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DDTの勢いと火野裕士と樋口和貞の心意気から生まれた止まらないチョップ合戦(これだからプロレスはおもしろい vol.1)

バチィッ!ドスッ!ピチン!バチン!ドスン!バチン!

当たりどころが1発ずつ違うからこそ一つ一つ異なる音が会場に響き渡る。声出しNGの大会ながらも驚きのどよめきが漏れ、DDTコールが起こってもおかしくないぐらいの熱気があった。

どんな場所でもどんな人数でも火野裕士を見せ続ける誇りを感じ、樋口和貞も引っ張られた何一つ文句のない30分時間切れドローがD王GP2022の横浜での連戦のフィナーレを飾った。

D王GP横浜3連戦のトリの試合


2日前の文化の日に引き続き、この日も横浜ラジアントホールでの大会が続いており、昼は無料興行で夜が通常興行。2試合出ている選手もいる中ですべてのトリとなったのは現在のKO-D無差別級王者の樋口和貞とDDTっぽい戦いも見せつつもここぞという時に濃密な戦いを見せる火野裕士のD王公式戦だった。

試合前の前説でビッグマッチのメインイベントになるカードと煽っていたのだけど、正直、いきなりの丸め込みで火野裕士に黒星がつくのかなぁぐらいに予想していたのが違った方向に裏切られた。止まらない意地の張り合いのチョップ合戦が試合の大半となる30分ドローで何発打ち合ったのかもわからない試合だった。

この会場でこの試合を見せてくれるからこそ会場に行きたくなる


終わらないチョップ合戦といえばプロレス大賞のベストバウトにも選ばれた小橋健太と佐々木健介の東京ドームでの試合が有名なのだけど年に一度のドーム興行で何年かに一度の噛み合った試合だということもあり、現地にはいなかったのでテレビの前で興奮していたのだけど、現地で見たチョップ合戦ではこの試合が1番だった。

リング上でも、思っている何倍も続いたチョップ合戦が樋口のドロップキックで中断された際にはここで途切れるのだろうと思ったのだけど、そうはならなかった。場外に降りて東西南北すべての方角でチョップ合戦を見せつける。

リング上だけでなく四方のお客さんの目の前で。当日の観客数は280人という規模で正面でも5列、他は3列の小さな会場でここまでするのかと感じさせる戦い。これが年間最大のビッグマッチのメインイベントの前半30分でもおかしくないぐらいの試合内容だった。序盤は体格を見せつけながらのロックアップから力比べあとはとにかく終わらないチョップ合戦で30分という試合時間を忘れて2人はチョップを放ち、受け続けた。

その後の物販対応のためか、裏で見ていたら生で見るべきと思ったのか高木三四郎社長、彰人副社長とDDTを創成期から支えているレスラーであるHARASHIMAが観客席の外側にいて試合を見守っていた。そのくらいの価値のあるやりとりだった。

DDTはプロレス団体としての面白みが深い

今年はタイミングが合ったのとさいたまスーパーアリーナからいつも以上にDDTを追いかけていることもあってD王をここまでじっくり生で見ているのは初めてなのだけれど毎試合テーマが深い。後楽園ホールの開幕戦と横浜の2興行を生観戦していて驚かされるのはDDTのシングルの幅広さ。リング内で戦わないMAOとクリスブルックスに、ひたすらグラウンドの攻防をやって一瞬の関節技で決まったMAOとKANON、火野裕士と納谷幸男のデカい2人のぶつかり合い、そして、メインは重厚なプロレスを見せていておちゃらけだけじゃない戦いが連日あった。濃密さは他の団体と勝負できる。

来年はこのシリーズを遠征で観に行ってみるのも楽しいかなと感じるD王GPは中盤戦に入っていく。納谷幸男選手の覚醒優勝を予想していたのだけど、火野裕士の優勝から年末は樋口和貞との決着戦というのもありそうでどうなるのか追いかけたくなるぐらいにもりあがってきている。

選手がバラエティやドラマに出演し、サンミュージックと提携したことでDDTはさらに大きく羽ばたいていく可能性を感じてきている。こんなに女性ファンがいたのかというぐらい売店や会場に活気が出てきている。これから期待してもいいでしょうというぐらいの雰囲気になってきた。そんなD王GPの公式戦最終戦は11月18日、優勝決定戦は12月4日にどちらも後楽園ホールで開催される。プロレスファンなら損はしないし、プロレスにちょっと興味がある人も入りやすい団体ではあるのでぜひ、足を運んで欲しい。

D王 GRAND PRIX 2022 in Yokohama【DAY2】 | DDTプロレスリング公式サイト
https://www.ddtpro.com/results/19181


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