らー

【ショートコント】『ありやなしや』

※トーン的には「ハライチ」あたりがやっていると思ってお読みください。

あ、あそこでいいや」

お店に入ると、にこやかな店員が進み出てくる。

「いらっしゃいませー! お客様は……」

「あ、一名です」

「ぼっち様ですね?」

「……え? いや、まあ、そうですけど――」

(なんだよ、こいつ……?)」※モノローグ調で

「禁煙席と喫煙席がございますが」

「じゃあ、喫煙で」

「かしこまりました。

一日どれくらいお吸いになられますか?」

「は?」

笑顔で、じっと見つめてくる店員

「……えっと……二箱、くらい、ですけど……」

「かしこまりました。健康には十分注意してくださいね。

それではお席にご案内いたします」

「え、なに? なんなの?

今の必要だった? ねえ?」

「こちらへどうぞ?」

「(聞いてねーのかよ)」※モノローグ調で

店員、席着した客の前にメニューを広げながら。

「お冷の方、恐れ入りますが

あちらでセルフサービスになっておりますので」

「あ、はい」

「では、ご注文が決まりましたら、そちらのボタンを――」

「あ、それはもう決まってるから」

「失礼しました」

「えっと、ダーミヤンラーメンの半チャーハン餃子セットで」

「ありがとうございます。

ご注文の方、確認させていただきます。

ダーミヤンラーメンの半チャーハン餃子セットお一つですね」

「そう」

「ちなみに半チャーハンですが、先にお出ししますか?

それとも食後にお持ちしますか?」

「は? ……や、それは一緒に持ってきてよ」

「かしこまりました」

「(なにここ?

いつからチャーハンってデザート扱いなってんの?)」

※モノローグ調で

「あのう、お客様?」

「はい?」

「ダミーヤンラーメンですが、麺抜き、スープ抜き、

ご自由に選べますが、こちらよろしかったでしょうか?」

「それ抜いちゃ駄目でしょ! 絶対!」

「かしこまりました」

「むしろそれ抜いたらラーメンじゃなくね? ね?」

「――ちなみに」

「聞けよ!」

「海苔抜き、葱抜き、チャーシュー抜き、

メンマ抜きもお好みで調整できますが?」

「それ全部入れて! 頼むから!」

「ラーメン全部乗せですね。承りました」

「や、普通だから! それ全部でラーメンだから! ね?」

「あ、お客様?」

「だから聞けって!」

「餃子の方ですが……」

「抜かねーよ! もう何ひとつ! 抜かねーから!」

「かしこまりました。ひき肉、ニラ、葱、キャベツ、

しょうが、にんにく、卵、ナツメグ、ありありですね?」

「そう! 全部ありありで! 絶対抜かないで!」

「かしこまりました。

ちなみに……皮の方は、ありやなしや?」

「ありで! だからもう全部ありありでいいから!」

「かしこまりました」

「かしこまってよ! 本当に!

てか、皮なしで、どうやって包むつもりだったの? ね?

むしろ、そこすごく気になるんだけど――」

「あ、お客様?」

「って、聞かねーし!」

「あの半チャーハンの方ですが――」

「だから! それも全部乗せの、ありありで!」

「かしこまりました。

それでは、チャーハン1300グラム全部盛りで承ります」

「え!? ちょ、待った! そこは抜いてこ!

ね? さすがに1300とかはあれだから――」

「ご注文ありがとうございます」

「だからまず話聞いてこ!? ね? ね?」

「それではお客様、恐れ入りますが

当店オールセルフサービスとなっておりますので、

キッチンへ移動して頂いてもよろしいでしょうか?」

「俺が作るんかい! もうええわ!」

ちゃんちゃん! 

ーENDー

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チェーン店の中華飲食店に入って、ラーメンくるまでの5分の間に、なぜかこんなショートコントが頭の中に流れたのでメモっておきました。

よくあるパターンのオーソドックスなものだと思いますが、

芝居の練習とかにでもどうぞ。

※ト書きは読まないで大丈夫です。

※台詞は変えても構いません。

※BGMやらSEつけるなり、なんでも自由にやってください。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。