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自分の名前を名乗る覚悟と勇気

数年前。
初めてCDのレコーディングの依頼を頂いた。
といっても自宅で録音する宅録ですが。

私の出身高校は音楽科ではなく普通科なんだけど、音大や音楽の専門学校に進んだ同期は何人かいて。
その高校の同期から頂いた案件だった。

無事納品し終えてクレジットについて聞かれた。

「クレジットの表記何にしたら良い?」

Azemiでお願いします!

「フルネームじゃなくて良いの?」

うん。アルファベットで「Azemi」だけでお願い。


なぜフルネームではなく苗字だけ、しかもアルファベット表記でお願いしたのか。
当時、私は自分の名前を名乗ることができなかったのです。

「自分の名前を名乗れないなんておかしい」って思うでしょ?
今は私もおかしかったなと思う。
でも当時は名乗ることができなかった。
名乗ることにとても抵抗があった。

以前書いたnoteの中で、私は師匠のお気に入りであったということも少し触れました。

師匠から気に入られ、認められる。
非常に光栄なことだしとても嬉しく思っている。

でも音大というのは言ってしまえばみんなライバルのようなもの。
そんな中で気に入られるというのは妬ましく思われるということ。

師匠に悪気は一切ない。
それは十分承知しているんだけど、私が知らないところで私の名前を出して

「あの子はすごく頑張っている」
「あの子は音色がすごく良い」

などなど言っていたそうで、私が演奏系や講師の仕事を獲得した時も他の生徒に言っていた。
私がいるところでも飲み会の席とかで「この子は〇〇(詳細は伏せますが生徒さんの職業)の先生なんだ」と周りに言っていたり。
そりゃあ周りからしたら面白くない。
普段は仲が良くても色々と思うことがあったでしょう。
冗談ぽく、笑いながらであっても私は努力を馬鹿にされたことがある。
本当にごめんなんだけど、それだけは未だに引っ掛かってる。

特にその頃は私の精神状態としてもあがり症のどん底。
周りの目を過剰に気にしていた時期でもありました。
変に目立ちたくない。
目立ってはいけない…


4年前、Youtubeで演奏動画の投稿を始めました。
YouTube初期は動画本編はもちろん、アイコンもサムネも一切顔出しなし。
年齢、未婚か既婚かどうか、学歴など個人情報は全て伏せ、取り敢えず音大卒の女性フルート奏者。
得体の知れない演奏者として活動を始めました。

YouTubeに初めて投稿した動画。
現在は顔出しありのサムネに変更している。

理由は「誰にも知られたくないから」
おかしな話です。
誰にも知られたくないなら発信なんてしなければ良いのに。
でも知られることに対する抵抗感があると同時に、自分の音楽を発信したいという根源的な欲求、創造したいという強い意志がそうさせたのだと思います。
この矛盾の中で戦うのもとても苦しかったけど信念は曲げることができない。

そこから半年後くらいにアイコン、サムネで顔出しをし、名前や学歴なども公開します。
仕事に繋がる活動なので、あまりにも得体が知れなさすぎると信頼されにくいと感じたためです。
メインチャンネルである「GAMER FLUTIST」を開設して1年後くらいにサブチャンネルも開設。
サブチャンネルの名前は「あぜみのFlute Channel」(現在は休止中ですが近いうちに再開したい)

個人情報を公開した後もまだまだ抵抗感はありました。
特にサブチャンである「あぜみのFlute Channel」はゲーム音楽ではなく様々なジャンルの楽曲を演奏しており、何よりチャンネル名に個人名を入れている…!
案の定、私がYoutubeで投稿していることは師匠に知られました。(GAMER FLUTISTの方はどうだろう…笑)
そして周りにも。


でも一体何を気にする必要があるのだろう。
他人から何を言われたって、どう思われたって演奏をやめるだろうか。
いや、やめない。
絶対にやめない。
何があっても。
「演奏」は私にとって「生きる」ということだから。

しっかり堂々と自分の名前を名乗れるようになったのは実はここ最近の話。
YouTube動画も本編で顔出しして演奏するようになったのは去年の1月から。

ずっとずっと人目を気にしていた。
ただ名前を名乗るだけであってもそこには責任が伴い、簡単なようで簡単なことではない。
「演奏で生きる」覚悟が足りていなかったのだと思う。

自分自身の生きるスジは誰にも渡してはならないんだ。

自分の中に毒を持て
著者 岡本太郎

岡本太郎さんの言葉が胸に刺さります。

また、「嫌われる勇気」の中でも以下の内容が書かれています。

「嫌われたくない」と願うのはわたしの課題かもしれませんが、「わたしのことを嫌うかどうか」は他者の課題です。
わたしをよく思わない人がいたとしても、そこに介入することはできません。
-中略-
幸せになる勇気には「嫌われる勇気」も含まれます。

嫌われる勇気
著者 岸見一郎
古賀史健

他人に振り回されて、他人の思い通りに生きてはいけない。
他人の人生を歩んではいけない。
私は「自分の人生」を生きる。

私はフルート奏者の畔見真里です。



ここまでお読みいただきありがとうございました!
今回ご紹介した書籍は2冊ともほんっっっっっっっっっっとうに読んでいただきたい。
読んだことのない方は是非!

※アフィリンクではありません。

改めてYouTubeチャンネルも紹介させて。笑

メインチャンネル「GAMER FLUTIST」

サブチャンネル「あぜみのFlute Channel」

ちなみに師匠には未だ言えてませんが、次何かあったらさすがに言おうかなと思ってます。笑
師匠も、周りも、決して悪気はないんだけどね。
光栄なことなんだけどね。
難しいよね。


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