映画ウィッシュの感想


「ウィッシュ」日本語吹替版を観てきた。
これはその感想文である。

乃木坂のオタクである私は、この作品を生田絵梨花(敬称略)のオタクとして鑑賞した。
ディズニーには明るくない、乃木オタによる感想となることを、まずご承知願いたい。


※作品本編のネタバレ含む。


生田絵梨花のオタクとして、私はこの作品に酷く感動した。


この物語の中心となるメッセージは、「自分の願いは、自分の力で叶える。」というものだろう。

願いは自分の大切なもの。人の生きがいだ。
それを誰かに預けて、叶えてもらうのを待ってはいけない。他でもない自分自身が、大切に育てなくてはならない。
たとえ叶わなかったとしても、諦めず「やれるだけやってみる」ことには価値がある、と。


そんな物語の主人公、「願いを人に預けること」の異常さに気づき、みんなの願いを取り戻すために行動する少女・アーシャ役を、日本語吹替版で務め上げたのが、生田絵梨花だった。

私はここに感動している。

100周年の記念すべき作品の、主役を求めるディズニーのお眼鏡にかなったこともそうだ。これは歌唱力演技力の評価抜きにしては語れない……。しかし、それ以上に私は「自分の力で願いを叶える少女」を体現する彼女自身が評価されたのだと思っている。

というのも、ディズニー吹き替え版キャストは、役者の人生や人物的背景までもが審査対象となっているような気がしているのだ。あくまで気がしているだけだが。

例えば、女王エルサ役に、日本の伝統芸能・歌舞伎の家の娘でもある松たか子氏を。海に選ばれた少女モアナには沖縄出身の屋比久知奈氏を、というように。

この考えに基づけば、今回アーシャ役に生田絵梨花が選ばれたことも、生田絵梨花という人生への解釈が含まれているのではないか、と考えてしまうのだ、どうしても。


生田絵梨花の人生。
真面目で正義感が強く、思いやりがあり、まっすぐな思いとひたむきな努力で夢を叶え、その姿をアイドルとして多くの人々に見せることで、元気や勇気や希望を与えてきた、という人生だ。


生田絵梨花は、乃木坂46在籍時から、自分の願いを自分の力で叶え続けてきた。このことに誰も異存は無いだろう。
彼女の名どころか、「乃木坂46」というグループの名が世間に浸透するより前から、生田絵梨花という少女はひたすらに、夢を、希望を、願いを、自身の努力によって片っ端から叶えてきた。

時にスタッフに掛け合って。時に自作の企画書を提出して。時に個人的にオーディションに応募して役をもぎ取るなどして。
そうして、歌、ダンス、ピアノ、バラエティ、演技、ミュージカルなどなど、様々な姿を掛け持ちしながら、ほぼ全ての界隈の人間から高い評価をされ続けるという偉業を成し遂げた。
それは決して、決して簡単なことではなかったはずだ。

(こうした彼女の奮闘や苦悩は、「いつのまにか、ここにいる」という乃木坂46として2作目のドキュメンタリー映画でも垣間見ることができる。)


そんな我らがいくちゃんが、ついにディズニー映画の吹き替えを!
オーディションを勝ち抜いて!
それも主役!!
しかもディズニー100周年記念作品で!!
その主役を、だ!!


彼女はちょっと、夢を叶えすぎだ。勿論それは良い意味で。

自分だけでは飽き足らず、見ている我々にまでも、夢を、希望を抱かせるほどなのだから。



2020年夏の46時間TVの個人企画で、彼女は「2ヶ月足らずでバイオリン&ギターW挑戦」という無謀な挑戦をした。触れたこともないという楽器を2種類。100時間以上練習に費やしたという。
彼女はその両方を、生演奏で披露した。

リアルタイムで視聴していた私が素人目で評価すると、かなり上手かった。
ピアノなどで楽器経験(プロレベル)があるとはいえ、簡単には到達できないレベルの演奏を、彼女は同時に成し遂げた。

演奏を終えた彼女は、自身の気持ちをこう吐露する。

この自粛期間中に自分のモチベーションを保つ意味もあったし、皆さんのために何ができるかなと思った時に、小さい自分でも少しでも勇気を届けられたないいなと思ったので、こういう企画にしました

https://times.abema.tv/articles/-/7059200?page=1

そう、彼女は知っているのだ。
自分が挑戦し、夢を叶えることは、見ている者に勇気や希望やきっかけを与えるということを。

彼女の行動原理は、自己実現だけではなくなっている。見てくれる人のため、誰かのために、という思いが彼女を努力へ向かわせているのだ。
これは、アイドルだからこそ辿り着く考えだと言える。


日本語版アーシャのオーディションをしたディズニーは、生田絵梨花のこうした部分を評価したに違いない。
正確には、彼女の考え方の表れる声を、評価しているに違いない、と。


繰り返すが、彼女の人生は、自分が願いを実現させ続けることによって、周囲を勇気づけ続けた人生と言える。

その人生が、人間性が、声に表れているのだ。

彼女の声には意志がある。強い心、希望の光が、声の核をつくっている。その核を剥き出しにしないやさしさ、思いやり。そんな声だ。
自分の願いを叶えるのは自分であり、それが「自分が誰かにできること」だと、わかっている人の声なのだ。


少女が努力して願いを叶える姿は、見た者全員を感動させる。
その姿を見たら、じゃあ自分は何をしようか、と考えてしまう。前向きになってしまう。

この感覚を、(生田絵梨花在籍当時の)乃木坂のオタクは全員知っているはずだ。

そしてアーシャは、そういう役目を果たす少女だ。
彼女自身の勇敢さやひたむきさが、周囲の人々に、願いを叶える喜びを思い出させる。

勇気振り絞って踏み出そう ひとりじゃないから

この願い あきらめることはない!

そう歌う少女アーシャを演じるのは、生田絵梨花以外に有り得ない。

それがディズニーの決定だ。



そう。
彼女の努力が、真っ直ぐさが、思いやりが、やさしさが、世界のディズニーから素晴らしい形で評価されたことが、私はたまらなく嬉しいのだ。

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