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<No.22>SDGsの各ゴール解説⑫ 目標12: つくる責任つかう責任

 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
 今回は「目標12:つくる責任つかう責任」です。

UNDPでは「目標12:つくる責任つかう責任」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)

持続可能な消費と生産のパターンを確保する

現経済成長と持続可能な開発を達成するためには、私たちが商品や資源を生産、消費する方法を変えることで、エコロジカル・フットプリント(人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値)を早急に削減することが必要です。全世界で最も多くの水が用いられているのは農業で、灌漑だけで人間が使用する淡水全体の70%近くを占めています。

私たちが共有する天然資源の効率的管理と、有害廃棄物や汚染物の処理方法の改善は、この目標達成に向けた重要な課題です。産業や企業、消費者に廃棄物の発生防止と再利用を促すことも、同じく重要であるほか、開発途上国が2030年までに、より持続可能な消費パターンへと移行できるよう支援する必要もあります。

世界人口の大部分は未だに、基本的ニーズを満たす充足できる資源さえ消費していません。小売店と消費者による1人当たり食品廃棄量を全世界で半減させることも、より効率的な生産とサプライチェーン(原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの行程)を構築する上で重要です。それは食料の安定確保に役立つだけでなく、より効率的な資源の利用を行う経済への移行も促すからです。

責任ある生産と消費は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-12.html

また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、このゴールに対して何が出来るかという視点で以下のように伝えています。

企業として、私には何ができるのですか。
持続可能な消費と生産のパターンを可能にする新たな解決策を見つけることは、企業の利益となります。製品のライフサイクルという点でも、また、それがライフスタイルに取り込まれた場合にどのような影響を及ぼすかという点でも、製品とサービスが環境と経済に与える影響をもっとよく理解する必要があります。“バリューチェーン”の中で、「ホットスポット」を特定することが大切な第一歩です。というのは、そこでは介入によってシステム全体としての環境と社会への影響を緩和する可能性が最も高まるからです。企業はまた、そのイノベーション能力を活用し、個人がより持続可能なライフスタイルを選択することを可能にし、動機づけすることで、影響を緩和し、福祉を改善することもできます。
一人の消費者として、私には 何ができるのですか。
主として 2 つの方法があります。それは、1. あなたが出すゴミを減らすことと、2. 何を買うかについてよく考え、可能な場合には常に、持続可能なオプションを選ぶことです。
ゴミの減量は、食料を無駄にしないことから、海洋の大きな汚染源となっているプラスチックの消費を減らすことまで、さまざまな方法で実行できます。再利用可能なバッグを持ち歩き、プラスチック製のストローの利用を断り、ペットボトルのリサイクルを行うことはいずれも、日常的に責任を果たすためのよい方法です。何を買うかについて、情報に基づいて購入を行うことも役に立ちます。例えば、繊維産業は現在、農業に次いで第 2 の水質汚染源となっているだけでなく、開発途上地域の労働者を搾取しているファッション企業も多くあります。持続可能な地元の商品を買うことができれば、変化を起こすだけでなく、企業に対して持続可能な実践を採用するよう圧力をかけることもできます。

詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/8ea9ff2f662e3b0ca6e73aa35a217f06.pdf

具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール12に連なるターゲットは以下の11です。

• 12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
• 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
• 12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
• 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
• 12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
• 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
• 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
• 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
• 12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
• 12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
• 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

 目標12は先進国の消費と途上国での生産、調達といった部分でもSDGsの特徴である「世界とのつながり」を特に感じやすい目標です。また、先進国の消費者としての行動が問われる点でもあります。

個人としてのアクション事例としては過去記事「(記事No10)SDGs個人でできるアクション」をご参照ください。

 一人一人の具体的な行動がSDGsの壮大な目標を達成するために重要になります。
企業の取り組み例としては、ターゲット12.2「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。」に対応するアプローチとして、製品やサービスのライフサイクルにわたる予見可能な環境、健康、安全関連の影響を回避または緩和し、環境問題への予防的アプローチをとることも今後は先進国の生産者として重要な役割になることが考えられます。

最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール12に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。

• 2050年までに世界人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を持続させるためには、地球が3つ必要になりかねません。
• インフラと建設部門で非金属鉱物の利用が増える中で、物質面の生活水準には大幅な改善が見られています。開発途上国の1人当たり「マテリアル・フットプリント」は、2000年の5メートルトンから2017年の9メートルトンへと増大しました。
• 世界最大の250社のうち93%は現在、サステナビリティー報告書を作成しています。

• 全世界の水資源のうち(飲用に適した)淡水は3%に満たず、しかも2.5%は南極や北極、氷河で凍り付いています。よって人類は、全体のわずか0.5%の淡水で人間生態系の淡水ニーズを満たさねばなりません。
• 人間は、自然が河川や湖沼で再生、浄化できる以上の速さで、水を汚染しています。
• 淡水にアクセスできない人々は、依然として10億人を超えています。
• 水の使い過ぎは、世界的な水ストレスを助長します。
• 水は自然から無償で手に入るものの、給水のためのインフラには大きなコストがかかります。
• エネルギー全世界の人々が電球を省エネ型に変えたとすれば、全世界で年間1,200億米ドルが節約できます。
• 技術の進歩による省エネの促進にもかかわらず、経済協力開発機構(OECD)諸国のエネルギー使用は、2020年までにさらに35%の増大を続けると見られます。世界的に見て、エネルギーの使用が最も急速に拡大しているのは輸送部門ですが、商業用・住宅用のエネルギー使用がこれに次いでいます。
• 2002年の時点で、OECD諸国の車両保有台数は5億5,000万台に達しています(うちマイカーは75%を占める)。2020年までに、車の所有台数は32%増大すると見られます。また、自動車の走行キロ数も40%増大すると見られているほか、世界全体の空路輸送距離も同時期に3倍に増える見込みです。
• 家計は地球全体のエネルギーの29%を消費することにより、二酸化炭素(CO2)排出量の21%を占めています。
• 2015年、最終エネルギー消費に占める持続可能エネルギーの割合は、17.5%に達しました。
食料
• 食料による環境への大きな影響は、生産段階(農業、食品加工)で生じていますが、家計は食べ物の選択や食習慣を通じて、こうした影響を左右します。その結果として、食料関連のエネルギー消費と廃棄物の発生による環境への影響も生じています。
• 毎年、生産される食料全体の3分の1に相当する13億トン、価値にしておよそ1兆ドルの食料が、消費者や小売業者のゴミ箱で腐ったり、劣悪な輸送・収穫実践によって傷んだりしています。
• 全世界で20億人が体重超過または肥満となっています。
• 土地の劣化、土壌肥沃度の低下、持続不可能な水利用、漁業資源の乱獲と海洋環境の破壊はいずれも、天然資源基盤の食料供給能力を低下させています。
• 食料部門は、全世界のエネルギー消費の約30%と、温室効果ガス排出量全体の約22%を占めています。

 事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。

 みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。

資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/

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