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♡ただ喋りたいだけ♡ #방탄소년단 2022 Oct. ソウル・釜山旅⑨

ソウルから帰国した翌日の月曜日は祝日だった。
ほっとした気持ちで朝寝坊したけれど、水曜日からの旅の準備と、夜更けに投稿した「スタンディング」tweetの数多くの反応にお返事したりとアッと言う間に一日が経ち。

火曜日は、大事な仕事のために出勤。
そそっかしい私を心配して、ちょこちょこ出入国せずに韓国にいたままの方が、という家族の提案もあったけど、火曜日に気になる仕事が入っていたので帰国した。自分の気持もスッキリするし。
TMAのスタンディングから3日目。
スタンディング待機列に並び始めた16時過ぎから起算して約7時間立ちっぱなし、開演18時からは押し合い圧し合いまるで山手線か丸ノ内線の朝の通勤ラッシュの車内のようで。直後は高まっていた気持ちが身体の疲れに勝っていたけれど、3日目ともなると全身筋肉痛しか残っていなかった。

なんとか火曜日の仕事を済ませると、水木金は「遅い夏休み」。
幸い、決まった時期ではなく7月から10月までの間に「夏休み」を分散して取得するスタイルの職場。一年前の10月にパスポートを申請した時からジミンセンイルの釜山旅は「遅い夏休み」で対応しようと決めていた。

TMAの往復は小さなスーツケースだけだったけれど、今度の度は水曜日から日曜日までの4泊5日。火曜日の深夜に大きめのスーツケースに大急ぎで荷物を詰め替えた。

明日朝、始発に間に合うよう起きられるか一縷の心配だけがよぎった。
出勤前の早朝に駅までの送りを引き受けてくれた夫のほうが、緊張して早起きして起こしてくれた。ありがたい。
田舎の駅の始発は5時。寝ぼけまなこで、ぎりぎりセーフ。
成田空港の国際線フライト、個人でフライトするならたいていのLCCが60分前がチェックイン締め切り。スーツケースなど荷物を預けたい場合はそれより早く着いている方が無難なので、念のため90分前には着きたい。
始発で出発して成田空港に着いたのが7:10過ぎ。フライトは8:55。

今回の仁川行きのフライトはJAL系のZIPエア。JAL系っていうこともあるのか、ターミナルはメインの第1ターミナルビルだった。
前回のTMAのときは第3ターミナルだったので、成田空港駅を降りてからかなり歩いたけど、第1は駅から一番近いので助かった。さすがJAL系。

次の日、木曜日に逢うことになっている釜山在住のアミ友さんから「日本の焼きそばパンが食べてみたい」という可愛いリクエストをもらっていたので、空港地下のファミマで焼きそばパンを2つゲット。
ZIPエアのカウンターで手続きを済ませると、同じ飛行機で一緒にソウル・釜山に向かうRちゃんも到着。Rちゃんとは7月から、まだ釜山コンの情報もないうちから、ジミンのセンイルに釜山に行きたい、行くならこんな日程でどうだろうってエアや釜山のホテルをWEB予約してみたりしていた。
本当に何も知らないうちに押さえておいたエアとホテルが、どんぴしゃになるとは、ちょっと身震いした。

出国ゲートへ移動しようとすると、人だかりがあった。
一眼レフやスマホを掲げている女子たち、その向こうにはスタイル抜群で明らかに一般人ではないオーラのあるキラキラした男の子たち。彼らがこれから出国ゲートに入るようで、そのお見送りみたい。
そばにいた、ファンらしき若い女性に声を掛けた。
「アイドルの方のお見送りですか?」

彼女は「アイドルっていえばアイドルなんですけど、まだまだ卵です。こうやってお見送りもできるし、手も降ってくれます。」と嬉しそう。

「すてきね、頑張って応援してくださいね。」と言うと、
「ありがとうございます!」と可愛く返事をしてくれた。
お見送りで忙しいのに教えてくれてありがとう。
スマホを彼らに向けて、お見送りの手を振っている。
彼らもファンたち数十人に笑顔で手を振って、出国ゲートに入っていった。
あぁ방탄소년단達も、こういう時があったんだろうなぁって甘酸っぱい気持ちになった。

10月12日(水)成田空港の空は素晴らしい青空だった。
TMAへ出発した日と違って、離陸はほぼ8:55オンタイム。
11:30には仁川空港に着きそう。
今日こそは、すぐにA'rex特急列車に乗ってソウル駅へ急がねば。
ソウル駅に近いホテルにスーツケースを預けて、
14時開演の「エリザベート」を観にブルースクエア劇場へ行かなくては。

