憧鳥症候群
鳥に憧れ空を飛びたがる。人間は昔から潜在的に鳥に憧れているのだと思う。
その中の最たる例が鳥に憧れすぎて空を飛ぼうとしたバカ兄弟だ。ライト兄弟は空に飛ぶ鳥を見て「ああ空飛びてえな」と思い、鳥をイメージした飛行機を作ったとされている。
マジモンのバカである。バカと天才は紙一重と言うが、こいつらは無鉄砲すぎる、紙半重だろ。
ただ、確かに小さい子は平気で「空飛びたい!」と言い、車、新幹線と地上の乗り物を一通りかじったあと、大抵「飛行機ってすごい!」になるのだ。
誰しも潜在的に鳥に憧れている。憧鳥症候群だ。
しかし私は憧鳥症候群ではなかった。鳥はそんなに好きではないし、飛行機すごい!も正直通っていない。
「気圧で頭が痛くなるわよ」と言われて母に育てられたせいで症候群を発症せずハタチ過ぎまで生きてきた。さらに友達と遊んだ時にたくさんの電線に鳥がとまっていて気持ち悪いねと話した覚えまである。奴らは電線から糞をするのだ。電線の下は真っ白、何をどう憧れようというのか。
私には嫌いな人がいて、鳩にいきなり突っ込んで驚かせて飛ばすようなやつだった。これは決して鳩が可哀想とかではなく(たしかに可哀想なのだが)、驚いた鳩に突っ込まれそうで怖いからだ。
そんな奴がまた鳩遊びをしていた時電柱の上の雀がそいつの頭にうんこスナイプをしたのである。見事なヘッドショットだ。
私は笑いをこらえ心配の言葉を口にした。そしてそいつが頭を流しに行っている間、私は「私も鳥みたいに嫌いな奴の頭にクソぶっかけてやりたいなあ」と思った。
2022年8月憧鳥症候群発症。