11.「モデル」という視点で絵画を観る。
1.Pinacoteca di Brera
日本語で「ブレラ絵画館」と呼ばれる場所に足を運んだ。
Google先生曰く、
「ナポレオンにより美術館として開館された
優美な宮殿。
主に北イタリアの中世およびルネサンス期
の芸術作品を展示している。」
とのこと。
イタリア人はキリスト教を信仰している人が多くいるらしく、それはそれはキリスト関連ばかりの絵画館であった。
それを眺めている中で、ふと、自分の思考に気がつく。
「おれ、モデルとして、作品を見てるわ。」
ある意味、病気とも思えるこの思考。
しかし私は作品に対して専門的な知識は持ち合わせておらず、説明も難しい英単語やイタリア語でよくわからない。
だから、
ここの技術が〜、時代背景が〜、色が〜、、。
それらの楽しみ方は一回どこかに置いて、
モデルという視点で、改めて観ることにした。
2.美しさの定義
美しさとは、いったい何か。
誰が決めて、何処を見てそう思うのか。
とりあえず、例の通り有識者に聞きましょう。
《美しい(うつくしい)》
目・耳・心に、うっとりさせる感じで
訴えて来る。
「桜の花が―」
まぁ、曖昧も曖昧ですよ、、笑
“うっとりさせる感じ”って笑笑
では、人々は、言ってしまえば、ただの絵画で
何がいいのかも分からないものを、わざわざお金を払い、観にくるのだろうか。
なぜ、厳重に保存し、更には手を加えて綺麗な状態を保とうとするのだろうか。
何が、人の心を動かすのか。
3.肉体美?
これも要素の一つであると考える。
では、ほぼ燻製肉のような(あくまで比喩であるためご容赦願いたい)
ムキムキ真っ黒ボディービルダーは、美しいか?
もちろん、美しい。
ただ、心を動かれない人もいるのが事実。
ガリッガリのメルエムに質問された後のウェルフィンのような(あくまで比喩でありH×Hを知らない方はご容赦いただきたい)
モデルは美しいか?
もちろん、それはそれで美しい。
様になるし、あのバスト、ウエスト、ヒップへの曲線はドレスがとてもよく似合う。
でも、全員の心は動かせない。
では現存し、尚且つ、人々を絶え間なく呼ぶほどの需要がある絵画はどうか。
実に美しいものである。
ただ、この時代は、この体型を美しいとしていた。などがあるだろうから一概には言えないが、やはり何か心に響くものがあるのは事実。
これを観る限りの考察は
男性→程よく筋肉質で且つ、
骨や筋により、陰影が出来ている事。
女性→なだらかな曲線で、陰影は少なく、
健康的な色気がある状態。
これが私の結論。
まぁ、肉体のみに関して言えば、人の好みにもよるし、骨格やサイズは様々だ。
だからあくまで一例として。
4.構図?
絵とした時に、伝えたい事柄や、メッセージ。
人を際立たせる為の背景要素か、はたまた
風景を際立たせる為の人物要素か。
それを少し紐解いと観る。
絵画というものは、”有名な芸術作品”という視点を一旦置いて、細かくみた時、
それはそれはヘンチクリンであるなぁ、とつくづく思う。
最後の絵に関して言えば、
頭にナイフが刺さっているにも関わらず、
何かを説こうとしているのが実に興味深い。
モデルとして写真を作る時も同じようなことが言えると思う。
有名なブランドの広告等を一度、事前情報を全て抜き取って、再度観てほしい。
それはそれは不自然なポージングやシチュエーションである。
なのにも関わらず、何故か様になり、そして人の心に訴えかける何かがある。
d
真ん中の人物(キリスト)とその隣の人物では肌の色が、キリストの方が血色が悪い。
そして、顔が少しコケており、不健康そうである。
ただ、手や右胸下の傷を観る限り、朱い事から、死に至りそう(まだ死んではいない)である印象を受ける。
その両脇の2人は、その死に至るほどの何かをされた事象や人物に対し、”しょうがない”というような、「諦め」や「憐れみ」のようなものを感じる表情をしている。
そして手を取る行動が、映ってすらいない他の手が、真ん中の人物を支えているだろう事を彷彿させる。
重く暗い雲の下で、地平線に伸びる陽の光。
それはこれからくる闇を印象付ける。
e
なにか1番右の男から、合掌し何か施しを受ける中心の男。
装いの違いや、立つ場所の違い。
そして並ぶ人々から、この右の男は何か特別な人物である事がわかる。
ただ全員に共通して、頭の上にある謎の輪。
生存している人には有り得ないもの。
背景に家屋や街がない。
有るものは、誰もが直感的にイメージできる神が空にいるという事象と、壮大な山々、穏やかな天気。
これから考察するに、死後の世界であるという想像ができる。
