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日記。というか、他人の日記を読むすすめ。

 今日人の日記を読んで得た気付きを書きたいと思います。「たいていのことはげんじつにおこる」これに尽きると思った。
 
 たとえばアナイスの日記はハーレークイーン小説もびっくりの内容で、私は本当に驚いた。結婚してもモテる人はモテるらしい。
 ハーレムラノベとかで「主人公が何もしていないのにモテる。おかしい」みたいな批判は、アナイスの生活を見ている限り、もしかすると理不尽なのかもしれないと思いました。「あり得ない」系の物言いはもしかするとほとんど無視できるのかもしれないですね。時代設定とか物理法則とか、なにかひとつ一貫してリアルであったら、他は自由でいいのかもしれない(私はなにもかも自由だと多分読者がついてこないので縛りは必要という立場です)

 百年前の風俗を知らないから言うんだけど、みんな気軽に晩御飯に人を招くんだね。それで配偶者と浮気相手が顔を合わせて素知らぬ顔でディナーをするとか、それなんて地獄? なんでみんな正気なの? ワイン噴き出して染みにならない? 普通の人はすぐ耐え切れなくなって、ぶはっ! ってワインを吐き出すことになると思いますたぶん……。

 アナイスは顔見知りとばかり浮気をするので驚いた。でもリアルな浮気ってこういうものらしいね。リアルって何? 行動半径三百メートルのリアル。 
 アナイスの日記読んでると出てくる人出てくる人みんなアナイスに惚れるので「これなんてラノベ?」って言いそうになった。特殊能力持ちなのかな? そうなのかな?

 しかも年取ってからも過去の愛人がアナイスのもとに集ったと言うので、一時の気の迷いということでもなさそう。あらすじ読んだ時点では「ランク博士にアルトー、有名どころばっかりだな。これはさすがにアイキャッチに名前使ってるだけでは? 2,3ページしか出てこないでしょwww」と思っていたらがっつり関係を持っていて笑った。これはですね。小説。日本の不倫小説のどれよりすごいと思いました。

 私は性格がひねくれているので「不倫www現代におけるわかりやすいハードル設定」みたいな読み方しかしないのですが、アナイスのは本気のやつだったので縮み上がりました。

 子供の頃は「なんでわざわざひフィクションを読んでヒヤヒヤする必要があるの?」と思っていたけど、今になってみると、「ヘンリー(愛人)起きて! ヒューゴー(夫)が帰ってきたわ!」てシーンを見ると「うわー! 大変!」という気持ちを疑似体験出来て、安全地帯から見守れるのでとてもいいですね。矢口さんもベッキーも応援できる。そもそもゲスなのは川谷さんだけなのでは……? アナイスの日記見てたら「あ! 絵音さんもこういう風に後先見境なく燃え上がりそう!」と思いました。刺激がないと生きられない人種というのは存在していて、彼らのことをあんまり悪く言わないであげてほしいと思ったよ。法的な責任と親とか配偶者としての責任を果たすことが出来たら世間がどうこう言わないであげてほしいね。恒常的にドーパミンが不足してるんだよだからたまに夢中になると後先関係なくなるんだよ許してやってくれよ。

 それにつけても、モテる人というのは大変だと思ったよ。良かった。私はわたしで。
 しかもアナイスは見た目がきれいな上に感情表現に波のあるこだわりパパと大雑把で情熱的なママの間で不安定な子供時代を送ったせいか、見境なく他人に媚びる癖がついていて、これはモテると思う。全人類からモテる。魔性の女の条件を満たしている。

 でもねー、男性が書く不倫小説って女の人ドロドロしているじゃん。アナイスは全然そんなことなくて、好きだと思った。せっかく仲良くなっても、つまらないことをして、五分で見捨てられそう。「あの人には美学がない」とか言われて。それにアナイスは、地獄の果てまでは絶対ついてこないし、一人で先に旅立って、天国で天使とイチャイチャしてそう。その切り替えの早さが好きです。

 しかし私は女性がドン・ファン的な性質を持っているのは好きなのに、男性のドン・ファンは好きになれないのなぜなんだろうね。滅びたらいいと思っているもん。アナイスパパのホアキンとか写真見ただけでナルシストっぷりが伝わってきて「あ! 無理!」ってなります。なので男性が読んだらもしかすると、なんだこの女、アナイスよ、滅びろ! 悪魔よ去れ! って思うかもしれないのがアナイスの日記だと思いました。怖いもの見たさにどうですか? ぜひ男性の意見も聞いてみたいのですが。

 アナイスの日記に共感(?)した延長でふと思ったんですが、昔女性の「本当にあった怖い話」ってママ友トラブルとか嫁姑トラブルを扱った漫画あったじゃないですか。あのころはまだ掲示板もSNSもなくて、どこにも吐き出せない悩みを抱えている人たちがいて、そう言う人たちにあの本は受けていたのかも。他人の物語に自らを重ねることで納得したり、留飲を下げたり、学習したり、私たちはそういう生き物なのかも。そういう用途にもってこいの、アナイスニンの日記、おすすめです。

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