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フルール・ド・リスの写真の謎

数年前、ある日本の集落を歩いていたとき、たまたま電信柱に貼られていた写真に目が止まった。
たった1枚、この写真が無造作に貼られていた。
雨風にさらされているようで削れて欠損している。
貼られてからしばらくは経っているようだ。

この写真を見てまず咄嗟に思い出したのは、cicada3301。
10年ほど前にネットを賑わせた謎の暗号だ。諜報機関が人員を募集するために行なったなど諸説あるものの、結果としては謎のままだ。
暗号を解くとまた次のヒントや暗号が表示されていく。
その中にはリアルに街中に貼られたポスターなどもあった。
もしかしたら、そういった謎解きゲームのひとつかもしれない。

観光地の写真、というわけでもない。
何気ない通路のような写真。返って気になってしまった。
この場所が知りたい。
単純な興味で調べてみることにした。

この場所の構造

狭い通路が奥まで続いている。
一本道と思いきや、斜めに降る矢印マークが三カ所表示されている。
少し先に左右二箇所、一番奥左に一箇所だ。
矢印のサインを見る限り、下に降りる道と思われる。

標識

アルファベットのようなものが書かれており、横に数字が見える。
アルファベットはVies ? Viz..わからない..。
よく見るとハイフンで次の文字もある。1 - 3 とよめる。

右側の方は、写真が欠けてしまっていて判定しづらい。
上から仮のものをシールで貼ってあるような印象だ。
何かしらの乗り場へ行くような場所であることが想定できる。

監視カメラ

ご覧の通り、かなりの間隔で監視カメラが付いているのがわかる。
公共的な場所、駅や空港などだろうか。
やや間隔が短すぎる気もするが、乗り換えをすることなどを想定すればその間隔でも不思議ではないかもしれない。

フルール・ド・リスの美しい壁

なんといっても一番目につくのは、奥にあるフルール・ド・リスだ。

フルール・ド・リス
花の紋章。リスはユリをさすが実際にはアヤメ科のショウブがモチーフ。ヨーロッパの王族の紋章としてよく使用されていた。
現在でもフランス、スペイン、イタリア、イギリスなどさまざまな国に置いてモチーフとして利用されている。

そっけない両側面の壁とは対照的に芸術性が高い作り込まれたデザインだ。
側面の壁は、波模様のパネルのような無機質さがある。
よくよく見ると幅の狭いパネルが何枚も連なっているようだ。
床もちょっとした色変えがあり、作り込みを感じる。
描かれているフルール・ド・リスをよく見ると、花びらの間に雄蕊が描かれている。この特徴は、フィレンツエに近い。
フローリン金貨にもそれは刻まれている。
このことから、特にイタリアが関係している可能性はあると思われる。

イタリアに関係している少なくともヨーロッパ内の飛行機もしくは電車などに乗る際の通路..

と、以上が数年前にさまざまな検索をしてみた結果の限界だった。

進化した画像検索、ありがとうGoogle

数年経った今、調査を再開しようとしたわけだが…
あれから..早4年。画像検索の精度も如何程上がったことだろう。
もう一度試してみようではないか。

OK Google 君は素晴らしい。
諦めかけたこの謎を君は零コンマ数秒で返してくれたね。

結論「ARANJUEZ(アランフェス)」という スペインの駅構内の写真でした!

モザイクで綺麗に彩られた歴史ある駅の構内。
2010年の上記ブログによれば修復作業がこれから始まるとのこと。
つまり、あのそっけない壁面は修復中の仮のパネルだったということだ。
改装中で表示板も仮のもので紙が貼られていたのかもしれない。

このモザイクを作成したのはマリオ・マラリアーノというイタリア人のモザイク作家であったようだ。
どうりでフィレンツエ風のフルール・ド・リス。

なぜ、あの場所に改装中のアランフェス駅の写真が貼ってあったのかはわからないが…4年越しの謎が解けて今日は安眠できそうだ。

最後にこのアランフェスのブログを書いてくれたMingo Salamanca に感謝を。おかげでこの謎が解けました。

彼のYoutubeも発見したので貼っておきます。

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