ジュンスが10年前の初演から主役トートを務めたエリザベート。
そのエリザベート10周年記念の舞台が8月から11月まで開催されていた。
10月渡韓のタイミングで、ぜひジュンスの公演回を観たいと思ってたけれど、前回のTMAの時は全く観劇する時間は取れなかった。

エリザベート10月公演のキャスティング発表は9月に入ってからだった。
10月12日の昼公演か夜公演にジュンスが登壇してくれれば、10月13日、ジミンのセンイルには確実に釜山に移動できる。
切実な願いが通じて、ジュンスは10月12日の昼公演に登壇となった。

韓国のミュージカルはインターパークでチケッティング。
これまで4回渡韓してジュンスのミュージカルを観たけれど、最初の頃はインターパークの使い方がわからなくて苦労した。
ジュンスのトート回はとても激戦ではあるのだけれど、釜山コンの砂浜で砂金を探すようなチケッティングよりはましだった。
チケットをとって、キャンセル期限ギリギリで他にいい席があればチェンジして、の繰り返しで2階席だけどほぼ正面、最前列のVIP席を確保することができた。
これまでエリザベートは2回観たけれど、1階席ばかりだった。
2019年1月に渡韓した時、ブルースクエア劇場の1階でエリザベートを観劇したから、今回は2階から観てみようと思った。

14時からの昼公演、朝9時前に出発するZIPエアなら、14時にブルースクエアに着ける。かなりギリギリだけど、これまでの数々の失敗で培った経験で、うまく移動しよう!
ホテルのあるソウル駅からブルースクエア劇場のある漢江鎮駅までは電車で20分ほどの移動時間。タクシーで行っても近い距離だ。
そして、エリザベートの公演は17時過ぎに終演。
漢江鎮駅から新龍山駅までも電車で20分くらいの移動時間。
前回、涙をのんだHYBE INSIGHTのPROOF展の最終回19時の回を予約した。
今度こそ必ず、HYBEビルの中に入るぞ(笑)

移動のシュミレーションをあれこれと考えていると、あっという間に飛行機の眼下には韓国の山々が見えてきた。韓国の天気も良くて、雲も少なく、眺望がとても良い日だった。やっぱり飛行機は窓側の席がいい。
日曜日に帰国してから3日、仁川空港が近くなり、低空飛行になっていくと港の風景や漢江が午前中の陽ざしに美しく映えて、無事に韓国に戻って来られて良かったと胸がいっぱいになった。


仁川空港の入国審査は先週の金曜日と同じく、とてもスムーズ。
ICTを駆使したわかりやすい案内と、要所となるポイントにだけ立っているスタッフの誘導であっという間に、スーツケースを引き取るところまで完了。
サクサクと「入国」が済み、A'rexの切符売り場へ。
今回は間違わなかったぞ!!青いエリアを通り越して数十メートル、右側にあるオレンジエリアの特急切符売り場へ。
まもなく発車する特急切符を確保して、出発を待った。
今日はすごく順調な感じがする!

ソウル駅に着くと、さすが大韓民国首都の駅だけあって、とてつもなく大きな駅。ひとくちにソウル駅のそばのホテルと言っても駅が広すぎて方向音痴になってしまう。。駅に近いホテル、いったいどこだぁ!!

ようやく辿り着くと、ホテルのフロントが上層階にあるタイプで、これまたフロントがなかなか見つけられず。
ようやくフロントにスーツケースを預けると時刻は13:30近かった。

ブルースクエアに14時に着きたい、電車とタクシーどちらがいい?

フロントスタッフの答えはタクシーだった。
地上階の出口に来たタクシーに乗り込んだときは13:40過ぎていた。
ソウルでは電車の移動が主なので、こうしてタクシーに乗って車窓から街中を観る思い出がほとんどない。すいすいと運転してくれるタクシーの中から美しい街並みを堪能する。
ちょうど南山公園に差し掛かったころ、タクシーが止まった。周りの車も止まっている。進行方向を観ると、パトカーが回転灯を高々と掲げて、車同士のトラブルを裁いている様子だった。
わぁ万事休すだ。もう時計は14時近い。
ホテルスタッフのせいにはできないけど、やはり電車にすべきだったなぁ。
交通渋滞というアクシデントは計算に入れないで考えるからなぁ。
10分くらい待っただろうか、ようやく、車が流れ出した。

