「議論を可視化する技術」の社内トレーニングを開催している話
こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。
今回は人材育成に関する話です。
今年の3月からケンブリッジ社内向けに議論を可視化する技術=「スクライブ」に関する社内トレーニングを定期開催しています。私はその講師陣のひとりです。
かなり熱い気持ちをもって取り組んでいるため、その途中経過として書き残しておきます。
開催に至るまでの課題意識
ケンブリッジでは、議論を可視化する技術のことを「スクライブ」と呼んでいます。
対面での議論を中心としていた頃は、コンサルタントの多くは大きな紙やホワイトボードに議論内容を書きまくっていました。
参加者の発言を可視化し、アイディアや論点、結論、ToDoをかみ合わせていく手法、それがスクライブ。
あとで見返すためのグラフィック・レコーディングとは異なり、リアルタイムに書きなぐり、合意形成をグイグイ進めていく点がスクライブの特徴です。ケンブリッジのワークスタイルのひとつと言えるでしょう。
しかし、リモートワークが主流となり、「スクライブは失われた技術になりつつあるのではないか」という懸念が生まれています。
もちろん、オンラインホワイトボードやZoomのペン入れ機能など、手書きや付せんの代用となる機能・環境は多く用意されています。
しかし、これらは「対面の頃に習得したスクライブをオンラインで再現するための機能」にすぎません。
スクライブをそもそも習得していない人は、これらのデジタル機能を使いこなすことはできないのです。
この状態を放置してしまうと、スクライブの技術はどんどん失われていくのではないか。そんな懸念からこの社内トレーニングは立ち上がりました。
言い出しっぺは私ではなく、他のケンブリッジメンバーなのですが、私も一緒になって企画を考えていくうちに、どんどんのめり込んでいきました。
オンライン・スクライブ道場の概要
全社員会議で開催を事前告知し、立候補制によりやる気のある社員を集めました。その結果、受講者24人(対面14人・オンライン8人)が集まりました。
2023年3月から9月まで月2回、全12回のトレーニングを開催します。
ここまでの手ごたえ
この記事を執筆している時点で、全12回のうち4回まで終了しました。脱落者は1名で、当初想定より継続率が高い状態です。
そして、まだ8回を残しているのですが、すでに大きな手ごたえを感じ始めています!
1)成長を目で見て実感する
オンライン・スクライブ道場では、いきなりデジタル技術に飛びつくのではなく、アナログ技術の習得から始めています。
具体的には、ケンブリッジの公式YouTube動画を聞き取り、ペンと紙で書き、写真を撮って提出するという宿題を毎日繰り返しています。
これ、本当に成長を感じます。
↑の画像は、同じ社員が書いたスクライブの前後比較です。
Beforeは「ただのメモ書き」だったものが、Afterになると図示・強調・構造化がなされて見やすくなっているのが分かるでしょうか。
このように、参加者の成長が目に見えるように分かるので、講師側も手ごたえを感じます。
2)今、この場に集中する
ひとつのことに集中するのが難しい時代です。
Slackやメールでどんどんメッセージが届き、各アプリは通知を送ることで利用時間を増やそうとします。
私自身、社内の会議やトレーニングに参加しながらも、他のことについ気をとられてしまいます。
もはや集中力は希少資源となってしまいました。
だからオンライン・スクライブ道場では、「今、この場に集中する」をグラウンド・ルールのひとつに掲げ、内職禁止を徹底しています。
参加者の視線は手元ではなく、ずっとスクリーンに向いていて、質問や発言も普段より多く飛び交います。
喋る講師側にも当然、張り合いが生まれます。
3)熱量の高い人たちを集め、コミットさせる
最も大事なのが、参加者の熱量とコミットメントです。
オンライン・スクライブ道場では、途中加入や一回だけの参加、片耳参加を一切認めていません。
この場を熱量の高い人たち「だけ」が集まる場にしたいからです。
まとめと、これからの展望
これからは、ペンタブレットを活用したオンラインスクライブの技術、さらには議論を整理して結論に導く技術の伝授に突入していきます。
また、講師陣の間では「全12回を終えても、これで終わりではないよね」という会話をしています。
今回の参加者がスクライブの伝道師となり、継続的・等比級数的にスクライブの技術が社内で向上していくことを夢見ています。
もう少し話を広げると、オンラインでいろいろなことに簡単に手を出しやすくなった今だからこそ、「①覚悟を持って参加し、②熱量の高い人たちが集まって共に切磋琢磨し、③達成感を得る」という場の設定に意義があるのかもしれない、と感じています。
最後まで頑張ります。
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