河村目呂二・来る福招き猫まつりin瀬戸
9月29日は「くるふく」と読んで招き猫の日である。瀬戸市では9月28日、29日に「来る福招き猫まつりin瀬戸」が開催された。多くの来場者は猫柄の服を着たり、招き猫メイクに猫耳をつけてそぞろ歩く。猫や招き猫のグッズの展示、販売、コンテストなどが行われ、招き猫総おどりや招き猫神輿も登場し、街が猫一色のすてきな2日間となる。今年は第29回めにあたり「ふくづくし」でいっそうにぎやかに行われた。
新世紀工芸館では「河村目呂二『マネーキーとラフター』~セラミックアート招き猫展の27年~」「河村目呂二『吾輩はMONEY=KEY(まねき)猫である』展」が行われた。河村目呂二(かわむらめろじ)(1886~1959)は岐阜県出身。「めろじ」という印象的な筆名は、メロディと竹下夢二からつけられたのだという。初めて聞いたお名前だが、大の猫好きで招き猫作家とはまさに招き猫まつりにふさわしい方である。
『ねこの先生 河村目呂二』の表紙には「日本一の愛猫家・元祖招き猫蒐集家・創作招き猫アーティスト」とある。愛猫家としては、家で飼う猫の数が常に二桁。招き猫蒐集家としては、数千点のコレクション。そのスケッチをし、自分でも猫や招き猫の像を制作した。有名なものは、芸者招き猫。ふくふく笑顔できれいな和装の招き猫だ。
「MONEY=KEY猫」は、「招き」にかけてマネー(お金=金貨)とキー(鍵)を持つ、縁起のいい招き猫。流し目にひゅるりと巻いたひげ、ハート型の眉や斑と小悪魔的キュートさがある。日本初の創作招き猫だという。大正13年(1924)発表で、今年で100周年となる。瀬戸市の株式会社中外陶苑で復刻されている。
「ラフター」はにんまり笑顔の黒猫で昭和25年(1950)のもの。敗戦後の世の中に笑いと福をとの願いから、胸、背中、台座に英語でメッセージが刻まれている。最初の画によると、パネル2枚を紐で結んで胸と背中に垂らすサンドイッチマン形式である。メッセージは胸が「HELLO! come to me!」背中が「LOOK at me! LAUGH at me!」台座が「Let us LAUGH together!」 「MAY BE HAPPY」「 I am the messenger of GooD Luck & LAUGHTER」「 GooD Luck comes to GooD LAUGHTER」。こちらも復刻され、台座のブルーグレーに金の文字がきれいだ。招き猫の日に「ねこの先生」河村目呂二と招き猫に出会えて、ラッキーだった。
上杉あずき@STEP
参考文献
『ねこの先生 河村目呂二』荒川千尋 2010、2024改訂 有限会社風呂猫発行
「来る福招き猫まつりin瀬戸」チラシ
「吾輩はMONEY=KEY猫である」チラシ