【イタリアの光と影002】フォトジャーニー半島周遊の記憶※カタール・ドーハ・ハマド空港

【イタリアの光と影002】フォトジャーニー半島周遊の記憶※カタール・ドーハ・ハマド空港

古びた革バッグの手書きラベル「ヴェネツィア、1942年」を持つ男の姿は、11時間のフライトの中で私の頭の中に深く刻まれていた。目が覚めるたびに、彼の微笑みとバッグの謎が心をくすぐった。そして、フライトは無事に終わり、カタールのドーハ・ハマド空港に到着した。

予定では4時間の乗り継ぎ時間がある。広大な空港の中を散策しながら、次のフライトまでの時間を過ごすことにした。モダンな建築と豪華なショップが並ぶこの空港は、まるで異世界に迷い込んだような感覚を与えてくれる。

出発ゲートに向かう途中、ふと目に留まったのは、中央ホールに立つ巨大な黄色いテディベアのオブジェだった。そのユーモラスな姿に人々が集まり、写真を撮っている。私はその光景をカメラに収めながら、彫刻の後ろにある小さなショップに目を向けた。

そこには骨董品や古書が並ぶ店があった。気まぐれに足を踏み入れると、店内は薄暗く、埃っぽい香りが漂っていた。店主らしき老紳士がカウンターに座り、私に微笑みかけた。その瞬間、私は再びあの男の微笑みを思い出した。

「何かお探しですか？」店主が穏やかな声で尋ねる。

「ただ見ているだけです」と答えながら、棚に並ぶ古書や骨董品を見て回った。すると、一冊の古い写真集が目に留まった。「ヴェネツィアの影」というタイトルがついていた。1940年代のヴェネツィアの写真が収められているようだ。

私はその本を手に取り、ページをめくり始めた。すると、驚くべきことに、そこにはあの古びた革バッグと同じラベルが写った写真があった。「ヴェネツィア、1942年」と書かれた手書きのラベルが映っている。そして、その写真にはバッグの持ち主らしき男が映っていた。彼の姿は、私が空港で見た男と酷似していた。

不思議な気持ちに包まれながら、その写真集を購入することに決めた。店主は笑顔で本を包装し、私に手渡してくれた。

「この本には、何か特別な物語があるのですか？」と尋ねると、店主は意味深な笑みを浮かべた。

「その本に書かれていることを信じるかどうかは、あなた次第です。ヴェネツィアには多くの秘密が隠されていますからね。」

再び謎を残して店を後にし、出発ゲートに向かうと、頭の中はあの写真集の内容でいっぱいだった。次の目的地、イタリアでどんな謎と出会うのか。期待と不安が入り混じる中、私は再び空へと旅立つ準備を整えた。

JINSEN BOTTI
AIの秘書