ブルースクエア劇場前の交差点に到着したのは14:10くらい。

記憶のままのブルースクエア劇場の外観を懐かしむ余裕もなく、慌ててチケットカウンターヘ。インターパークのチケット予約画面をコピーしたものをスタッフに見せると、もう始まっているので急いでこちらへ、と誘導してくださる。劇場の廊下には中の舞台の様子がモニターで映し出されている。

基本的に、休憩時間などでトイレに出て、扉が締まる前に入れなかった場合は、暗転の時などに入らせてもらう。舞台進行をチェックするためのモニターだけれど、実はチケットがなくても、このモニターで舞台の様子を観ることができる。ブルースクエアのようにカフェや本屋などと併設している劇場の場合は、モニターで舞台の様子を眺めている人も多い。日本では考えられないサービスだし、すごいPR効果があると思う。

私は幸いエリザベート3回目だったので、ちょうどシシィ(エリザベートの幼名)が父親と狩りに出てお転婆をして高い木から落ちる直前であることを把握した。

シシィが木から落ちて気絶したとき、トートが助けるんだ。
トートは「死」を与える役割なのに、シシィに心を奪われ助けてしまう。
この出逢いがシシィの一生をトートと共に「添い遂げる」きっかけに。。

うっとりモニターを見ていると「行きますよ!」のスタッフの声。

「え?ここで??暗転まで待ちます。」 と、伝えると

「暗転までは、ずいぶん先です。大丈夫です!」

スタッフの女性は自信に満ちている。
大丈夫って言う彼女は、私の手をつかんで2階席の階段を降りていく。

わぁ・・・ほんとに申し訳ない。
すごく大切なシーンなのに・・・
階段を歩いている私のせいで舞台が見えない人がいるかも・・・
小さく縮こまりながら、階段を降りたものの・・・

私の席は2階の最前列の中ほど。
暗転じゃないタイミングでそこに割り込むのは、どうしてもできない。
端の席の人に声をかけようとするスタッフさんに
「戻りましょう」と促して、また廊下へ戻った。
ただ階段をウロウロしただけの人になってしまった。
一瞬でも見えにくくなってしまった方、ほんとに申し訳ない。

もしか後ろのほうの席とか端の席とか、空いてないですか?
そこ買って、幕間の休憩までの間、座っています、と申し出ると

ジュンスさんの回は完売です! と即答。

はい、すみません。。そうですよね。。
それほどに人気だから、はるばる日本から来たんだ、私も。

「次こそ大丈夫です!一気に行きましょう!」
廊下に戻ったスタッフさんは、早く私を席に着かせてあげたいと思ってくださっているようで、やる気に漲っている。
たぶん私が遠く日本から来たのに、席に着けなくて気の毒がっている。
他のスタッフも集まって来て、どのタイミングでGoするか話し合っている。

ていうか、なんで今、席に着かせてあげなかったの?
と先輩風な人から少し責められている様子。
いやいや彼女が悪いんじゃないんです、私が一旦戻ろうって言ったんですよ、いいんです。劇場に遅刻してきた私が悪いんです。
定刻に着席されている他のお客様の邪魔をすることは、ルール違反なんです。それくらいは、私もわかっているんです・・・

まぁこのモニターをしばらく眺めていればいいやと思っていると、
そしてまた暗転じゃないタイミングで「入りますよ!」という。

確かにこのシーンは群舞で賑やかなシーンだから、着席するときに少々音が出ても聞こえないかと思う。でも、まだ暗転じゃないけど(汗)
周りのスタッフ陣からも「行け!」と言われる私たち。

確かに、私一人着席しないために、これだけのスタッフがずっと心配してくださっているのも申し訳ない気がしてきた。

次は一気に行った。お隣りの席の方には申し訳なかった。
わたしが着席して上着をそっと脱いだりする所作が邪魔だったと思う。
逆の立場だったら、そんな人が隣だったら、ガッカリしてしまっただろう。
韓国でも、人気の高いジュンス回。
熱いファンが集まっている完売回なのだ。
ほんとにすみませんでした・・・次からは気をつけます。

文字通り肩身の狭い気持ちを抱きながら、それでもスタッフの方のおかげで、早いうちに席に着けて物語にすんなりと没入することができた。

ジュンスのトートは本当に素晴らしい・・・言葉では言い尽くせない。
彼のデビュー作は「モーツァルト!」のヴォルフガング。その初々しさは永遠に語り継がれると思うけれど、代表作は?と聞かれたら誰もが「エリザベートのトート閣下」と答えると思う。
きっとジュンス自身もそう答えるだろう。

