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香川県ゲーム規制を立場別に考える。規制が与える影響や効果について。

香川県議会が「ネット・ゲーム依存症対策条例案」を可決しました。
Twitter等でも相当騒がれていたので、ご存知の方が多いと思います。

知らない方のために軽く説明も用意しました。
飛ばしたい方は目次から。

ゲーム規制条例とは

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少し前に、WHOがゲームに依存して抜け出せない状態を、新たに「ゲーム障害」として認定しました。

香川県議会は、そういった依存症を未然に防ぐことを目的として今回の条例を発議したわけです。

これだけ聞くとそこまで悪い話ではないのですが、その内容があまりに過剰な制限だったためにネット上で大きな注目を集めました。

具体的には、
「ゲームは平日1日60分まで」
「午後10時以降はゲーム禁止

等、罰則がないとはいえ、かなり厳しい利用時間の制限が明記されています。
また、県や保護者、通信事業者、ゲーム制作会社などの責務とすることも書かれています。

その他、政治的な面からも問題視されている部分があるのですが、今回は省きます。

皆さんはこの条例に対し、どのような感想を持ちましたか?
恐らく、否定的な意見が多いのだろうと予想します。

ただ冒頭でも述べた通り、この条例案は既に可決され4月1日より施行される予定です。
ですので、今回はそういった議論の部分は一旦置いておき、施行された後どのような効果・変化があるのかを考えていきたいと思います。

規制条例による効果や変化

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本題です。
まず前提として、この条例は18歳未満のゲーム依存症対策が目的ですので、依存する人が減るかどうかが重要になってきます。

昨今はゲーム機だけでなくスマホ等でもゲームが出来る時代です。
また、e-sportsなども盛り上がりを見せ、ゲームが職業にもなる時代。
将来の夢にプロゲーマーを掲げる子供もいる中、1日1時間以上ゲームをプレイする子供が多数いるのは言うまでもなく明らかです。

そんな世界の流れに逆行するように、依存症にはほど遠い一般的な利用をしている子供にも影響を与えるほどの厳しい時間制限を設けたこの条例。
これよってどのような効果・変化が起こるのでしょうか。

1.子供はどうする

ある日突然、今日からゲームは1日1時間なんて言われて、守る子供がどれだけいるでしょうか。

試しにTwitter上で、もし自分が香川県民だったらという仮定でのアンケートをとってみました。

結果は案の定、従わないという意見が大多数でした。

この条例が施行されたところで、素直に遵守する子供はまずいないでしょう。
近年は親世代もゲームをやる世代になってきているので、親がこの条例に反対している家庭もあるとおもいます。

2.親や教師などの教育者はどうする

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子供がゲームをやりすぎないよう、各家庭で利用時間のルールを決めて遊ばせるといったことは、よくある話だと思います。
子供が自身で自分の行動を制限するのは難しいので、ある程度保護者が管理することは大事なことだと思います。

しかし、それが「条例」となると全く話が変わってきます。

まず、家庭のルールは言わば保護者と子供の約束です。
それぞれの親の考えに基づき、育て方の一つとして決めるものでしょう。
また、親の裁量で時間を増やしたり減らしたりと、躾のための罰やご褒美の面で活用する場面もよく見かけます。

一方、条例となるとどうでしょう。
条例は個人間のお約束ではなく、法規です。
地域の秩序を守るために、皆が遵守するべき共通のルールです。
家庭のルールと違い、個人の裁量では変えられません。

仮に1時間以上ゲームをすることを保護者が許可したとして、教育者の立場から法規を破らせることを許可することが果たして教育上良いのでしょうか
もし、子供から「県が定めた条例なのになぜこの条例は破ることを許されるのか」と問われたとき、正しい答えをだせるでしょうか。

さらに言えば、条例となると家庭のルールと違い、学校での指導も行われることでしょう。
教師は教育委員会等から指導するよう指示があればそうするしかありません。

県や学校によって家庭内での趣味の範囲にまで指導が入り、各家庭ごとの教育方針や学校側との教育方針がズレることになれば、間に挟まれた子供たちはただただ混乱するだけではないでしょうか。

3.ゲームが心の支えになっている人はどうする

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依存症に陥るのはゲームの刺激が中毒になっている場合だけではないと思います。

辛い出来事から自分を守るために、ゲームを心の拠り所にして依存してしまう場合もあるのではないでしょうか。

もしそういった子供から、心の支えになっているゲームを闇雲に取り上げたとしたら、その子はどうするでしょう。

ただ依存する対象が変わるだけかもしれませんし、最悪の展開になる可能性だってあると思います。

4.ゲームメーカーはどうする

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この条例は、通信業者や、ゲーム制作会社に対しても責務とされているため、企業は何らかの対策をすることが望ましいと思われます。

香川県民を判別して自動で切断するなんてことは、とても現実的ではないでしょう。
なので恐らく、利用規約に香川県民の利用方法が明記されるなんてことが起こるのではないかと予想しています。

最後に

依存症の対策は「対象のものを規制すれば減る」なんて単純なものではないと思います。
依存する原因となるところから根本的に解決しなければ意味がありません

また、依存症と趣味の境界線が一般的な認識と議会の間で大きな差があるように感じます。
ゲームは正しく遊べばとても良い娯楽です
行き過ぎた規制は生活を不自由にするだけではないでしょうか。

私は、この流れが他県等に広がらないことをただただ願うばかりです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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