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エンタープライズアーキテクト(EA)にスポットライトを!

先週の日経に「デジタル人材の「花形」に異変」という、とても気になるタイトルの記事が掲載されていました。

昨今のデジタル人材の花形と言えば、給与の高さから言っても「データサイエンティスト」でしょう。AIのプロフェッショナルなんかもそうかもしれません。それが、この2年くらいで「データサイエンティスト」の順位が落ちてきており、2022年には、ついに「エンタープライズアーキテクト(EA)」が1位になったそうです。10年以上前にEAについて勉強してきた僕としては、なんとなくうれしくなってしまいます。

日経新聞(2022年12月22日)抜粋

ただうれしいというだけではなく、実際に今でもエンタープライズアーキテクトは重要だと思っています。もちろん、それぞれの分野のプロフェッショナルが必要なので何が1番重要というものではないのですが、それでも今でもエンタープライズアーキテクトが一番重要なIT人材であると思っています。ということで、今日は何で重要なのかを簡単にメモを残しておきたいと思います。

EAとは?

EAと言えば、昔はザックマンフレームワークから入りました。いまでもそうかもしれませんが。正直ザックマンフレームワークがどうのこうのというのはどうでもよいことで、EAの重要なところは、全体像を「ビジネス」「データ」「アプリケーション」「テクノロジー」の4つに区切っているところです。「テクノロジー」のところは昔は「インフラストラクチャー」としていたと思いますが、昨今はPaaSなどのマネージドサービスを利用することが当たり前になってきているので、「テクノロジー」と表現した方が適切でしょう。

EAがITよりもビジネス寄りの概念であればであれば、「ビジネス」の部分はビジネスモデルを書いたり、バランススコアカードの戦略マップっぽく書いたり、例えば「戦略」と「オペレーション」というようにもう少し分類するのもよさそうに思います。しかし、EAはあくまでITのアーキテクチャを中心に考えられているものなので、「ビジネス」として1つにくくられている形でよさそうです。ちなみに、階層化した際に「ビジネス」の下に「データ」が来て、その下に「アプリケーション」がくるのも、当時のデータ中心アプローチの影響であったと思われます。

ビジネスとITのアーキテクチャの接点が大事

EAは企業(エンタープライズ)の活動(ビジネス)の部分がITのアーキテクチャにどのように影響を与えるのか、もしくはビジネスの変化や新たなビジネス創出にITのアーキテクチャがどのように適合していくのかというところが重要なポイントの1つです。ビジネスのITの接点の部分ですね。外部環境の変化が激しいためビジネスの形や規模も変わっていきますが、レガシーのITはビジネスの変化や成長の「足枷」になってしまいます。ITのアーキテクチャはビジネスの変化や成長に合わせて伸縮自在であり、形も変えられるようにしてあることが理想です。そのためのアーキテクチャが、例えばマイクロサービスアーキテクチャのような形になります。マイクロサービスについてはインフラ部分の技術論をよく見かけますが、技術論よりもエンタープライズアーキテクチャと一緒に考えることに価値があると思います。

個別最適と全体最適を同時に実現を目指す

クラウドやAI、ノーコードでのアプリケーション開発、データ連携、データ分析ツールなど、様々なテクノロジーが10年前と比べて手軽に利用できるようになってきたことが、ビジネスにとっては非常に影響が大きい部分です。ただし、様々なテクノロジーが手軽に使えるようになったために、各業務の個別最適化は進みやすくなりましたが、ビジネスの全体最適化については、今も変わらず容易ではないかと思います。昔はERPパッケージで個別最適を犠牲にしながら全体最適をトップダウンで進めるという方法もありましたが、昨今のアジャイル、POCというプロセスには向きません。個別最適と同時に全体最適を実現しなければならないため、さらに難易度は上がっていると言ってもよいでしょう。個別最適と全体最適が相反することもありますが、その場合は全体先的を優先させるべきですが、個別最適を出来るだけ犠牲にしないアーキテクチャを考えるべきではないかと思います。

エンタープライズアーキテクトは、AIやデータ解析などの様々な個別の最適解が出てきている中で全体最適を実現させていくために最も必要とされる人材ではないかと思います。ただし、全体像をどのように捉えるかは、10年前より明らかに難しいですね。僕としては、どちらかというとテクノロジー寄りだった10年前のEAよりも、「ビジネス」の階層の部分をより深く、様々な観点で構造化できる力が必要になってきているかと思います。
エンタープライズアーキテクトはもはや昔の言葉かと思っていたところにこのような記事を発見して、すこしうれしくなり駄文を書いてしまいました。

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