そしてこの施しを受ける男が立つ位置。
水に足をつける必要性はあるか?ということ。
頭の上から何かをかけられている関連性から、
これはきっと清める儀式であると考える。
そう、この場所でないとダメなわけだ。
f
1番印象的なのは、頭の上と左胸に刺さるナイフ。
通常死に至るもの。
しかし、血は出ていない。
そしてeで登場した謎の輪もなく、背景には馬や人がいる。
波のない水が溜まっていることから、天からは遠く、地上である可能性が高い。
つまり、この人物は死んではいない。
両脇の対を成す白髭の男性。
着ている物や、持つ物。そして立つ位置から、別の役割を持つ、真ん中の人物の補佐的な人物であるのと想像できる。
そして光沢のある衣類を身に纏い、楽器を持つ少年。
この少年だけがこちらを見ている。
まるで全ての行き先を知っているかのような。
楽器を持ち、歓迎しているかのような。
総称して、よく分からないが、
もしかすると、死を悟り、その前に何かを問いといるのかもしれない。
そう解釈した。
全ての絵画に無駄なものは一切描かれておらず、全てに意味があるように感じ、
そして全てを含めて一つの作品として伝えている。
つまり、余計なものは映さず、全てが持つ情報を支配し、伝える。
その時、一枚が持つ完成度は格段に変わり、
見る人に訴えかける。
モデルとして写真を造る時もそうだと思う。
写真や絵画は、純度の高い最低限の足し算だ。
5.人物、衣装、ポージング?
ここまでを通して考察したものは、背景が全体のイメージを助長し、読み取りやすくされた物だった。
次は、無機質な背景な人物画を観ていく。
g
黒と赤の高貴な印象がある衣装。
光に対して身体を正面に向け、影を作らず、
衣装は綺麗に美しく写り、
視点だけがこちらを向いている。
穏やかな眼差し。
整った髪や剃られている髭は清潔感を与える。
ウエストが絞られた服の特徴を強調するかのように腰に置かれた手。
その手にグローブは、はめられておらず、指の美しさが際立つ。
そして服の黒との違いのある背景。
冷静と強さを兼ね備えた人物であるような印象。
きっと部下も多いんだろうなぁ。
道具や馬を大切に扱いそう。
あと、頭良さそう。
h
派手な色の鎧とタイツ。
袖や襟から出る華麗なレース。
カブトに手を置き、それを強調する。
置かれた台は鮮やかな赤で、武器のようなものが沢山置かれている。
この人物も光に対して正面を向き、ただ顔は少しこちらを向いているから、顔の左半分に多くの影が入る。
強く大きく、そして黒い瞳と、特徴的な髭。
この情報から、この人物は、自分に自信があり、好戦的で派手なものが好きな傾向を感じる。
それを際立たせているのは紛れもなく背景で、背景が無機質だからこそ、この人物の装いや道具が派手であることを印象付ける。
偏見によると、特攻隊。
その人物を伝えるためだけに特化した人物画。
背景一つとっても何種類もの色がある。
姿勢や衣装。ポージングの無駄のなさ。
光の角度、何を伝え、何を魅せるか。
私とは、どういう人物であるか。
それを伝えるのがポートレート。
つまり、余計なポージングは要らない。
やはりここでも感じるのは、
6.洗練された足し算
絵画も写真も同じ事が言えると思う。
洗練された足し算。
伝えたい内容から、最低限必要なもののみを選択して、追加していく。
これは、例えば、コンセプト、その人物の印象や雰囲気。
そのために必要なものだけを精査して、足していく作業。
それが作品を作り、見てもらった時に
訴えかける何かのヒントになるかなと思った。
モデルあるあるの、
BOOK(自分専用写真集みたいなもの)や
コンポジット(写真とサイズが書かれたモデルの名刺みたいなやつ)に
写真を入れたい!!!だから撮影する!
間違ってない。
でも、その思考だけが先走った時、その写真は果たして使えるのか?と思う。
私が思うに、沢山の人に訴えかける事ができる写真を良いと呼び、そしてその結果、
良い写真だからBOOKやコンポジットに挿入することができる、そう思う。
最後に気に入った写真を載せて終わる。
やはり、キスは美しい。
けれども、この写真は特別に美しい。
皆さんには、この写真を観て、どこを美しいと思うか、私にコメントで共有してほしい。
それは新しい視点への気付きであり、
私はそれを欲している。
もしかしたら、この絵を美しいと思わない人も中にはいるかもしれない。
どの写真が好きだった、とかも教えてほしい。
あゆま、楽しみに待ってます。
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