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「ゼ」、そして「ジェ」

「ゼ」と「ジェ」を巡って紆余曲折。

原点に帰りましょう。
日本語でわからないことがあれば、日本語の専門書にたずねましょう。
そう。これです。

広辞苑第七版

(でかい・・・)

その中でも特に、これ。

広辞苑第七版 付録 表紙

付録。
読まれたことはあるでしょうか。
面白いです。

目次。

『仮名遣いについて』
『現代仮名遣い』
あたりでしょうか。

早速、『仮名遣いについて』を開いてみましょう。


仮名遣いについて

日本には古く文字が無く、漢字を借りて文字を書いていた。

広辞苑第七版 付録

『文字が無く』?
どういう意味だろう。
古く、というのはいつ頃のことだろう。

それは横へ置いて先に進む。

漢字は意味を伝えることには長けていたが、固有名詞や助詞を表現するのは難しい。
そこで万葉仮名が編み出される。

例)
山→也麻
川→加波
かも(助詞)→鴨

漢字の意味を捨てて音訓だけを利用した。
その万葉仮名を経て、さらに表記が簡略化されて出来たのが「平仮名」である。

というようなことが説明されている。
これはこれで面白い。
だが。
「ジェ」については記載がない。


現代仮名遣い

第1
1.直音
2.拗音
3.撥音
4.促音
5.長音

第2
助詞「を」「は」「へ」
動詞「いう」
「ぢ」「づ」
長音「お」

広辞苑第七版 付録

「拗音」を確認してみる。

きゃ、きゅ、きょ
しゃ、しゅ、しょ
ちゃ、ちゅ、ちょ
にゃ、にゅ、にょ
ひゃ、ひゅ、ひょ
みゃ、みゅ、みょ
りゃ、りゅ、りょ
ぎゃ、ぎゅ、ぎょ
じゃ、じゅ、じょ
ぢゃ、ぢゅ、ぢょ
びゃ、びゅ、びょ
ぴゃ、ぴゅ、ぴょ

広辞苑第七版 付録

ん?
これだけ?

「シェ」はどこ?
「ジェ」はどこ?


広辞苑第七版 付録 裏面

この付録は後ろからも読める。
こうなっている。

広辞苑第七版 付録

左側は奥付。
さてはここにおるのか、「ジェ」は。
では、早速。


日本語における外来語

外来語とは何か。
ということはすっとばして。

日本にポルトガル人が漂着したのが1543年

広辞苑第七版 付録

そこから!?

明治維新以降,西欧文化の吸収が急激に推し進められる.

広辞苑第七版 付録

突然に句読点を「,」や「.」にしているが、これは私の気分の問題。ということではなくて、広辞苑がそうなっている。横書きにするとそうなるということのようだ。律儀だ。

明治頃の外来語の増加には面白い特徴がある。

医学用語はドイツ語,芸術用語はフランス語起源のものが多く使われている.

広辞苑第七版 付録

分野によって参考にする国が異なり、流入した外来語もそれぞれの国となったようだ。

そして。

第二次世界大戦後は,アメリカからの用語が増える.

広辞苑第七版 付録

というような歴史をたどる。


外来語の表記

ようやくここで出てくる。

『シェ』と『ジェ』である。

「シェ」「ジェ」は,外来語シェ,ジェに対応する仮名である.

広辞苑第七版 付録

ということであるそうだ。

ここまで来たのに随分あっけないではないか。という思いは横におく。なんだか当たり前のことを言われているだけのようだが、おそらくは「外来語に対応する」というのがポイントなのだろう。もちろん、これ以外に使ってはならないなどとは言っていない。もしかしたら将来は「外来語を表現するもの」ではなくなるかもしれない。「ぜんぜん」が「じぇんじぇん」などと表されることも遠い未来ではないかもしれない。さすればめでたく、「外来語を表現するカナ」から「平仮名」に格上げ(?)されるだろう。

何の話だったか忘れそうになるが、「ランゼリー」である。昔は、そもそも「ジェ」の表記がなかったわけだ。だから、「ミケランゼロ」であり、「ランゼリー」だった。

「シェ」や「ジェ」は、いつ頃使われるようになったんだろう。

案外、新しいのかなぁ。

それは、また、おいおい。

・・・多分(笑)。

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