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Technics EPC-305MCMK2

個人的に、振動系実効質量を軽くしても楕円針にこだわっているようにみえる旧テクニクスのMCカートリッジってどんな音がするんだろう?とずっと気になっていました。そしてサブテーマとして、振動系実効質量を軽くして、ダンパーの性能が良いものを使えば、楕円針でも内周歪は抑えられるのではないか?とも想像していました。

…そして入手してしまいました。


Technics EPC-305MCMK2。某中古ショップで発見、すぐに無くなるだろうな…と思いつつ半年後再訪してまだ残ってたのでこれは私がなんとしても!って具合で。にしても当時の定価のままの価格と、高かったです。

まずは音出し…高域が伸びずに糞詰まりを起こしている…テストレコードでチェックすると明らかにトレース能力が低かったので、ダンパーにラバープ◯テクタ◯トを一滴だけ垂らして様子見。

数日後、テストレコードで再確認し、トレース能力が復活したことを確認!まず驚いたのが、テストレコード(Shure TTR117)で明らかなミストラッキングなくLv6まで再生できてしまったこと。
続いてクラシック音楽を恐る恐る再生…

何じゃこりゃ!(良い意味で)

低域から高域まで音のバランスが見事に整っており、音の輪郭が小さく引き締まっていながら余韻が綺麗に広がるホールトーン。繊細ながら音の厚みも確らしさをもって表現できる。しかも歪み感が小さい。広大で澄んだ空間の出現に思わず今まで聴き慣れたレコードを何枚もかけてしまいました。

さて、内周歪はどうだろう…
これが思いの外、健闘してます。やはり大音量部でも耐えうるトレース能力の高さ(ダンパー)と、振動系実効質量の超軽量化がかなり効いているのでしょうか?最内周びっちりドS盤(?)でなければ十分イケます。
竹内まりやの「Variety」のA面、B面それぞれのラストの曲は再生が難しいので歪み耐性チェックによく使っています。さすがに歪は出てしまいましたが、楕円針としてはかなり歪が抑えられてる方だと感じました。流石にここはラインコンタクト系の針が強みを発揮するといったところですが、露骨な違いかというとそうでもないのが凄いところ。

今度は他のカートリッジと比較しながら再生確認。AT-OC9XSLと比べてみると、中低域の充実感という音作りの支えと高域の粒立ちのよさによって音楽の「おいしさ」「旨み」を堪能できるOC9に比べて、305MCMK2はあらゆる再現がニュートラルであるように感じられました。加えてサウンドステージがスッキリしていながら広いというところも好印象です。このカートリッジを聴いてしまうと、そうでないはずのOC9の表現がコッテリしているように感じてしまうのだから不思議です。この辺、実はラインコンタクト針でなく楕円針をチョイスしている効果なのでしょうか?空芯型であることも関係ありでしょうか?

クラシック再生におけるマイリファレンスカートリッジになりました。ただ、摩耗しやすい針先形状(楕円針)に加えて、振動系が軽すぎてカンチレバーが折れてしまわないか心配の種ではあります。普段使いというよりかは、高音質かつニュートラルに心ごと耳を傾けたい時に登場する形になりそうです。




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