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小説未満・エッセイ・その他

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薊詩乃の書いたもの。 小説未満、エッセイ、雑記、散文。
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記事一覧

『14歳の栞』で私は泣かなかったけれど

劇場は半分ほど埋まっていた。終盤になると、啜り泣く声も聞こえてきた。「泣きゃあいいっても…

2,000

映画について あるいは、サブスクという永続罠

サブスクで映画を観るほうが、映画館に行って観るよりハードルが高い。いつでも観れるという安…

るるいえのはこにわ新メンバー加入の経緯と所感

言ってしまえば、ひとりでやっていけるほど、私は孤独ではなかったのだ。 経緯なぜメンバーを…

薊詩乃のカルナマゴス・レビュー【初恋ハラスメント】

《カルナマゴスの遺言》とは、クトゥルフ神話体系に組み込まれた魔導書である。 その中に記さ…

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露悪

火を燃やすのは愉しかろう。 安全地帯であるならば。 キミは、まさか自分が傍観者だと思って…

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思考実験は終わらない

るるいえのはこにわ 断章『芸術家ノア=ミ・ザによるいくつかの思考実験』が幕を下ろしました。…

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因果輪転2024

この日はいつだって気が滅入る。 「今年こそは──」と何年言った? 「来年こそは──」と何年言う気か? 自分のことは自分がよく見えない。 見えているものが本当ではないかもしれない。 現状維持では後退するばかりである。 昨年の私は何者でもないままだった。 今年は何者かになれるだろうか。 何者かになったとして、どうなるのだろうか。 だが私は何者かにならなくてはならない。 より多く畏怖を書く。 そして届ける。 より多く悪意を書く。 そして隠す。 より多く呪詛を書く。 そし

因果冒瀆2023

悪魔的とも思える発火だった。 ニットの下、腔の中、 悪意の舌が伸びてゆく。 ざらついた触肢…

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まだ足りない

後悔を語るのは何度目だろう。海馬による症候群的映像は、私に足りなかったものをもう何年も見…

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『心のナイアルラトテップ』終演

終わったのは日曜の夜でした。明日は平日ですので、主宰側を残し、ほとんどの座組は遅くまで劇…

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理想叶える為犠牲になってくれ

もう誰も愛さない。もう誰も許さない── そう宣っておきながら、蓋を開けてみればどうだろう…

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あとがき、あるいは、まえがき

なぜ書く? 何を書く? 足りないを書く。足りないまま書く。 足らしめられなかったことを書…

大いなるクトゥルフと大いなる世界の闇

真髄としてのクトゥルフ神話は、グロテスクなクリーチャーを愛でるコンテンツではない。 かつ…

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#ケイコバ2023 に行っていました【最終日】

※この記事はレポ記事というよりもむしろエッセイです。 最終日稽古・場当たり4日目の朝。最終日の朝である。 座組のメンバーに、この座組として相対するのは、この日で最後となる。 台風の影響でたったの3日しか顔を合わせていないが、楽しさも苦しさも共有できた3人だ。今後会うためには、何か他の理由がなくてはならない……。 いよいよ最終日の稽古が始まる。 最後の読み合わせを行い、登場人物のアクションの目的やその動機について再確認した。 場当たりの時間が来る。 音響や照明のタイミ