クイーンSの考え方②適性篇

考え方①ではペースについて、書きました。
要約すると、グランスラムアスクが過去2戦の戦績から、厳しいペースで逃げるかな?というお話。

そして、ペースが厳しい場合は1,800mではマイラーを狙え、という話をしました。

今回はその理屈とマイラーの中でもどういったタイプが良いかという適性の話をしていきたいと思います。


まずは過去の傾向から見ていきましょう。

過去の傾向

クイーンC過去のラップ

洋芝の札幌のイメージとは裏腹に馬場差はマイナス方向で馬場は軽い傾向。
平坦ということもあって、前半からペースが流れやすいです。

前半から流れたペースの上位馬を見てみると…

2020年
1着:レッドアネモス ※マイル経験はあるが、スローペースでの勝ち鞍
2着:ビーチサンバ➡マイル重賞馬券内アリ
3着:スカーレットカラー➡マイル重賞馬券内アリ

2018年
1着:ディアドラ ※1,400重賞馬券内アリ
2着:フロンテアクイーン➡マイル重賞馬券内アリ
3着:ソウルスターリング➡マイル重賞馬券内アリ

2017年
1着:アエロリット➡マイル重賞馬券内アリ
2着:トーセンビクトリー
3着:クイーンズミラーグロ➡マイル経験アリ

と、実際にマイラーが多く来ております。

ちなみに、それ以外の馬については…

レッドアネモスは、注釈の通りマイル経験はありますが、スローペースしか経験がなく明らかにマイル適性はゼロ。距離延長して躍進してきたタイプです。持続力タイプの馬だったので、最内枠が功を奏しての勝ちと考えるのが妥当。

ディアドラに関しては、2歳時に1,400重賞で馬券内もありますが、距離延長して躍進してきたタイプなので、マイラーと言うにはちょっと違いますが、そもそも格が違いすぎます。

2017年はトーセンビクトリーが非該当馬。ただ、ローズS3着経験あり、その1・2着馬がタッチングスピーチ、ミッキークイーンの時点である程度力は担保されています。

あとは、かなり内枠が来やすい傾向にあります。

2014~2022年の8回分(2021は函館なので除外)だけでも、2018年以外はすべて1番か2番は馬券内。
ペースが速い分、内を立ち回って消耗を出来る限り抑えるのがこのレースにおいて重要のようです。


何故マイラーを狙うか

では、何故ペースが速くなる1,800mでマイラーを狙うべきなのか。
これ考えれば簡単な理屈なんですよね。

そもそも、1,800mというコースは、2,000m以上を主戦とする中距離馬と1,600mを主戦とする短距離馬の中間に位置するため、どちらの路線からも参入しやすい条件です。

上の図の通り、中距離以上を主戦とする馬は、基本的に道中1F平均12秒台で走るのが普通です。で、足を溜めて最後のスパートに賭ける。
一方、1,600mでは道中1F平均は11秒台後半で走るのが普通で、中距離以上の馬よりもスピードが求められます。

では、
いつもより道中速く走り続けないといけない状況
②いつものスピードであと200m距離を延ばして走る状況

一体どちらがキツイと思いますか?

陸上や競泳など、スピード競技をやっていない素人意見ではありますが、②の方がまだ楽じゃないか?と思うのです。一方、①は多分途中どこかでバテると思うんですよね。

つまり、中距離馬にとっては、いつもより速く走り続けないといけない状況に陥るため、ペースが速い1,800はキツい。

一方、マイラーにとっては、いつものスピードで走る分には問題ないので、あと200m延ばして走る状況さえクリアすれば良い。

以上のことから、マイラーの方に分がある、というわけです。それにマイラーはテンもスピード能力も相対的に高いので、位置取りでも優位に立てやすいんですよね。

仮に、中距離馬が無理に追いかけずに後方から追い込もうとしても、そもそも洋芝にしては馬場が軽いということもあり、前手にいるマイラーにスピード負けをして4~5着差し損ねになることが非常に多い。
昨年のルビーカサブランカ、2020年シャドウディーヴァ、2019年ウラヌスチャーム、2017年アドマイヤリード、マキシマムドパリ・・・と枚挙に暇がありません。

と、簡単にではありますが、以上が、ペースが速くなるならマイラーを狙え!の理屈です。

どんなマイラーが良いか

では、マイラーなら誰でも良いか、というとそうでもありません。

例えばGⅠ馬だったインディチャンプですら、1,800mだと最後の100mくらいでピタっと止まってしまっていたように、馬によっては1,800mへの延長がマイナスになることもあります。

ではどういうタイプが良いかと言うと、速い脚を持続させる持続力タイプの馬。簡単に言うと、ヴィクトリアマイルや安田記念で差し追い込んでも全く捕まえられずに2桁負けするような馬です。中山の厳しいペースのマイルで上位に来るような馬、も当てはまります。

カテドラルやカラテは特にその典型ですよね。2頭共1,800での重賞好走実績があるのは言わずもがな。

過去のクイーンS好走馬ではスカーレットカラーが代表的ですね。2年連続好走していることからもよく分かると思います。(片方の年はペースがそこまで速くはなかったですが)
昨年の勝ち馬テルツェットも該当。

また、逃げ先行タイプなら、アエロリットのようにスピードの持続力の塊みたいな馬ですね。この馬もヴィクトリアマイルでは上がりが求められるため、最後はキレ負けして4、5着でしたよね。

来ないとは限りませんが、逆にマイルの高速馬場での上がり勝負に適性のある馬なんかはマイナス評価になります。昨年のウォーターナビレラはまさにこれですよね(そもそもスタミナ面で不安もありましたが)。


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