クリスマスの夜に
昔からこの時期はなぜかわくわくした。
プレゼントも、ケーキも、きらきらと光るクリスマスツリーも、家族みんなで囲むいつもより豪華な夕ご飯も。
いつもと違うどこか浮足立つ街並みを歩きながら日に日に高まるわくわくは、まるで新しいおもちゃを少しづつ開けるかのごとく、クリスマスが近づくにつれて抑えられなくなっていく。
でも、いつからだろうか、そんなクリスマスやお正月、お盆といった季節を感じつ行事たちが、気に留めることなく過ぎていくようになっていた。
ハロウィンが終わるとイルミネーションの準備をする街を横目に、前のようなわくわくはなく、その横をただ通り過ぎていく。
「いつかゆっくり見に行こう」と思っていたイルミネーションは、気づいたら終わっていたし、自分へのクリスマスプレゼントなんて買う暇もなく日々が過ぎていく。
「仕事に追われて」
言霊とはよく言ったもので、そう言えば言うほど本当に仕事に追われていくし、自分の時間はなくなっていく。
気づいたら大好きな季節たちを感じる間もなく「生き流して」いた。
「仕事に追われて」
この言葉は封印しよう。
もっともっと、日々をしっかりと、季節とともにゆるやかに生きていこう。
クリスマスのイルミネーションが、昨日よりも少し明るく輝いているように感じた。