がみえてくる、そんな書籍でした。

 では今の時代、失われたアートはないのか、というと、川崎市民ミュージアムの台風による被害など、自然災害にともなうリスクはまだまだ存在します。ただ、人間が作り上げた財産である美術作品たちは、自分たちで保護しながら後世に残していく努力を惜しまない、ラスコーや高松塚古墳をはじめとした劣化していく作品の保護に、そんな強い意志を感じます。

 

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