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皐月賞(GⅠ)・展望前半〈考え方〉

力関係がある程度明白だった牝馬クラシック戦線とは逆に、牡馬クラシック戦線はかなりの混戦模様。

直行ローテをものともしなかったグランアレグリアに次いで、サートゥルナーリアが実力の違いで直行ローテでの皐月賞優勝を目指すか。それともクソ舐めたローテに逆襲を仕掛ける馬が現れるか(と言っても、他に5頭もノーザン出身いるけど)。

各馬の評価はもちろんですが、陣営の思惑とか、展開とか、色んな面から皐月賞の展望をしたいと思います。

例年の傾向

ぶっちゃけ、昨年のコメント使いまわします。

GⅠだけあって例年1,000m通過が58秒~59秒台のスピード戦。
後続が追走で脚を使ってしまって前が残るか、前がバテて待機組が一気に台頭するかは、その年によって異なる印象。
前半1,000m58秒0でも中団から前にいないと厳しい年もあり、ハイペース⇒即後方有利とも言えない。

展開や馬の実力以外にも、色んな要素が混ざり合い、ダービーよりも予想が難しい印象です。

昨年は前を行く馬が多数いる一方で、人気の馬は皆後ろからという配置。「今年(2018年)は逃げ先行馬が例年よりも強い傾向にある」「後ろの馬達は牽制し合って仕掛けが遅れる」という自分の読みが面白いほどハマり、ジェネラーレウーノを軸にして三連複的中。

で、2019年はどうなの?

【1】スロー/低レベルレース多発が招く勘違い人気

今年の牡馬クラシックが混戦・難解と言われているのは何故か、ということから紐解いていきましょう。

今年思うのは、評価がおかしい馬がやたらと多いなということです。

自分は予想の仕方を常時マイナーチェンジしていっていますが、今年は例年以上にラップを気にしているんですね。それは何故かと言うと、異常なクソスローが多いせいです。

中距離で1,000m1分2秒~3秒なんていうのはまだ許せる方で、酷い時にはマイルでも1分2~3秒とか、中距離で1分8秒なんてのもありましたよね。調教ですか?状態。

でも、そういうのを気にしない人が多いのか、着順だけ見てる人が多いのか、そんなスローでただ展開に恵まれただけの馬が何故か上位評価される。
そして、ぶっ飛ぶ。この構造が繰り返されているように思います。

或いは、後ろから強い競馬をする馬でも、スロー展開に泣いて差し損ねて馬券外に吹っ飛ぶなんてのもありましたね。

そういうことを認識している人ってどれだけいるんでしょうか?
回顧とか言いながら的中した気分に浸って、本当にそういう展開に対してシビアに見て、今回は偶々逃げ切れただけで次は危険だとか思えたんでしょうか。

例えばラストドラフト。
新馬戦は1,000m通過1分3秒でお世辞にも良いレースレベルとは言えません。
というかクソです。2,400mでもスローペース判定されます。

で、京成杯ではシークレットランに隠れて4番人気でしたが、
これまた1,000m1分1秒というスローで前有利になり、上位3頭は3角で5番手より前にいた馬ばかり。

弥生賞はニシノデイジーがいたので、2番人気ではありましたが、

「この馬強いの?この馬自体スローしか経験がないし、新馬で負かした2着馬は次走どスローで前残っただけで若竹賞のレベルは低い。4着のエデリーは500万でボロ負け。ノヴェリストにようやく重賞勝ち馬が!と話題にはなったけど、色んなものが噛み合っちゃった印象。タイトな流れに強いとは思えない。」(リンク先

と評価。言った通りに潰れた感じでした。
1,000m通過1分1秒とは言え、泥んこ重馬場で通常よりもスタミナを消費する環境。

馬場が苦手とかいう言い訳は、サトノラディウスくらいおかしな脚になった時に言ってください。

他にもそういった前走スローで勝って、次走人気を背負って馬券外に吹っ飛んだ馬が以下。

別にスローしか経験なくとも強い馬は強いのですが、えてして楽な競馬で勝っただけなので、昇級したりちょっとペースが流れると途端にダメになる馬が多いことも事実です。

去年はコスモイグナーツという爆走逃げ馬がクラシックにつながる様々なレースにバンバン出てきて、その度に締まったレースを演出してくれました。そのお陰で皐月賞やダービーに出てきたのはそうしたレースで上位入線してきた精鋭達。何頭かこいつ何?という馬もいないわけではありませんでしたが、それでも、良いメンツが揃ったなという印象でした。


また、例年2歳~3歳の上級戦は少頭数になりやすいのですが、今年は強いのがいて回避とかそういった事情もないのに頭数が揃わない、というレースが妙に多い印象です。しかも出てくるメンツは、皆そうしたスローの恩恵にあやかって新馬・未勝利脱出した馬が多いので、メンツも「うわ…酷い」っていうのが頻発。

