パトレイバー

あり得たかもしれない未来とフィクションの未来

先日古本屋で気まぐれに手を取った『機動警察パトレイバー』の漫画版がめちゃくちゃ面白くて急いでレンタルで全巻借りて読み終え、その勢いで映画『機動警察パトレイバー the Movie』、『機動警察パトレイバー2 the Movie』、そして『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』を立て続けに観ました。本当はOVAやTVアニメシリーズ、実写ドラマ版も観たいんですが、話数的にかなり時間がとられてしまうので映画作品だけ先に観るという、なんとも中途半端なチョイス。

個人的にパトレイバーはエヴァンゲリオンや攻殻機動隊のように「興味はあったけど今までの人生で触れずに過ごしてきた作品」の一つで、2018年になってようやく観る決心がつきました。漫画版は発足したばかりの特車二課 第二小隊がギャグやドタバタを交え、組織のしがらみやレイバー事件に振り回されつつ前向きに歩み続ける一方で、『the Movie』、『2 the Movie』は押井守節炸裂の戦争、平和をはじめとする重厚なテーマ性でシリアス一辺倒なストーリー。そして『首都決戦』は実写作品であるのにアニメ劇場版の続編かつ『2 the Movie』の実写再演としての面を持つ何とも複雑な映画。

漫画と映画を観て思ったことは、漫画版は高度成長やバブル期の延長で、重機代わりにレイバーが普及した、経済的に未来が明るい東京を舞台にかなりフィクションとしての側面が強く、一方で映画版はサイバーテロや警察と自衛隊の衝突をはじめとする現実に起こりえるリアリティ描写で、同じ作品を基にしているのにここまで違いが出るのかと舌を巻いた。どっちもレイバーそのものが主題になることは少なく、ロボットアニメではなくて(はぐれ者や問題児ばかりの)警察官が主役の作品であることは共通していることが面白い。

『首都決戦』は、なんというか、「アニメーションを実写で再現したらどうなるか」という実験として観るとなかなか面白いけど、現代に合わせたリブート作品とせずに『2 the Movie』の続編として制作したことが観終わった後にも引っかかる。現代を舞台にしておいてSNSやドローンやAIをはじめとしたテクノロジーが劇中に出てこないのはかなり歪で、あえてそうした要素を除外したとしか思えない。

一番近いものだとハリウッド版攻殻機動隊の『ゴースト・イン・ザ・シェル』っぽい。あれはハリウッドリメイクだけど、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が改めて時代を先取りしていた映画だと実感した。SF映画の続編ものだと『ブレードランナー2049』があの『ブレードランナー』の世界観(主にガジェット周りの、現在のSF作品では絶対に出てこないテクノロジー)を完璧に継承していたのは設定を煮詰めに煮詰めた結果なんだろうな。自分の場合は過去作と続編どちらもフラットな感覚で観ることができるけど、当時最先端のSF作品の続編を製作するのはファンを満足させるという意味でめちゃくちゃ大変だと思う。

いずれにせよ「車や重機代わりにレイバー(ロボット)が普及した未来」がいまだ実現せず、「街の安全を守るお巡りさん」もフィクションになりつつあり、警察の不祥事と自衛隊派遣が飛び交う世の中で、「PATLABOR EZY」がどんな作品になるか期待しかないんですけどその前にOVAやTVアニメ見ておきたいし何だかんだ実写ドラマも興味あるし『機動警察パトレイバー REBOOT』がPV観る限り自分が望んでいたアニメパトレイバーすぎて一刻も早く観なければと感じているのでこのあたりで締めたいと思います。



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