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うたがわきしみの宇宙Ⅱ

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140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
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2019年2月の記事一覧

なにもできなくていい。 そうやって君はときどき神様みたいな顔をする

かつて名付けようがなかった風たちに 名を与えようとした魔法戦士 その直系の子孫が詩人なのだ

言葉が光速で過ぎ去っていく 虫捕り網でつかまえにいく詩人の背中 ずっと追いかけてる 帽子はイギリス製だ

電車が猫みたいにミューミュー鳴いて 宇宙に飛び立ち始めた 春だ

つんと突き刺すようなサルナスビの花弁の香りが鼻腔を強く刺激した朝、ボクは54匹のカタツムリを食べた。 (こうなるともう文学ちっく)

たった今、人間は、折り返し地点を迎えた 今日から、ゆっくり、ゆっくり 海に還る

「ヘルプミー!」 神様が救いを求めて懇願してる 他をあたってくれ かつてあんたがそうしたように呟く 「オーマイゴッド!」

違う。違わない 君がジープを見殺しにした 乗り遅れたバスみたいな顔をして かつて触れたことのない風なら 救えたはずの 紡ごうとした瞬間訪れる終幕 全てを問い質してなお残るもの 向き合い方のわからない手触り 探し物がなんだったかを捜すのが 人生ならよかった ラスコーリニコフの言い訳

冬ひとつ越して 春の岬 みはるかす海の腹を 指でなぜる 桜は胸の奥で咲く 波しぶきを花びらにかえ ひとり立つ その横顔が歌になる 君だけの歌になる

誰にも言うな。囁く声がした それを投げ込む意味を問え 時計には眼がある 力のある言葉 嘘が真実になる瞬間 冬は自身を冷たいとは思ってない 銀河の数だけ言葉がある 語り尽くされた海 その波紋は本当に必要か 君でなければならなかったか 夜は朝の友になれたか 二本足で立って動き出す歌