見出し画像

頑張ってる人に「がんばれ!」って言わなくても

私は2022年10月より、オーストラリア・アデレードで夫ともにワーホリをしています。そして、現地の日本食レストランで働いています。オーナーはレストランの経営だけでなく、アデレードに来る出張者や留学生のサポート事業なども行っています。その中で、私もオーナーも「なんだかなあ…」と思うことがありました。

3ヶ月間ホームステイのプログラムで、日本から約50名の高校生がやってきました。オーナーはプログラムの催行会社から、「高校生たちの体調が悪くなったり、ホームステイ先の家族と問題が起きたりしたらサポートしてほしい」と依頼を受けていました。その中で、ホームステイがはじまって3週間後、一人の高校生・Kさんが「日本に帰りたい」と言うようになってしまいました。

オーナーはプログラムの催行会社から「Kさんに『まだホームステイに来て3週間だよ?がんばれ!』と言ったんですけど、もう日本に帰りたいみたいですね…」との連絡を受け取り、Kさんをお店に連れてきて話を聞くことに。すると、ホームシックとホームステイ先の家族に対する精神的な疲れから、ご飯も飲み物も全く喉を通らない状態が続いているとのことで、ホームステイ先へ戻ることには激しく拒否反応を示していました。

日本人に囲まれて安心したのか、おかゆを少しずつ食べてくれましたが、とてもあと何ヶ月かホームステイを続けられる状態ではなさそうです。その様子を見て、オーナーは「催行会社の人たちはさ、『まだ来て3週間なんだから頑張れ』とかKさんに言ったみたいだけど、この状態の人に言う言葉じゃないよな。本人と直接会ってないのに、気安く言うもんじゃないよ。というか、充分頑張ってるだろ!親元を離れて海外で少しでも生活したんだから、すごいことだよ!」と憤慨していました。

それを見て、「頑張れ」という言葉は、時と場合を選んで使わなくてはいけない言葉だと改めて思いました。もちろん、運動会で頑張る子供たちとか、転勤で旅立つ同期とかに対しての「頑張れ!」は前向きなエールなので良いのですが、もうすでに頑張っている人や精神的に追い詰められている人に「頑張れ」というのは、プレッシャーになってしまいます。

「頑張っている人に『頑張れ』というもんじゃない」というのはよく聞く言葉ですが、身をもって体感したできごとでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?