しかも、頭数を揃えるためなのかよく分かりませんが、未勝利脱出もままならない馬が500万に出走なんていうことも頻繁に起こっています。レースぶち壊しですよ、そんなんしょっちゅうやってたら。

だからそういう低レベルメンツが集まったレースに自分が強いと思っている馬が出てきたら余裕で稼げるわけです。ダディーズマインドやヴィッテルスバッハはもちろん、フリージア賞のアトミックフォースなんてブービー人気でしたよ。さすがに笑ってしまいました。

このように、今年はペースや展開、相手関係に恵まれた馬が例年以上に多く勝ち上がってしまい、そうしたところまで深く読み解かずに馬券を買う人が見た目の着順や良血馬というだけで勘違い人気を作り出し、人気馬が飛ぶという構造になっているわけです。

【2】マイルからの転戦馬

【1】でスロー/低レベルレースが頻発したという話をしましたが、そうすると、恵まれる馬が出てきます。それは………距離延長馬です。

大阪杯のところで基礎スピードの話をしましたが、走る距離が短いところで走ってきた馬ほど、基礎スピードは高い傾向にあります。

そうした馬は、距離延長をすると、他の馬よりも相対的に速いラップで走るので自然と中団や前につけられることが多いですし、レース全体のペースが遅くなれば、(折り合いさえつけば)いつもより少しゆっくり走れるので他の馬に比べれば楽に前を追走することが出来るわけです。

とどのつまり、距離さえ持てば、短い距離を走っていた馬ほど強い傾向にあるわけです。

今年の中距離馬の多くがちょっとペースが速くなったら簡単に垂れてしまうとなれば、マイルからの転戦馬にとってはチャンスでしかありません。

以前チラッと話しましたが、今年はマイルからの転向が多い印象です。実際、今年の皐月賞出走馬の内、マイル路線からの転向がどれだけいるか見ると、

こんな具合。2017年の5頭よりさらに1頭多い6頭、全体の1/3を占めている状況。※1回未勝利で使っただけといったものは除いています

2017年も確かどいつが強いんだか分からないなんて話になってファンディーナが1番人気になりましたが(ラップ見れば簡単に切れるんですけど)、終わってみると上位3頭はマイル路線からの転向馬。確か、その時も中距離馬が弱いねぇなんて話があったような…。

キーワードは「マイル馬」

昨年のキーワードは「強い先行馬」でしたが、今年は「マイル馬」です。マイル馬が1/3も占めていれば、ペースが速くなる可能性が高いです。

であれば、マイル馬か或いはマイルのペースについていけるだけの追走力を持つ中距離馬の取捨が的中の鍵と言えるのではないでしょうか。特に今年は引っ張りそうなのが皆マイラーですからね。。

展開予想

ランスオブプラーナが逃げ馬候補となりますが、今回はきさらぎ賞やアルメリア賞、毎日杯のようにスローになるかがポイント

予想隊列は以下の通り。

ランスオブプラーナのここ3戦は、同じマイルの馬が1頭いるか否かというレースだったが、今回は自分以外に5頭もいる。特にすぐ後ろには上位人気が予想されるアドマイヤマーズや、クリノガウディーがいることが考えられるわけで、スローに落とすとアドマイヤマーズにキレ負けしかねない。(アドマイヤマーズはもう少し後ろになるかもしれませんが)

ということを考えると、スローには落とせないだろう。松山もランスオブプラーナのスロー逃げがアドマイヤマーズに通用するとは思わないはずだ。むしろスローだと思われたら、潰しにかかられかねない。基本的に駆け引きが必要な逃げは下手くそなので、下手したら京都新聞杯の時のメイショウテッコンみたいな逃げをうったりしてな。

皆が最も警戒するであろうサートゥルナーリアは中団と予想。これまで揉まれる競馬をしていないし、恐らく最も大きな目標はダービーのハズで、ここで無理をしてまで皐月賞は狙わないハズ。控えて脚を測る作戦が濃厚。

騎手心理的に、どの騎手もルメールに対してグランアレグリアのような競馬をさせまいと、先に仕掛ける可能性が大きい気はする。ここは枠が決まってから考えたいが、サートゥルナーリアが内枠に入れば皆締めつけを厳しくするだろう。

また、2番人気はダノンキングリーが濃厚で、先行勢のやや後ろ辺りを狙ってきそう。特に戸崎は捌けないくせに馬群に入れて折り合いをつけるので、あまり前にはいきたがらないだろうし、アドマイヤマーズの動きは警戒しつつも一度勝っているだけに、サートゥルナーリアの方に意識は向いているだろうから、仕掛けは自然と遅くなる気がする(何故なら下手だから)。

以上が皐月賞の考え方です。

長くなったので、各馬の評価は後半に。

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