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「かもめ食堂」と二拠点生活

北海道の旭川の近くで、二拠点生活をスタートしています。

神奈川の自宅には猫もいるので、家族の誰かは自宅にいる必要があり、今回は10日間だけ一人暮らしをしてきました。実はこの歳になるまで一人暮らしは初めて。

友達が数日泊まりに来てくれたり、近くに友人も住んでいるので、まるっきり一人ぼっちというわけではないのですが、夜になるとなんだか寂しく、お一人様生活にあまり慣れないまま、楽しかったけどモヤモヤを抱えた日々でした。

そんなある日の午後、二拠点先の素晴らしい図書館で本を読み漁っていたのですが、そこで「かもめ食堂」の原作本を見つけました。サラッと読んだら随分と映画には出てこない登場人物の背景が描かれていたので、Amazonでポチってから帰宅後にじっくり読み直しました。

40代、50代の女性が新しい土地に一人でやってくるという話が、ちょうどこのモヤモヤとリンクしていて神様がヒントとして提供してくれたかのようです。

二拠点生活のきっかけ

そもそも二拠点生活は、週末毎にスキーに出かけたり旅行が大好きな夫が、コロナ禍でスキーも旅行もできなくなり、近場の温泉宿や沖縄などあちこちでワーケーションを初めたのがきっかけ。

昨年、知人が二拠点生活を始めたのを知り、同じ移住プログラムに応募して、昨年秋から1年間お試し二拠点生活をスタートしました。夫は月の半分を行ったり来たりしています。

私は子供の受験期と重なっていたため、なかなか行けなかったのですが、ようやく子供の新生活も落ち着いてきたので、今回、私が二拠点先で滞在してみることに。今回夫は猫と子ども担当で自宅でお留守番。

そんなわけで私の二拠点お一人様生活がはじまったのでした。

美しい景色、美味しい料理よりも大切なこと

二拠点先は、北海道の旭川空港に隣接した小さな町。水と空気がキレイで春から夏は緑も多く、旭岳や十勝岳連峰も眺められる美しい景色もある本当に素敵な場所です。晴れた日の夜には満天の星空が広がります。
冬は雪と寒さで私は暮らせる気がしないのですが・・。春夏に暮らすにはとてもいい場所です。

十勝岳連峰

最近は企業のサテライトオフィスなども誘致して、ワーキングスペースなども充実。都内でも人気店になれそうなおしゃれなレストランや雑貨屋、手作りのテイクアウトのお弁当を売る店も増えて、都市部から来た人間でも不便なく生活できる様々な環境が整いつつあります。

10日間の滞在中、私は家事の中でも一番キライな食事づくりを徹底的にサボり、毎日外食やお弁当で済ませましたが、どれも美味しいので自炊しなくても全く問題ありませんでした。流石にもっと長期滞在したら多少は自炊するかもですが。

きれいな景色、美味しい料理、そして知り合いも近くに住んでいるこの二拠点先。
一人暮らしの経験がない不安は多少ありましたが、きっと楽しい10日間になるもの・・と思っていました。

ところが、午前中リモートで仕事を終えてから、午後から一人で過ごす日が数日あり、観光したり、ちょっと遠くまでドライブしたり、図書館で本を読み漁ったり・・で過ごしましたが、だんだん一人で過ごすことがつまらなくなり、特に家に帰っても家族も、猫もいないのが寂しく感じるように。

現地の友達も平日はみんな仕事してますから、遊び相手はいませんし、家で話す相手がいないっていうのも寂しいものなんだなと。改めて家族や猫、そして友達のありがたさに気付かされる機会にもなりました。

二拠点暮らしを楽しむために必要なこと

ここでかもめ食堂の話に戻ります。

かもめ食堂の登場人物は、それぞれ色々な過去を抱えてヘルシンキにやってきます。

かもめ食堂のオーナーのサチエ
地図帳をエイッと指して旅先を決めた先がフィンランドだったミドリ
フィンランド人に興味を持って旅先を決めたマサコ

原作本ではサチエがなぜ食堂を始めることになったのか、どうやって開業資金を得たのか、ミドリやマサコがヘルシンキに旅立つことになった背景が詳しく書かれていました。(サチエの開業資金についてはびっくりでしたけど)

ミドリとマサコは、ヘルシンキで何をするのか目的もなく、ただ色々な気持ちを抱えてやってきて、どう過ごすのか時間を持て余していましたが、サチエと出会いかもめ食堂をお手伝いすることで居場所を見つけていきます。

居場所が見つかったことで、抱えてきたものが解決するわけではないのですが、離れてきた場所の出来事を思い出す時間は減り、抱えたものを客観的に見られるようになって行くのかもしれません。

ただの観光客で一人でヘルシンキを訪れても、ミドリもマサコもそれほど楽しい時間は過ごせなかったでしょうね。

私も同じように、二拠点先でリモートで働くだけで、観光したり、お客さんとしてお店を訪れているだけでは何も始まらないし、暮らす意味が見つからないなと。

仕事なり何かしらの活動なりで人とつながることで、はじめて居場所になるのかもしれません。二拠点先で私なりのかもめ食堂を見つけられたら、二拠生活が楽しくなりそうだなと。そんなヒントを改めて「かもめ食堂」からもらいました。

また7月頃に行く予定なので、何か素敵なご縁があったら嬉しいし、そもそも二拠点生活する必要はなくて、ワーケーションや旅で十分なのかなとも。その判断をするためのお試し二拠点生活なので、どうなることやらです。

私の二拠点生活の続きはまたいつか。

かもめ食堂の好きなセリフ

ちなみに私の個人事業主の屋号は「かもめ食堂」のサチエのセリフが気に入って「かもめ」をつけた屋号です。

その一番好きなセリフが原作本にはなくてちょっと残念でした。

マサコ:いいわね、やりたいことをやってらして
サチエ:やりたくないことはやらないだけなんです。

映画:かもめ食堂

もう一つ好きなセリフもあるのですが、こちらは原作にありました。

サチエ:なんとかなりますよ。まじめにやっていれば。(中略)正直にやっていれば、ちゃんとどうにかなるんです。

書籍:かもめ食堂

15年近く前にこの映画のセリフに影響を受けてつけた私の屋号ですが、このセリフどおり、やりたいことだけやって、なんとかなってきたのに、原作本をこのタイミングで読んだことにやはりご縁を感じずにはいられず、久々にnoteを更新してみました。


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