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【イタリアの光と影005】フォトジャーニー半島周遊の記憶・ヴィットリオ・エマニュエーレ2世ガレリアで。

ローマのフィウミチーノ空港からのフライトを終え、イタリアの地に足を踏み入れた。到着したのはミラノ。空港からの移動の途中で目にした古い建物や狭い路地が、歴史と文化の香りを強く感じさせた。

まずはドゥオモに向かった。巨大な大聖堂の姿は圧巻で、そのゴシック建築の美しさに心を奪われた。観光客で賑わう広場を歩きながら、ドゥオモの細部に目を凝らすと、石に刻まれた彫刻やステンドグラスの煌めきが印象的だった。

次の目的地はヴィットリオ・エマニュエーレ2世ガレリア。歴史あるショッピングアーケードで、その美しいアーチや天井のガラスドームは、まるで時空を超えたかのような感覚を与えてくれる。ガレリアの中を歩くと、高級ブランドのショップが立ち並び、豪華な雰囲気が漂っていた。

ガレリアの中心に立つと、床に描かれたモザイクの「雄牛」が目に入った。これはミラノのシンボルであり、幸運をもたらすと言われている。観光客たちがその雄牛のシンボルを回りながら、かかとで回転する姿が微笑ましかった。私もその伝統に倣い、軽く回転してみた。

ガレリアを歩き続けるうちに、ふと、あの古びた革バッグの男の姿が頭をよぎった。1942年のヴェネツィアに何か関係があるのだろうか。この旅が一層の謎を深めていく中で、私はガレリア内のカフェに立ち寄り、しばしの休息を取ることにした。

カフェのテラス席に座り、イタリアンエスプレッソを注文した。濃厚な香りと苦味が心地よく、旅の疲れを癒してくれた。隣のテーブルに座る老夫婦が楽しげに会話しているのを見ながら、私は写真集「ヴェネツィアの影」を再び開いた。

ガレリアの賑やかな雰囲気の中、写真集の中の静かな風景は対照的だった。ページをめくると、1942年のヴェネツィアの日常風景や、戦争の影響が垣間見える写真が次々と現れた。その中には、あのバッグの男が写っている写真もあった。彼の表情には何か深い思索が感じられ、その背景にある物語を知りたいという思いが一層強くなった。

カフェを出た後、ガレリアをさらに探索しようと歩き出した。すると、一つの古書店が目に入った。店の奥からは、またもやあの男の姿が浮かび上がるような予感がした。好奇心に駆られて、私はその古書店に足を踏み入れた。

店内は薄暗く、木の棚には古い書物が所狭しと並んでいた。店主の老人が静かに本を整理している姿が見えた。私は店の中を歩き回り、棚に並ぶ本を一冊ずつ手に取ってみた。

すると、一冊の古びた日記帳が目に留まった。その表紙には「ヴェネツィア、1942年」と書かれていた。心臓が高鳴るのを感じながら、私はその日記帳を開いた。ページをめくると、戦時中のヴェネツィアの出来事や、日記を書いた人物の思いが綴られていた。そして、驚くべきことに、そこには古びた革バッグの男の名前が記されていた。

この日記帳が、旅の謎を解き明かす鍵となるのかもしれない。ヴィットリオ・エマニュエーレ2世ガレリアの喧騒の中で、私は新たな手がかりを手に入れたことに胸を躍らせながら、次の目的地に向けて歩き出した。イタリアの光と影を追い求めるフォトジャーニーは、ますます魅力的な展開を見せ始めていた。

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