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ゆっくりじっくり、言葉と向き合って感じたこと

おそらくわたしは相当せっかちなのだと思うんだけど、本を読むスピードも速い方だ。
でも、ちゃんと内容を理解して読んでいるかと言われるとけっこうあやしい。

学生の頃、『ハリー・ポッター』シリーズの5巻、『不死鳥の騎士団』を読んでいた時のこと。
どんどん熾烈になるハリーの冒険を追いながら、ページをめくったら誰か死んでるんじゃないかという気がして急いで先を読み進めてしまい、ふと気づくと「これ誰?」という登場人物が一人増えていた、なんていうことがあった。
(もちろん突然人物が増えたなんていうことはなく、その巻の序盤でちゃんとハリーに自己紹介していた)

曖昧なままだと気持ち悪い、結論を急ぎたい、そんな傾向があるのかもしれない。

最近はエッセイをよく読むようになったが、「このエピソードは最後どうなるんだろう」「どんな結論になるんだろう」と気になって、やっぱりついついものすごいスピードで読んでしまう。
結果、せっかくいい話に出会えても、後でほとんど内容が思い出せない。もったいない。

今月、大教室の「文章力を鍛えるドリル」に参加している。
漫画編集者の畑中雅美さんが提案している方法に倣って、ノート1ページに読んだ本の一節を書き写すというもの。

https://mond.how/ja/topics/abz883t8h5hk1w1/953ot139hyktnr4

一行進むのに、読むだけなら3秒くらいで終わってしまうが、書き写すとなると多分30秒くらいかかる。
10倍の時間をかけて書き起こしていると、一文字一文字、一言一言をしっかり噛み締めることができる。自分の中にことばが刻まれ、残っていくような気がする。

ドリルに取り組む中で、小川糸さんという素敵な作家さんを知った。
猛スピードで読み進めるにはあまりにもったいないので、ゆっくり、丁寧に読むことを心掛けている。
『ミ・ト・ン』は彼女の代表作のひとつだそうで、おとぎ話のような美しい光景やことばがいくつも出てくる。
何よりも登場する人々が、おおらかに、無欲に、でも懸命に暮らしを紡いでいるのが印象的だった。

日常はせわしないし、わたしはせっかちで貪欲だけど、物語とことばにじっくり向き合っていると、普段の自分から自由になって、心が満たされていくように感じる。

まだ出会っていない数多の物語やことばを、まだまだたくさん、じっくり味わっていきたい、と思う。