3回目だけれど、本当に飽きる瞬間が一瞬もない。
ジュンスが素晴らしいのは言わずもがなだけど、この日は特別に素晴らしいキャスティングだった。
なにしろストーリーテラー役として、舞台の成否の鍵をにぎるとも言われているルキーニ役が、パウ・ウンテさんだった。
ウンテさんはジュンスがデビューした「モーツァルト!」では、主役のヴォルフガングを共につとめた盟友。彼もこの10年、とても飛躍して数々の主役をこなしてきた人。そのウンテさんがルキーニを演じる日に来られたことも今回の幸運のひとつだった。

ルキーニのソロ曲「ミルク」と「キッチュ」は、どちらも皇后エリザベートを批判する曲。
第1幕のクライマックスで、ルキーニと群衆はミルクは力強く高らかに歌い上げる。民衆が赤ん坊にミルクも与えられないほど飢えと貧乏に苦しんでいるのに、ミルクはどこへいった?エリザベートがお城でミルクを沸かしてお風呂に入っているから我々の手に入らないんだ!
貧富の差を象徴するシュチュエーション。
この曲のパフォーマンス、本当に素晴らしいから大好き。

第二幕の幕開けで歌われるのが、キッチュ。
幕間の休憩が終わり、第二幕の幕開けとともに、ルキーニが1階の客席を練り歩く。ハンガリーへ行く皇帝夫妻を皮肉って歌うキッチュ。
あぁしまった。。
今回の席は2階の最前列で、とても良い席だったけれど、このルキーニの練り歩きだけは2階席からは殆ど見えなかった。このシーンがエリザベートのなかで最も好きなシーンのひとつなのだから、やはり少々席は遠くても1階を選ぶべきだったなぁ・・・次は1階にしようっと。

このあとに続く「私が踊る時」
これがトートとエリザベートのデュエットで一番好きな楽曲。
皇帝の母(姑)の意地悪に勝ち抜き、遠征したハンガリーで大人気を博し、自信に満ちたエリザベートは、それまでのカゴの鳥から大きく成長した。
トートと互角にわたりあい、歌い上げるこの曲は、ほんとに素晴らしい。

「闇が広がる」
エリザベートの中で、ナンバーワンソングと言えばこれ。
皇帝夫妻の一人息子ルドルフ、幼い時から孤独に育ったルドルフのそばに忍び寄っていたトート。皇帝に立ち向かえ、革命を起こすのはお前だとそそのかす。。。トートに全幅に身を委ねてしまうルドルフが破滅に向かっていくこの曲の掛け合いが素晴らしくて、鳥肌が立ってしまう。
今回も素晴らしかった。冷酷なまでにルドルフを破滅させてしまうトート、エリザベートの魂は奪うことができないのにルドルフには非情。愛するエリザベートが皇帝との間に産んだルドルフを惑わし、闇に葬り去ってしまう。これは壮大なジェラシーなんだろうか、と思ったり。
それにしても今回のルドルフ君は素敵だった。
「闇が広がる」で魅せたトートへの甘え、怯え、そしてそそのかされて革命に向かっていく気負い、一曲の中でみせる心境の変化が素晴らしかった。
まぁそれも、ジュンスのトート閣下のお導きが凄まじいからではある。

続きで書くけれど、この「闇が広がる」を昨年12月のFNS歌謡祭に来日して歌ってくれたジュンス。ジュンスがトート閣下、ルドルフは井上芳雄さん。芳雄さんは帝劇エリザベートで日本のトート閣下の第一人者。
でも、ジュンスが来日する今回の貴重な機会のために、あえてルドルフを歌ってくれたのだ。すごいことだと思う。。
この奇跡のキャステング、いま思い出しても震えてしまう。

ルドルフを失い、皇帝とも心が離れ、晩年を淋しく生きるエリザベートは、ルキーニに襲われ落命する。
波乱の人生を生き抜いて、落命したエリザベートを迎えに来るトート。
2人は、まるで結婚式のように真っ白い衣装に身を包んでいる。
年老いたエリザベートは、闇の帝王トート閣下の腕に抱きしめられて若々しく美しいシシィになって輝いている。
シシィが木から落ちて、トート閣下が見初めたその日から、この2人はいつかあの世でこうして結ばれる運命だったんだろうなぁ。。。
最後のキスで結ばれた2人を涙で見つめながら拍手喝采、ブラボー。
あぁほんとに、エリザベートって素晴らしい。

【続く】

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